灰かぶり姫①
むかしむかし、あるところに「シンデレラ」と呼ばれている女の子がいました。
シンデレラとは、別名を"灰かぶり姫“といい、灰をかぶっているような様で体が汚れており、幸が薄そうなその女の子のあだ名みたいなものです。
シンデレラは普段は普通の仕事をしながら生活していましたが、彼女にはある趣味がありました。
それは、人気の少ない公園の片隅で、全力の紙芝居を披露する、という趣味です。
彼女はこの趣味をはじめてから、毎日がより楽しくなったそう。誰にも見てもらえなくてもいいので自分が面白いと思ったことを紙に書いて表現し、たまに通りかかった人に見てもらえてリアクションしてもらえることが嬉しかったそうな。
するとある日シンデレラがいつものように超本気の紙芝居を披露していると、ある男性が数名通りかかりました。
その男性達は、彼女が公園でひっそり本気で紙芝居をしていることをずいぶん前から遠くで見ていたそうで、面白いね!と声をかけてくれたのでした。
シンデレラはとても嬉しくなり、その男性達や男性の友達の女性達に読んでもらう為に毎日はりきって紙芝居を披露することにしました!
時には笑いながら😀そして時には泣きながら、、、😭
そんな毎日が続いたある日、その男性の一人からあるお誘いを受けました。
◯月◯日に、どこどこで催しがあるので、ぜひき来てくれませんか、と。
シンデレラは、嬉しくて即答でお誘いを快諾させていただき、その催しに行く準備を始めます。
何を着ていこうか、髪の毛もボサボサなのでなんとかせんといけんな、、うーん。どうしよう!
悩んでいると、
黒紫色の丈の長いワンピースを着て、黒髪で片方の腕にリンゴの入ったかごを持ち、片方の手で杖を持った、お婆さんっぽい人が目の前に現れました!
こ、これは、、、
魔法使いや!どっからどう見ても魔法使いだわ!
魔法使いだと信じて疑わなかったシンデレラは、魔法使いの力を借り、トントン拍子に催しに参加するための準備が整います。
ドレスと履き物と、サービスで乗り物まで用意してもらい、内心めちゃくちゃドキドキしながら催しへ参加することに。
魔法使いと思わる人から、出発前に一言だけ、「夜の0時までには帰ってくるように!時間切れになってしまうからね!」と言われ、
分かりました!ありがとうございます!頑張ってきます!とお礼を言い、
会場へと出発するのでした。
会場へ到着すると、シンデレラはびっくり仰天、、、
なんと素敵な人達がたくさん集まっており、とても華やかな雰囲気でした。
そういう場に行くのが生まれて初めてだったシンデレラは、紙芝居の時の勢いはどこへ行ったのか、借りてきた猫のように大人しくなりました。
どうしよう…これは、来てよかったのか…。
とても不安でアワアワしていると、そこへ誘ってくれた男の人が現れました。
あの、これは何のイベントですか?
そう聞くと、なんとこのイベントは大規模な婚カツイベントとのこと。
そしてよくよく聞いてみると、なんとカップルが成立して結婚までいたるとお祝い金がいただけるとのこと。
これはとんでもないところに招待していただいたんやなと思わさしていただきながらプレッシャーで更にアワアワし時には自分の不甲斐なさに涙し苛立ちながら、できることは全力で頑張りましたが、残念ながらカップル成立ならず。。。
自分の持ちうる力を全て間違った方向に出しきってしまったシンデレラは、意気消沈し、0時を待たずして自宅へ帰ることにしました。
せっかく招待していただいた夢のような婚カツイベントなのに、なんの成果も出せなかったことは本当に悔しかったですが、もうどうすることもできませんでした。
家に帰ると魔法使いはすでに家の前で待っており、予定時刻きっかりに衣装と乗り物を回収し、お疲れ様でしたー!と帰っていかれました。
夢ようなひとときを過ごさせていただいたシンデレラは、余韻に浸りながらも、もうぜったいにあの場所に戻ることはできないことは重々承知していました。
だって、シンデレラはもともとが普通の、、童話のシンデレラでいえば、毎日ママ母や義理妹達に苛められている不幸な女性なのです。
自分の力じゃなく、魔法の力のおかげであの場所に行くことができたのです。
それを十分自覚しているので、もう贅沢なことを望むことはできないです。
こうして今まで通りの普通の日常を過ごそうとしていたのですが、、なんとなく日常に違和感を感じ始めます。