灰かぶり姫②
イベントから帰ってきたシンデレラの日常は、行く前の日常とは一変していました。
せっかく呼んでいただいた素晴らしいイベントで、何の成果も出すことができず、失敗に終わったシンデレラの噂は瞬く間に世界中に広がりました。
毎日のように、痛い痛いと噂され、、なんでこんなブスが、、と容姿いじりや体型いじりを受けたり大いに笑いものになってしまいました。
まぁ確かに痛かったのは認めます。しかし、なぜカップル成立できなかっただけでこのような扱いを受けるのか、その時は全く分かっていませんでした。
そしてもうひとつ衝撃だったのが、シンデレラは、その日常生活をだいぶ前からずっと、観察されていたのです。スマホの中身も抜き取られ、
まるで動物園の檻の中に入れられた動物のような、自分が人間ではないような気持ちでした。
なんでここまでのことをされなければならないのか。ずっと我慢しながら毎日過ごしていました。
ひたすら、我慢することを頑張るような日々でした。
そんな毎日をなんとか生きていると、ある日あの時の魔法使いが家に訪ねてきました。
お久しぶりです…。
そう挨拶すると、魔法使いはおもむろに胸ポケットからある紙を取り出し、私に手渡しながら
あの時の代金の請求に来ました。ドレス代100万円、ガラスの靴代80万円、移動費200万円、イベントの参加費、メイク代、髪の毛のセット代、ご祝儀代、、
ご祝儀代、、?
合計で1000万になります。
魔法使いらしきお婆さんはそう言って、明細書の中身を説明してくれました。
え、、、。魔法じゃなかったんですか、、?
シンデレラは恐る恐るそう訪ねました。
え、、魔法、、。何言ってるんですか?お金かかってますよ、、。
え、、、。
しばらく沈黙が続き
、、、、これ、現実ですよ。
そう言われてハッとしました。
そう。あれは魔法ではなく、しっかり現実で、お金が発生していたのです。
そしてその魔法使いはよく確認してみると魔法使いではなく、普通のお婆さんだったとのこと。
あのタイミングで現れたことと、見た目により完全に勘違いしてしまっていただけでした。
そう。シンデレラはイベントで失敗してしまっただけではなく、多額の借金を抱えてしまったのでした。
さてどうする。どうすれば良いのか、シンデレラは途方に暮れました。
それに追い討ちをかけるように、シンデレラへの批判はますます大きくなっていきます。
なんであんな奴を呼んだのかと、身辺調査が入ったり、目の前で悪口のようなことを言われているようなかんじがしたり、監視も当たり前のように続いていきました。
でも、それもこれも全部自分が借金を作ってしまったんだから我慢しないとと思い、グッと耐えていました。
そしてそれと同じく、もうひとつ重大な事実に気づいたのです。