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島川あめ店さんにお邪魔しました!

甘味料の中でも血糖値の上昇が緩やかで、体に優しいお菓子やこだわり系の食品の原料として見かけることの多い「麦芽糖」。
だけど、自分には今ひとつ馴染みがなくて、ずっともっと知りたいって思ってました。

薬で栄えた富山県。
丸薬作りに薬の苦味を和らげるためにも利用された麦芽水飴。
そんな町で、創業350年、島川あめ店さんにお邪魔しました!

薬を飲む際にも利用されていた麦芽水飴。

庶民の甘味を支えた、麦芽水飴

麦芽あめの起源はなんとエジプト時代!
麦芽とさつまいも澱粉から作られる麦芽水飴。
日本でも古くから庶民の甘味として親しまれ、沖縄のサトウキビで作った砂糖や、北海道のてんさい糖を運ぶ手段がなかった頃、どの地域にも飴屋さんがあったのだそう。

昭和になり、砂糖の普及で全国的に麦芽飴の需要も少なくなる。
この地域では丸薬作りの技術者の減少もあり、大正時代には7軒あった飴屋は、今では島川あめ店さん1軒に。

昔ながらの製法で

黄金色の麦芽水飴。
スーパーなどで安価に買える透明の水飴とは原料も作り方も異なります。

こちらの写真はHPより


島川あめ店さんでは麦芽水飴を、さつま澱粉と麦芽を水に浸して一晩おいて糖化させた後、5〜6時間煮詰める昔ながらの製法。まる2日かけて作ります。
一方安価な透明の水飴は一般的にはとうもろこし・馬鈴薯などの澱粉を酸や酵素など加水分解して効率的に作る化学的な製法。
もちろん栄養分も異なります。

砂糖がなかった時代には、各家に桶に入れた麦芽水飴があり、それを料理などに使っていたという。
奥様(跡取りとして生まれ、飴を作るご主人はお婿さん)は今でもお料理は全て麦芽水飴。砂糖は使ったことがないのだそう。
砂糖やキビ糖より甘さが上品なので、使用量などが難しいが、奥さんの穏やかな笑顔とお話しする姿にを見とれる内に、私も自然な甘みをぜひ取り入れてみたくなった。

麦芽水飴と富山

滞在させていただいた短い間に、近隣の方(私と同世代くらいの方)が次々と水飴を買っていく様子は、とても新鮮だった。
「皆さんお料理に使われているんですか?」
と聞くと、
「お料理にはもったいないと言って、そのまま舐める人が多いみたい。」
この地域の方にとって、丸薬にも使われた麦芽水飴は薬に近い存在。
朝にスプーン1杯舐めると、疲れが取れやすいのだという。
病後食にも使われ、水飴を舐めると「道がつく」と言われるのだとか。

麦芽水飴の今

昔は各所で作られていた庶民の甘味、麦芽水飴。
血糖値をあげにくいことから、健康志向の人の甘味として選ばれたりもしているが、昔に比べ圧倒的に製造するメーカーは少なくなったという。
その中でも現在でも残っているのは、石川の佃煮作りや長野の菓子作り、富山の丸薬作りなど、その地域の食品・産業に寄り添ってきたメーカー。

そうやって食べ物は支えあってつながって受け継がれていく。
手間暇かけた体に優しい原材料を繋いでいくのは、各作り手さんの弛まぬ努力と、それを選び支持する人、そしてとりまく地域の盛り上がりや周辺の商売の存在あってこそ。

富山の丸薬作りの歴史に寄り添う、麦芽水飴の世界を垣間見て、その優しい甘みへの理解が深まりました。
貴重なお話をありがとうございました。

知って選べば、どれも正解!
今日も楽しい食選びを!

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