行合い
夏から秋へ、秋から冬へ、冬から春へ。そして、また春から夏へ。
季節は巡る。
9月に入り、うだる暑さはどこかに消え、朝晩は過ごしやすくなってきた。
夏と秋、隣り合う季節はどこでバトンタッチをしていくのだろう?
2つの季節がすれ違う瞬間はどんな様子なのだろう?
そんなことに想いを巡らせる時間が増えた。
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涼しくなってきたからか、ようやく徒歩の回数も増えてきた。
歩いていると、この世界の様子から季節に魅せられることが多い。
先日、緑生い茂る木から、『秋だ!』を見つけた。緑色の葉の中にチラホラと黄色い葉が顔をのぞかせていた。うん?どこかで経験したことがあるこの感覚。
黒色の中にチラホラと白色を見つけたあの感覚と同じだ。あの時は、出会いたくない相手だったが、緑の中に黄色を見つけることは、季節をつかまえたように浮足立つ。
夏さんと秋くん、君たちは一体どこでどうやって出逢い交わり、バトンを渡し終えるのかい?『私はもう今日で終わり。今日から僕の出番だよ!』そんな声を発してくれたら、人間たちも季節の変化を即座に知ることができるが、それもなんだか味気ない。
雲の形や空の色、植物の様子や動物たちの様子、今のこの世界の美しさから次のあの美しさへ姿を変えるとき、そこに夏さんと秋さんの交換が行われているのかな。
季節の行合いは、人の行逢いに似ている。私の人生の中ですれ違った人たちはどれだけの数に上るのだろう。過去すれ違った人が、再び巡り合うこともある。そこには目に見えない縁があって、何かを引き寄せ、何かを交換し合っているのかもしれない。
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あの日すれ違った人と再び結ばれた日、あの日結ばれたのにまたすれ違った日。糸が結ばれ、絡み合った糸をほどき、そして、また結ばれる。
縦の糸はあなた 横の糸は私
逢うべき糸に 出逢えることを
人は 仕合せと呼びます
中島みゆきの「糸」、この曲が頭の中で繰り返し流れている。
季節が行合うように、人も行逢う。
あなたの糸は、どこに向かっているの?
もしも、私が糸だったら?!もしもの世界に身を置き、私は今日も歩きながら、『秋見つけた!』『わたし、見つけた!』そんな宝探しをする日々だ。