ごきげんファームさんにお邪魔しました!②
障がいのある人でも、地域の中で役割を持ち貢献し、お互いに成長しあえる関係を目指して。
農福連携、循環型で養鶏を営むごきげんファームさんにお邪魔し、お仕事も体験させて頂きました。
午前中の作業の体験の様子はこちら↓
障害者の方と一緒に、給食を頂きながら、上郷事業所の取りまとめをされている荒間さんにお話を伺いました。
「廃鶏を自分たちで処理できる、屠殺場が作りたい」
柔和な荒間さんから出た、「屠殺」というワードとそのビジョンに、一瞬とても驚いた。
心を込めて育てた鶏たち。
例えばお肉用の若鳥は50日くらいで出荷するが、ここで暮らす採卵用の鶏たちは雛の時から卵を産まなくなるまで、約600日ずっと一緒にいる。
最後までその命を全うしたい。
荒間さんは毎週自らファームで食べる分の鶏を屠殺しているが、できれば商品化して広く廃鶏のよさを広めていきたいのだそう。
そう思う一方で、外部の屠殺場に委託すると様々な問題があるのだという。
大きな屠殺場に委託すると、同じタイミングで委託した他の養鶏場の廃鶏と処理するロットも大きいため、まぜこぜになった状態で処理されたお肉が帰って来る。
つまり、送り出した鳥たちではないお肉を頂くことになる。
一方、小さな屠殺場に委託すると、自分たちの廃鶏をきちんと分類し処理して戻してくれるが、どうしてもタイミングなどが屠殺場側の主導になってしまう。
予定して出荷の準備(鶏たちを捕獲する作業)をしている最中に電話が入り、延期してくれと言われることもあるそう。
そうすると農場での作業の諸々の予定が狂ってしまう。
更に、自分たちで屠殺する場合と委託する場合では味も大きく異なるとのこと。どうしても消毒のつよい味が違う。
「この子たちはこの子たちとして、美味しく頂きたい」
自分たちで屠殺するには限界がある。
大手の屠殺場ではまぜこぜで、小規模の屠殺場は現場がうまく回らなくなる。味もよくない。
この問題は、近隣の他の養鶏場も共通して抱える問題なのだそう。
もし自分たちで屠殺までできれば、手塩に掛けた鶏たちを美味しい状態でお肉として送り出せる他、他の養鶏場の屠殺も担うことができる。
「地域で、なくてはならない存在になりたい」
荒間さんの視線は、ここで働く障害者の方たちに戻る。
地域の人に感謝され、必要とされる存在に。
半日体験させて頂いて、農福連携の現場は想像していた以上のハンドリングの難しさがあると感じた。
個々人の得意を活かした配置や作業をスタッフの皆さんはとても考えてくださっているが、それ以前にそれぞれ気分や体調の波が大きくあるので、思う通りに進まないことが多々発生するのだと。
そんな毎日を円滑に、みんなが楽しめるように回されているだけでもものすごいことだと思った。
加えて地域に必要とされる場所にするための日々の改善や取り組み。
地域の産業資源である酒粕や規格外穀物を上手に使って受け皿となり、鶏糞を発酵させた肥料として畑に還元する。
地域イベントを開催し交流を図ったり、そして次なる目標は地域に必要とされる屠殺場。
強い想いは絵空事ではなく、荒間さんは外部の屠殺場で毎週働き、3年後の屠殺場の開設に備えている。
今年の年末から、廃鶏の販売ができることも決まっている。
ここで愛情たっぷりに育ち、たくさんの卵を育んでくれた鶏たちの再出発の場。
屠殺場が開設される日が待ち遠しい。
この度は貴重な経験とお話をありがとうございました!
鶏たちの幸せそうな顔。
他の養鶏も見たことのある旦那さんは、毛ツヤの良さにびっくりしていました。
鶏舎はまったく匂いがなく(むしろもみ殻やビールのいい香り!)、微生物達や発酵飼料の底力を知りました。
たくさんの方のまっすぐな愛情に支えられに大切に育てられた鶏たちの卵、そして廃鶏のお肉。
より多くの方に届くのことを願っています!