見出し画像

365日ライカ:028 ストリートスナップの基本「ヒット&アウェイ撮影」のやり方

世間の目、そして感染リスク回避の観点からも、写真を撮りにくい状況です。

そんな現在、いわゆる“3密”を回避しての買い出しや散歩中にパッと撮ってすぐに立ち去る撮影手法がこれからさらに重要になってくることでしょう。

先日の記事ではこれを“ヒット&アウェイ”と表現しました。

この記事ではそんな必要な用事の最中に、最短でスナップする撮影方法をご紹介したいと思います。また、これはある意味ではアンリ・カルティエ=ブレッソンから続く、ストリートスナップの基本です。

なお、本記事は決して不要不朽の外出を推奨するものではありませんのでご了承ください。

「ヒット&アウェイ撮影」のやり方

画像1

Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.

1. 天候を確認し、ISO感度を設定する(スキップ可)

僕は被写体に合わせて露出を調整したいので、スナップにおいては極力ISO感度をマニュアルで設定しています。日中の場合、晴れの日ならM10-Pのベース感度200(当初は100だったようですがファームアップ以降は200のようです)、曇りなら400程度が目安です。

ISOをオートにして露出補正ダイヤルで調整する方が"表現優先”という点で理にかなっているのですが、人間露出計感覚を鍛えるためにも肌感覚でEV値を割り出して計算しています。面倒ならオートにして全然OKです。

画像8

Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.

2. シャッタースピードを1/125〜1/250に設定

手ぶれはもちろん、動体ぶれを防ぐためにも、最低でも1/125秒以上のシャッタースピードを確保しましょう。僕はISO感度や後述する絞り値とのバランスから1/250秒を基本としています。ISO感度の上昇に伴うノイズを気にしなければ、それ以上でも構いません。

画像5

Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.

3. 絞り値をf8に設定

パッと撮ってサッと立ち去る「ヒット&アウェイ撮影」のためには、ある程度の被写界深度を稼いでおきたいところ。それと同時にボケに頼らない構図整理力を鍛えるためにも、f8をベースとして設定しています。

例えば、晴天の日中でISO200、1/250秒、f8で設定すれば、EV値は13となります。

ここからド順光で撮影する場合はレンズの絞りリングでf値を11程度まで上げ、日陰ならf4〜5.6程度まで下げるなどして調整しています。

画像6

Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.

4. 歩きながら視線先のEV値を想像しておく

面倒かもしれませんが、これをしておくことで露出感覚が鍛えられます。

また、被写体を見つけたときに慌てて絞りリングやシャッターダイヤルを操作することが減ります。

画像7

Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.

5. 細かいことは気にせずシャッターを切る(RAWで)

以上、結構細かいことを言っていますが、いざというときは気にせずシャッターを切りましょう。RAWで撮っておけば、多少露出が意図しなくても現像時に余裕で調整可能です。

「シャッターを切らないよりは、多少ミスってても切ったもん勝ち」くらいの精神で行きましょう。

画像6

Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.

また、先ほどISOをマニュアル設定していると書きましたが、ISOをオートにしておくとシャッターが微妙に遅れることがあります。それを避けるのもISOをマニュアル設定している理由の一つです。

人に不快な思いをさせないように注意しよう

画像7

Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.

2020年4月現在、世界は未曾有の社会状況に陥っており、誰もが不安や苛立ちを抱えて暮らしています。

かつては許されていたストリートスナップも、今はあらゆる点から細心の注意を払わなければなりません。そして、時には“撮らない”という判断をすべき場合もあるでしょう。

絶対はありません。変わらないものもありません。

そのとき、その場所、その状況に合わせて、柔軟かつ思いやりを持って自らの創作と向き合い、場合によってはその手法を変えていく必要がある。今は、そんな変化のときかもしれません。



365日ライカや写真について更新していきます。 サポートは今後のnote執筆に使わせていただきます。よろしくお願いいたします。