腐るという体験
10年以上前、結婚直後の旦那さんと初夏の高尾山に登った時の話。
はりきって早起きして、お弁当を作成♪頂上の芝生のところで、「さあ食べよう!」と一口頬張ると…なんと
おにぎりが糸を引いた!!
一瞬、どういうことかよくわからなくて思わずもう一口食べてみた。笑
やっぱり糸を引いた・・・!!「腐ってる??」隣で旦那さんも気づいて、顔を見合わせた。
おにぎりは保管状況次第で半日で腐る。だけど。
おにぎりを作ったのは早朝5時ごろ。十分に冷まさないままアルミホイルに包んで(軽く結露状態に)、初夏の晴天の中、保冷剤もいれずにリュックに。そんな悪条件じゃあ、傷んで当然。と今なら思う。
だけど。
お出かけの時のおにぎりは専らコンビニおにぎりが多かった私。便利だし、ツナマヨネーズとかタラコとか、普段家では作らない具材がおいしくて♪高校の部活の時もコンビニおにぎりを買うのが楽しみだった。それらのおにぎりは炎天下の下、ずっと保冷剤なしでバックに入れっぱなしでも糸をひいたりはしなかった。衛生管理のしっかりした製造ラインと、保存料。そうやって作られた「腐らないおにぎり」に慣れた私は、手作りおにぎりも同じように取り扱ってしまっていた。
似て非なるもの
ここで問題なのは「保存料入りのコンビニおにぎり」と「手作りおにぎり」を同じように捉えてしまっていたこと。コンビニのおにぎりと手作りおにぎりは、作り方、成分、栄養、日持ち、保管方法が全く異なる。それらを知った上で、目的、用途に合わせて食べるものを選択し取り扱い方も注意しなければならない。もちろん「腐らない」というメリットを得る為に使われる保存料は、添加物のリスクも伴う。どちらがいい悪いという話ではなく。両者は別物だと、しっかり認識しないといけない。
腐るという経験
高尾山おにぎり糸引き事件。今でも旦那さんと思い出の笑い話になっている。
いい年した大人が…と言われればそれまでだけど、保存可能な商品が増えるほどに、人は食品が腐るという経験から遠ざかってはいないだろうか。どんな状況で傷みやすいのか、ものが腐った時にどんな匂いがするのか、どうすれば長く保存ができるのか。そんなことを知らずに便利な食品とだけ付き合う子供は増えてはいないだろうか。そして、私のように両者を混合し、取り扱い方を勘違いをしてしまわないだろうか。「保存料不使用」が意味することも教えてあげなければならない。
腐ることは、自然の循環の中で大切で必要な営みの一つ。もちろん、食べ物は傷まない内にきちんと頂くのが鉄則ではあるが、「食品を腐らせてしまった」そんな失敗も、子供と共有し教訓として教えていきたいと思う。