365日ライカ:029 “質感の表現”って?
レンズやカメラレビュー等でよく見かけるのが、“質感の表現”という言葉。
どうやら、一枚の写真の中で金属とコンクリートやプラスチックなどの材質の違いが表現できているかどうかが、レンズやカメラの性能の一つの指針となっているようです。
Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.
以前は「え、みんな質感を表現するために写真を撮るの?」と驚き、非常に不思議な表現だと感じていました。
Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.
むしろ「そもそも質感の違いを描き出せないレンズやカメラなんてあるの?」くらいに思っていたくらいです。
でも、昔のガラケーで撮った写真や超高感度撮影した写真を思い出してみると、確かに素材の質感の違いは感じにくいかも。
Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.
つまり、質感の違いの描写=どれだけデフォルメすることなく解像しているか、いかにトーンをリッチに描き出しているかということに繋がるのでしょう。
布の表面の毛羽立ちや、表面の反射率の違いによる手触りなどから、私たちはその質感を想起している。そう考えれば、描き出す情報量が多いほどそれを感じられるはずですから。
Leica M10-P, Apo-Summicron M 50mm ASPH.
できるだけリッチに多くの情報量を取り込んで撮影する。
そして、現像等のポストプロダクションで情報をどこまで削ぎ落とすか、デフォルメするか、汚していくかを考える。
それが、超高解像度&ポストインスタグラム時代における、基本的な写真の考え方となるのでしょう。
オールドレンズと現代の高性能センサーの組み合わせだって、例外ではありません。
オールドレンズ=低コントラストでの撮影という観点から考えれば、動画におけるLog撮影に似た、豊かなトーンをRAWデータに封じ込める手法の一つとなり得るからです。
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