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微動だにしない男との接見記録⑥ ~男の思考~
被告人I 無職 事件番号:令和2年(あ)第●5●号
強盗殺人・傷害・窃盗・覚せい剤取締法違反
検察官求刑:無期懲役
現在上告棄却決定に対する異議申し立て中
前回までの記事でも少し触れたが男の考え方などについても聞いた。
「息子のことなんですけど、男の子なんで元気に健やかに育ってくれればそれだけでいいんですよね・・・。特にこうなって欲しいとかはなくて」
「Iさんの思考というか考え方というのを聞きたいなと思いまして、なんか信じてる宗教とかは特にないですよね?」
「ないですね」
「思想とかそういうのは?」
「自分は街宣車とかにはよく乗りましたけど、個人として思考があるのかというと・・・。ただ街宣車乗りたくて乗ってたいうか・・・。ヤンキーとかが前走ってたりしたら調子乗ってんじゃねえぞってマイクで叫んだりして」
男は懐かしむように笑ってそう答えた。そしてなにかを思い出したように
「ただ、右翼左翼でいえば捕まってからですが自分は部分的に無罪を主張してるのもあって左翼系の人が機関紙とかを送ってくれるんですよ。それを読んで今まではそういう左翼とかまったく興味なかったんですけど共感できる部分もあると思ったりして」
「Iさんの哲学とかなにか考えはあるんですか?」
「哲学ってなんですかね?どういうこというんですか?自分バカなんでよくわかりません」
「では死ぬのはやっぱり恐いですか?」
「それは恐いですよ。そういう所は別に普通の人と何も変わらないですよ」
「Iさんは人との関係というか、関わりを一番大事にしているように感じますが」
「そうですね。逆に自分にはそれしかないんですよね。ただ今回こういう事件がおこって人を信用したことで裏目にでて・・・。そういう生き方を少し後悔している部分もあります」
「でもIさんの信条「志は空よりも高く、絆は海よりも深く」それは変わらないと」
「そうですね。こうなっても何とかしたいということで動いてくれる友人とかもいますんで」
「お子さんとのことも聞きたいのですが生まれてすぐに逮捕されて、それ以外は面会で少し会うだけ、非常に限られた時間しか会えてないですけどこういう子に育って欲しいとかそういうのはあるんですか?」
この質問に対して男は冒頭のように答えたのである。
★9/29(火)もう刑が確定しているだろうと半ば諦めて東京拘置所を訪れたのですが接見ができました。まだ上告棄却決定に対する異議申し立ての最高裁判所の判断がでていないとのことでした。このときの接見は後程ここに記したいと考えております。
※画像はwikipediaより