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【365カレーエベレスト街道トレッキング2024:本編8】

(2024年春のネパール旅行の20日間を日記形式で綴っております。)



【ネパール旅行8日目】2024年4月1日(月)

寒さ。そしてマメ予防。

エベレスト街道での二日目の夜を過ごす。
それなりに寒いけれど、まだまだ大丈夫なパンボチェの夜。
寝る時の服装は、上は長袖のTシャツと薄手のダウンジャケット、下はトレッキングパンツだけ。これで寝袋には入らず掛け布団みたいにして、宿に常備されている掛け布団もかけて、快適な睡眠環境だ。
夜中に二回トイレに起きる際、布団から出たらさすがに寒いものの、凍えるほどではない。

パンボチェ(Pangboche/標高3,985 m)の朝

6:00頃に明るくなってきて眼が覚めた。
パンボチェの朝もキレイな景色。
そのままだらだら起床し、準備を始める。
歯磨きやうがいはいつも通りできるが、違ってきたのはトイレだ。大きい方を出そうと力む。すると息が上がる。用を足すにも深呼吸。それが標高4,000mでの凡人の実力か。他の場面で応用できるかは怪しいが、勉強になる。
鼻をかんだら茶色い。吸い込んだ土埃が混ざっているのだと思う。そういえば、喉も少し痛い。これらは色々な人の経験談にもよくある話だったような。そういうことにしておこう。心配し過ぎるのもよくない。
筋肉痛は無い。少し疲労感はあるけど、歩きたくないとか休みたいというレベルではない。
おそらく大丈夫だとは思いつつ、足のマメ予防のテーピングを増やすことにした。荷物を背負って慣れない道を昨日も今日も何時間も歩くというのは、日常の予測を上回るダメージになり得るのだ。これは四国お遍路の時にも経験した。だから、日常を上回る予防をしておこうと思う。

僕の場合は踵と小指にマメが出来やすいので重点的にテーピング

少しあった頭痛は、昨日と同じく深呼吸をしていると消えた。高山病の初期症状と言われる食欲低下はほぼ無い。むしろ、朝食が楽しみですらある。

ミルクティー 標高が高くなってマサラ入りを見かけない気がする

朝食。そして出発。

ひと通り準備を整えたら、食堂へ。
やはり、トーストと卵焼きとポテト等の炒め物の組み合わせが定番らしい。
名づけてインターナショナルパワー飯。気に入りつつある。
トーストにジャムをたっぷり塗る。
利尿作用が気になるので、カフェインは控えめにしたいけど、朝くらいはとミルクティーも飲む。標高が高くなるにつれて、スパイスが貴重になるからか、マサラ入りのミルクティーではない。ともあれ、これにも砂糖をたっぷり入れる。
元気満タンだ。

インターナショナルパワー飯に差し込む朝の太陽

食後、ポーターM君が来てくれたので挨拶して、ガイドSさんも含めて、今日これからの行動について相談。
僕とコトリちゃんだけではないのが、とても心強い。
今日もよろしくお願いします。

コトリちゃんがあまり食べていない、というかSさんがどこかから持って来てくれたリンゴとかは食べられるけど、がっつりしたものを食べたくなさそうなのが気になるものの、元気そうではある。
そういうこともちゃんと相談。
念のため、フラつきがないか、歩くチェックをしてもらっていた。とりあえず、歩き出すことは問題無さそうだ。

僕はといえば、元気と言いたい。だけど、普通ではない。でもここは標高4,000m。平地だったら体調悪いと言った方がいい状況かもしれないけど、ここでは当然と言えば当然な気がしている。
こういうことも含めて、感じたり考えたりする全てが新しい。
新しさを楽しみつつ、無理せずにチームで進みましょう。ということで、相談した結果、高度順応日を削っているかわりに、今日の行程は短めにしておこうということで合意。

今日も出発!

出発。そして通信。

8:00過ぎにパンボチェを出発。
標高4,000mを超えて、いよいよ森林限界なのだろう。所々にまとまって低木が生えているものの、森とは呼べない景色に変わっていく。
日本の富士山だったら3500mくらいで森林限界だから、少し不思議に思う。もしかしたら気候によって森林限界の高度は違ってくるのかもしれない。こういうこともいちいち興味深い。

興味深いと言えば、エベレスト街道の快適さだ。
もちろん東京での生活と比べたら不便に感じることはあるし、ルートの整備のおかげで歩きやすいとはいえ、標高が高く酸素が薄いため呼吸も含めた肉体的な苦しさも無くはない。
だけど、宿泊できるロッジがあるし、ロッジには布団も水も食料も飲み物もある。そして、スマホの充電も可能だし、Wi-Fiもあって通信も可能。というか、普通に4Gの電波が飛んでいるエリアもかなり広いので、Wi-Fiが無くても通信ができる。
知らない誰かが知らないうちに色々とやってくれているおかげだ。

ちなみに、ロッジでのスマホの充電や、Wi-Fiの接続は有料なことが多く、標高が上がるごとに料金も上がっていく。

ちなみにちなみに、やや重いけど、小型のソーラーモバイルバッテリーのおかげで、僕は宿の充電を借りることなく済んでいる。

ザックの上に括ってある小型のソーラーモバイルバッテリー

「エベレスト街道トレッキングに行く」と日本の友人に伝えた時に、驚かれたが、それは冒険や探検のようなものを想像しているからだろう。
僕自身の人生にとっては未知だった体験を更新してはいるものの、客観的に見たら、このトレッキングには冒険や探険の要素はゼロ。

それでもやはり、ここも、ここから先はもっと、燃料や水etcが貴重なエリアになってくるそうだ。また、そろそろ4G電波の入らないエリアに突入するらしい。

森林限界

風景色々。そして昼飯。

今日もよく歩くが、比較的なだらかなルートを進んでいる。集落の近くは石畳の道、それ以外は山の側面の土の道。

標高が上がって、ヤクの生息地域になったらしい。ヤクが放牧されていたり、荷物を運んでいたりする。
ヤクも見てみたかった。実際に見てみると、想像以上にかわいいものだから近づきたくなるが、近づき過ぎると危険なこともあるらしく、注意されてしまった。てへ。

ヤク

ひとまとめにエベレスト街道と言っても、色々な景色、色々な動物、色々な植物、色々な山々がある。そして、どこにも人が住んでいて、僕らとは全然違う日常を過ごしている。
僕らにとっての非日常は、ここに住んでいる人にとっては日常だし、その逆もあるのだろう。
そんな風に感じることも含めて、本当に全部が新鮮。

正午前には今日の目的地であるディンボチェ(Dingboche/標高4,410m)に到着した。

Hotel Stupa Inn(Dingboche)

さっそく今日泊まる予定の Hotel Stupa Inn に入る。
まだお昼だからか、他の宿泊客はほとんどいない。
そして、めちゃくちゃキレイ。特に手洗い場というか洗面所というかが清潔で、蛇口から水がじゃぶじゃぶ出てくる。山から水を引いているのだろうか。カトマンズよりも快適な水道環境と言えるかもしれない。こわいから飲みはしないけど。さらに、各部屋にトイレが付いているのも嬉しい。
ガイドSさんの宿のチョイスが素晴らしいのか、それともエベレスト街道の宿がだいたい素晴らしいのか、僕にはわからないけれど、とにかく嬉しい。

今日の午後はここでゆっくりする予定だ。
その前に昼飯だ。いまだ僕の食欲は衰えない。

Hotel Stupa Innのメニュー

なにはともあれダルバート、ということでDal Bhat Tarkariをお願いする。
ダルバートはベジしかないけど、メニューにはチキンカレーがあるので、夜はそれにしてみようかな……とか考えながら待つ。待っている間も楽しい。
こうした楽しみは毎日カレー生活ならではなのかもしれないと思うと、毎日カレー生活をしてきてよかったなと思う。
いずれにしてもダルバートはおいしい。
猛烈においしいパパドが時々あるのもおもしろい。

シンプルなベジのDal Bhat Tarkari

気のせいだったり、たまたまだったりの可能性もあるけれど、トレッキングエリアに入ってからは特にマサラが入っていないチャイ(ミルクティー)が多い気がする。そんな中、時々マサラチャイがあって、ここにもあった。やっぱりマサラ入りが好きだなと思う。

マサラミルクティー

午後の散歩。そして高所順応。

昼飯を食べ終えて、ひと休み。
水道環境がいいから、手や顔のシワに入り込んだ日焼け止めを一旦落とそうと試みるも、水が冷たくてちゃんと落ちないのであきらめる。まあいい。

今日はこのまま、まったり夜を迎えるのもいいかもしれない。
だけど、荷物を宿に置いたまま行動できるし、空は青いので、Sさんとも話して散歩することに。

ディンボチェの集落

散歩と言っても、高所順応も兼ねて、名も無き丘を登って標高4,700mへ。
ネパールの山々は凄過ぎて標高4,700mくらいのピークだと名前すらつけられていていないのも興味深い。
でも、その丘の上からじゃないと見えない景色がある。
でもでも、そんなのはここに限らず、実はすべての視界に言える事なのかもしれない。同じ場所の同じ時間の同じ感覚というのは、二度とない。当たり前すぎて普段は意識していない(むしろ意識できない)だけなのかもしれない。
ともあれ、丘の上から眺めるとアマダブラム(Ama Dablam/6,812m)の別の表情が見えた。エベレスト街道トレッキングはこのアマダブラムを回り込むようなルートなので、色々な方向から臨むことができる。

名も無き丘から眺めるアマ・ダブラム(Ama Dablam/6,812m)

青い空だったはずが、丘に雲がかかってきたので、ほどほどにして宿に戻った。

しばらく部屋で休んだら、お待ちかね、夕食の時間。
宿の食堂に行くと、今日もヤクのう●ちのストーブで暖かい。
ただニオイが少し気なる。というかコトリちゃんが嫌がっている。
それは糞のニオイではなく、やや甘ったるいニオイ。たぶんヤクが餌にしていると思しき植物に由来するニオイだと思う。
食べた物が糞になって、それを燃やすのだから当然と言えば当然だ。

ヤクが餌にしていると思しき植物

夕飯は昼に考えていた通り、Chicken Curry with Rice をお願いした。

夕飯と同じくらい嬉しかったのは、熱々おしぼりだ。
有料でもいいから追加したい。

熱々おしぼり

運ばれてきたチキンカレーは、Chicken Curry with Riceの文字通りシンプルにカレーとライス。
ダルバートと違って、おいしい!と感じる度合いが低かった、というのが正直なところ。だけど、こんなところに鶏肉入りのカレーがあるだけでも、すごいことだと思う。それがどことなく日本の某牛丼チェーン風の味わいに感じられるのもおもしろい。

松●っぽい味わいのChicken Curry with Rice

今回の旅で何度か、ネパールでは焦がしニンニクが流行ってるのだろうか、と思わされることある。実際に流行っているのか、流行っているとしたら誰の好みによるものなのか、そういうことも気になりつつ、なるべく食事に集中。考える脳よりも消化する内臓に血液を。

一皿盛りにしたら、ごろごろチキンカレー
コトリちゃんはモモ

コトリちゃんが食欲不振なのが少し気になるが、意識はしっかりしている。

夕食後にタトパニ(お湯)を飲みながら、体調チェックと明日の相談。
まずは、パルスオキシメーターで血中酸素濃度を計る。
80%台という平地だったらすぐに病院行かなければならないような数値でも、ガイドさんの親指が上がる。
もちろん自分の意識もハッキリしているし、何より食欲が無くならない。元気だ。
今日ゆっくりしたから、明日の朝にはコトリちゃんの食欲が戻ってくれるといい。
心配してもしなくても、明日になればわかること。
大事なことだとしても、今この瞬間には判断できない問題を抱えつづけることで無闇な不安に苛まれてしまいかねない。却ってそれが問題や不安を大きくすることにつながることだってある。大事なことを本当に大事にするためには、抱えすぎないことも大事。なんと示唆に富んだ経験だろう。
ここからつながる明日からの人生を楽しみに、今夜は寝ます。
おやすみなさい。



実は、2025年秋頃を目安に再びエベレスト街道トレッキングに行こうと計画して、いま資金を貯めています。図々しいですが、下記の[いいなと思ったら応援しよう!]のところ等から[チップで応援する]をしていただけると助かりますし、とても嬉しいですし、非常にありがたいです。そこまでは無理でも、とにかく、ここまで読んでいただいて恐縮です。本当にどうもありがとうございます!


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365curry 南場 四呂右(なんば しろう)
チップをいただけたら、貯金にまわします。嘘です。ちゃんとカレー活動メインで使い切ります。たとえば僕の好きなカレー屋さんが儲かったりします。