否認を翻した男

被告人S 元塗装工 事件番号:令和2年(う)第●6●号

傷害致死

検察官求刑:懲役10年 第一審判決:懲役5年6月

東京高等裁判所 控訴審初公判

男は子守していた親戚の生後6カ月の男児の頭部に傷害を加えるなどしたとして逮捕・起訴され第一審の静岡地方裁判所沼津支部で懲役5年6月の判決を受けていた。しかし男は第一審では傷害などは加えていないとして否認、無罪を主張し第一審の有罪判決に対して控訴していた。

「しっかりと罪を認めて刑務所に行きたいと思ったからです」

控訴審では一転犯行を認めた。この日の事実取り調べ請求では第一審後男が作成した反省文と被告人質問が採用された。

男は被告人質問で明確に被害男児を上下に揺すったことを認めた。

弁護人「起訴事実は認める?」

男「はい。上下につよく揺すりました」

手を上下に動かすジェスチャーを交えながら男は説明した。

弁護人「どうして?」

男「前に強く揺すったら泣き止んだことがあった」

弁護人「逮捕されてから否認していた理由は?」

男「認めたら殺人罪になると思った。それと前(第一審)の弁護人から無罪になるかもしれないといわれた」

弁護人「今回一転して犯行を認めたのは」

この質問に対して上記の証言をしたのであった。

弁護人「前の弁護人は変更した?」

男「はい」

弁護人「どうして?」

男「前の弁護人からは戦いましょうと言われましたが自分はそういう気なくてそれならもう弁護人必要ないと思ったので」

弁護人「今は反省と後悔の気持ちで一杯」

男「はい」

ちょうどこの事件の第一審判決が今年の3月19日で同じ日に千葉地裁では大々的に報道されたN市の実子虐待傷害致死事件の判決公判が開かれていた。このN市の虐待死事件を千葉地裁で傍聴していた自分にとって同時期に公判が開かれていたこの事件は興味深かったのだ。もちろん子供が被害者という部分だけが共通点であり、子供の年齢も犯行態様も犯行の経緯も全く違うのだが・・・。控訴審が開かれたら傍聴しようと思っていたので傍聴できて良かったです。

裁判所は否認を翻したことを反省とみるのか?

今更そんなこといっても酌量の余地はないとみるのか?

裁判所の判断に注目ですね。

次回判決宣告期日は10/8(木)PM3時~の予定です。

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