365日ライカ:015 1ヶ月見ない。撮った写真を
以前の記事で「撮影した写真は極力すぐに見ない」ということを書きました。
今日はその理由についてご紹介します。
Leica M10-P, Summicron 50mm 1st collapsible
身も蓋もな言い方をすれば「そうしてみたかったから」ですが、その根底にあるのは「時間が作る”何か”にアプローチしたい」という想いです。
僕の敬愛するアーティストであるヴォルフガング・ティルマンスは、フィルムからデジタルに本格移行して初の作品集『Neue Welt』の中で、自らのデジタル写真に対するアプローチを次のように紹介しています。・
1.撮影後、カメラ背面のディスプレーを見ない
曰く「無視できるまでに1年かかった」。
2.すぐに現像しない。判断するのは数週間後から数ヶ月後
曰く「イメージを撮影した瞬間から遠ざかれば遠ざかるほど、自分の願望や希望から自分を切り離せる」。
Leica M10-P, Summicron 50mm 1st collapsible
写真家の奥山由之氏も、落合陽一氏との対談にて「フィルムにおける撮影から現像するまでの時間」の効能として、ティルマンスとほぼ同じ内容を指摘しています。
Leica M10-P, Summicron 50mm 1st collapsible
これはフィルムで撮影したことのある人なら、誰もが多少なりとも共感できるはず。
「撮ったばかりのデジタル写真は、まだどこか写真になりきれていない」かのような感覚です。
Leica M10-P, Summilux 35mm ASPH.
いわゆる“真夜中のラブレター”のように、まだ熱を持ちすぎているような感じとでも言えば伝わるでしょうか。
その一方で「鉄は熱いうちに打て」という言葉もありますし、もちろんどちらかが正解でどちらかが間違いなんてことはありません。
Leica M10-P, Summarit 5cm
とりあえず「1ヶ月は現像しない」ということを基本ルールとして、ここ1年ほど制作に取り組んでいます。
もちろん、仕事での撮影や、素材取得としての撮影の場合は、納期に合わせて現像しますけどね。
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