365日ライカ:030 遊べるライカ「ライカQ2」長期使用レビュー
ライカの高級コンパクトデジタルカメラ「ライカQ2」。その2019年3月末の発売から、1年が経ちました。
Leica SL, Vario-Elmarit-SL 24-90mm
僕がこのカメラを手にしたのは2019年6月。
仕事で使用しているミラーレス一眼「ライカSL」とバッテリーが共通していることから、仕事用のサブ機として購入しました。
しかし、その高い描写性能や機動性、汎用性から、当初想定していた用途を遥かに超える活躍を見せてくれています。
Leica SL, Vario-Elmarit-SL 24-90mm
この記事では、約1年間の使用を経てのレビューや使用例を、私見たっぷりにご紹介しようと思います。
ライカQ2=「コンパクトじゃない高級コンデジ」
Leica SL, Vario-Elmarit-SL 24-90mm
このカメラを一言で紹介するなら「コンパクトじゃない高級コンデジ」。
レンズの取り外しができない一体型カメラを通例で「コンパクトデジタルカメラ」と呼ぶため、一応コンデジというカテゴリに入っています。
前モデルである初代「ライカQ」は約60万円程度という値段ながらも、その描写性能や取り回しの良さや洗練されたデザインから大評判となり「最も売れたライカカメラ」と言われるヒット製品となりました。
「ライカQ2」は、そんな初代ライカQのデザインをほぼそのままに、より高解像度なセンサーを搭載し、防塵防滴性能を備えた、アップグレード版です。
では、次の項目からは実際に使って感じた特長を紹介します。
単焦点ライカレンズ×フルサイズな「描写力」がすごい
Leica Q2
ライカQ2最大のポイントは、なんといってもレンズです。
初代ライカQが約60万円程度の値段にも関わらず、なぜヒットしたのか? その理由の一つは、実はコストパフォーマンスにあります。
というのも、ライカQ/Q2が搭載しているレンズは「ズミルックス f1.7/28mm ASPH.」。
その同等品「ズミルックス M f1.4/28mm ASPH.」を単品で購入すると、なんと約86万円もするのです。
それより安い値段でフルサイズセンサーを搭載したボディーがついてきて、しかもオートフォーカスも使える。
ということで、ライカQは「高コスパ」と評判になりました。
Leica Q2
そんな評判のレンズ「ズミルックス f1.7/28mm ASPH.」ですが、実際に使用していても、その描写には惚れ惚れとさせられるものがあります。
Leica Q2
現代レンズらしい解像感に、収差を抑えたすっきりとした描写、28mmながらも歪みの少ない画作り。
Leica Q2
レンズボディ一体型カメラならではのチューニングもあって、約86万円の「ズミルックス M f1.4/28mm ASPH.」を上回ると評されることもあるくらいです。
Leica Q2
なかでも開放f1.7(近接時f2.8)で撮影した写真には、特筆すべき美しさを感じます。
明るいレンズとフルサイズセンサーの組み合わせが作るボケ味は、非常にまろやか。
Leica Q2
まるで被写体を空気ごと閉じ込めるかのようなクリアかつ色気のある描写で、なんてことない日常の中にある輝きに気づかせてくれる気がします。
防塵防滴×高解像度×AF=「旅行最強カメラ」
個人的に特に気に入っているのが、Q2から搭載された防塵防滴性能。
ライカ公式の作例が雪山で撮影された写真であることが物語っているように、このライカQ2は「アクションカメラのように扱えるライカ」と捉えることだってできます。
Leica Q2
多少の雨や水しぶきなら何の問題もなし。
そのため、どんな天候になるか分からない旅行時は、このライカQ2を1台だけ持って行くのが定番となりました。
Leica Q2
初代ライカQではセンサーにゴミが乗りやすいという問題が報告されていましたが、防塵機能によってそうしたトラブルもありません(ただしファインダーにはゴミが入りました)。
Leica Q2
またQ2から採用された有効4730万画素センサーにより、クロップ耐性も向上。
ボタンを押すだけで35mm、50mm、75mmの焦点距離を選べるため、28mm単焦点でも幅広いシーンに対応した撮影が行えます。
Leica Q2
ちなみにLightroomであればRAWにもクロップ設定が適用されているため、本当にレンズを切り替えるかのように使えるのも良い点です。
このクロップ適用は残念ながら常用ソフトであるCapture Oneには対応していないので、Q2で撮影した写真だけはLightroomで管理しようかと迷っています。
Leica Q2
そして、AFによって可能となるのが、片手での撮影。
一人旅ならともかく、誰かと旅行しているときは撮影よりも旅自体を楽しみたいので、ライカQ2はやはり旅行に最適なカメラだと感じます。
Leica Q2
なお、スマートフォンアプリ「ライカFotos」を使えば、Bluetooth経由でライカQ2のWi-FiをONにして写真転送ができるため、旅先でのインスタグラムストーリーズ等へのSNS投稿もスムーズ。
JPGの画作りも非常に見栄えのする設定となっているので、ほとんど編集要らずなのも嬉しいところですね。
AFとマクロ撮影が実現する「もっとも遊べるライカ」
Leica Q2
M10等のライカを代表するMシステムに対し、ライカQシリーズが誇る2大アドバンテージが、AFとマクロ(近接)撮影です。
普通のカメラでは当たり前の2機能ではありますが、ライカレンズでこの2つが使えるというのは、非常に大きなメリットとなっています。
AFのメリットは先述の通り。ライカQ2は顔認識や動体認識AFも備えていますが、僕は基本的に中央1点のスポットAFを使用しています。
Leica Q2
そしてなんといってもマクロ撮影。
寄れるというだけで喜んでしまうのはおかしいのですが、ライカレンズで寄れるというのは、やっぱり大きな価値なんです。
Leica Q2
手振れ補正機能と75mmクロップを活用すれば、相当なマクロ撮影も可能。
テーブルフォトはもちろん、仕事での物撮りの際にもディテール表現で重宝しています。
気になる点をいくつか
以上、ライカQ2の気に入っている点を挙げてきましたが、長期使用する中で気になる点もご紹介します。
・高感度撮影時はノイズ多め
・RAWデータの調整幅が狭め
・動画撮影時にLog撮影ができない
・フィルムモード(JPG設定)を無視した、光学ファインダー風EVF設定が欲しい
・ライカFotosとの接続がやや不安定
ライカQ2についてよく指摘される高感度ノイズ問題ですが、個人的にはあまり高感度撮影しない&ノイズの出方がフィルム風で悪くないため、大きな不満は感じていません。
総じて完成度が高いカメラという印象です。
高いけど高くない、本気で欲しい人にはおすすめしたいカメラ
Leica SL, Vario-Elmarit-SL 24-90mm
以前、ギズモード・ジャパンに寄稿した記事の中で、ライカQ2について「反則」という表現を使いました。
スマートフォンのような感覚でライカ品質の写真が量産できてしまうのは、やっぱり反則的だと、今も毎日のように感じています。
Leica Q2
M型ライカの持つ魔法のような魅力とは別物ですが、ライカQ2は実用品として間違いなくQOLを上げてくれるカメラです。
Leica SL, Vario-Elmarit-SL 24-90mm
「レンズ単体で買っても86万円で…」なんて言い訳をしたとしても、決して安い買い物ではありません。
しかし、日常の中で写真を楽しみたいという方にとっては、それだけの価値はあるカメラだとおすすめしたいと思います。
ちなみに通常よりも安く購入しようと思えば、香港での購入や海外からの仕入れなどのルートもありますので、ぜひ検討してみてはいかがでしょうか。
過去のライカQ2に関する記事
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