
特別支援学校の先生が「発達障害・グレーゾーンかもしれない人の仕事術」を読んだ話。
※今回のテキストは「かんき出版」からの依頼により書きました。#PR
===
こんにちは、平熱です。
いただいて読んだこの本が超絶クールだった。発達障害当事者である著書の仕事サバイバル術。汚さないんじゃなくて汚れても大丈夫な「黒い服着ようぜ」とか、社会不適合者だけど「他人の靴も揃えようぜ」とか生臭いスキルがきれいごとじゃなくたくさん書かれててナイス〜https://t.co/tpeV0aP2rs #PR pic.twitter.com/3McARs1clM
— 平 熱 (@365_teacher) September 20, 2024
このツイートが人気俳優同士の結婚くらい好評だったようで、「今度は長文で解説してちょうだいよ」と平熱と癒着がすぎるでおなじみのかんき出版からこちらのナイス書籍を紹介するお仕事をいただきました。今日、ケンタッキーにしない?
お仕事として引き受けはしましたが、もちろん「みなさんに超絶おすすめしたい」が根底にズドンと鎮座しています。事件現場に現れた小さな名探偵くらい安心してご覧くださいませ。
あらためて軽く書籍の紹介をしておくと、著者は発達障害当事者である中村郁さん。彼女がナレーションや声優として社会をサバイブしていくために獲得してきた仕事術が当人の血生臭い経験とセットで書き綴られています。きれいごとが書かれてないからかっけーです。
章やテーマごとにそのカテゴライズこそされてはいないのですが、わたしはこの書籍を大きく「メンタル編」と「実践編」に分けて読むことができると感じました。
発達障害当事者の方が、こちらの書籍を読めば「メンタル編」もかなりの破壊力をもってあなたのテンプルやみぞおちにのめり込んでくるでしょう。
もちろんそうじゃない人にも刺さるコンテンツは多いです。

こんなページなんて、どっからどう見ても全人類に有効です。安易に成功者のマネをするのは危険だって義務教育で教えてこ。生存バイアス危険すぎ。
ただ、著者がある種の同胞に書く「メンタル編」に、(一応)発達障害当事者でないとされているわたしが首を突っ込んでも正直やはり門外漢ではありますし、なにより「特別支援学校の先生として」この記事を書こうと思ったら
やっぱ具体の話
をさせていただきたいんです。
「実践編」について言及させてくれ。
仕事や生活に「なにを考え向き合うか」ではなく「なにを買って使い、なにを工夫してどう向き合うか」。
抽象ではなく具体、「あんな感じでいこうよ!」ではなく「あれをやれ!これをやれ!」の話をさせてもらう。
過激な一夜になるぜ。
付き合ってくれ、振るい落とされるなよ!
それじゃあ始めてまいりましょう。
発達障害・グレーゾーンかもしれない人の仕事術を読んだ平熱が書く「あれをやれ!これをやれ!」の話〜!!!
===
それでは本編です。
ここからは、実際に書籍の内容を要約したり引用したりしながら、平熱なりの感想を書いていっちゃいます。
1章:大きなミスをしないための回避法
1−1:持ち物はすべてリスト化する
第1章の1発目からすごくない?いきなりのハードパンチ。持ち物はすべてリスト化しろ!とかましてきます。
もう一度言いますね。すべてですよ。すべての持ち物。
著者の痺れる一節を引用するだけで雷に打たれた衝撃を喰らい、生死をさまよう可能性さえあります。
「あえて書き出さなくても、そんなもの忘れないんじゃないの」と思ったそこのあなた。油断は禁物です!「私たちは忘れるのだ」ということを肝に銘じておいてください。
もう最高じゃないですか。
私たちは忘れるのだ
これをベースに作戦を立てることがいかに大切か。「忘れないんじゃない、忘れる」のだ。
こうやって自分を疑い続けることは特別支援教育の観点からも非常に大事です。
なぜなら「失敗しない」ではなく「失敗のしようがない」環境を設定することが、子どもたちを適切な行動に導くためのアプローチだから。
「穴があるから落ちないようにね」ではなく、さっさと穴を埋めちまう方が5億倍正しいじゃないですか。
「落ちないようにね」では、いつか誰か落ちるんです。あなたもわたしも落ちるんです。
塞いでる穴には落ちません。「失敗のしようがありません」から。
*
1-16:発達障害の私たちが持つべき手帳
発達障害を持つ私たちは、スケジュールを管理することが苦手です。
この断言も痺れます。
いいよね、この「苦手です」って言い切っちゃう潔さ。
で、さらにグっとくるのがこのあとに続く「もうこれ以外使わなくなった」って手帳の紹介なんです。
その手帳の特徴は、見開き1ヶ月のカレンダーの他に、大きなメモ欄が付いた見開き1週間のページがあって、ノート1冊分くらいの余白があること。
だから、書きたいときに、好きなところへ、好きなことが書き込める。
「書きたいときに」ってのが発達障害の当事者からすると重要なんですって。常に頭の中がぐるぐると忙しく動いていて、思考がこんがらがっている人は、たくさんの余白に自由に書き出せるのが最高オブ最高らしいぜ。
そんな著者が「これ以外使わない」って言い切るノートが気になる方は、ばっちり商品名まで書いてくれてるからぜひ書籍を手にとってね!よろぴくね!(宣伝ぽいでしょー!)
===
2章:環境を整えるライフハック
わたし自身、SNSの投稿や書籍、なんならイベントでまで「環境設定」の重要さを説いて説いて説きまくってます。
釈迦に説法、平熱に環境設定です。
もちろんこの本でもそんな「環境設定」の話がてんこ盛り。
「失くし物をしない!」という「意識」ではなく、「失くし物をしようがない!」もしくは「失くし物をすぐに発見できる!」という「環境」を設定することで失くし物へのダメージを最小限に抑えます。
2−22:文明の利器、紛失防止タグを使う
だからこの紛失防止タグについての話なんて、とっても理にかなってますよね。自分のスキルや努力に頼らずとも、文明の利器に頼って環境を整えられるんならそれにこしたことはない。どんどんサボって楽していこう。
この話に限らず2章:環境を整えるライフハックは「整理整頓をどうやって行うか」など具体の話がたくさんなので要チェックやで〜
===
3章:得意を活かし、不得意を補う仕事術
3-39:タイマー術で過集中を逆に活かそう
発達障害やグレーゾーンの人たちには、極端な得意や不得意があることも少なくありません。
また、注意が散漫である一方、何かに没頭すると集中しすぎる「過集中」という特性があることも多いです。
著者は、ある角度から見れば「生きづらさ」とも捉えることのできるこんな特性を逆に利用する方法を編み出します。
それは、目標時間より少し短い時間でタイマーをセットすること。
これの最大の利点を彼女は
タイマーをかけている以上、時間内に終わらせたいというゲーム性を帯びてきます。
と説きます。
めちゃわかる。
結局、人間をもっとも(半ば強制的に)動かすのは「〆切」なんだってわたし自身も本を書き上げて気がつきました。
敏腕編集者から送られてくる「先生、◯日までに次の原稿よろしくです♡テヘ」
に何度も白目になりながら、設定されたゴール(〆切)に向けてキーボードをパチパチやってたんで。
だから、おなじ「かんき出版」から出した平熱の代表作も「タイマーが書いた」と言ってもいいくらい。常にタイムタイマーを眼前にセットして、強制的にゲーム感覚で「今日の〆切」を設定して乗り切りましたから(泣きながら)。
===
5章:いつまでも忘れずに持ち続けたいマインド
ここ、とってもよかったです。
5-63:人の靴まで丁寧に並べよう
この効能や「人の靴まで並べる」という具体的な行動を示してくれている点も当然すてきなのですが、なによりわたしが胸キュンしたのは社会不適合者を自称する著者自らこの行為を「きちんとした社会人であることの演出」と言い切ってくれてる点です。
「やさしい行為」なんてのは、結局「やさしい(と相手やまわりの人が思う)行為」なんです。
ぶっちゃけ、こちらがどういう意図をもっているかはほとんど関係ありません。
電車の中。「あの人しんどそうだな、席を譲ろうかな。でも迷惑かもしれない。それに恥ずかしいな…でもしんどそう…」と善意100%で席をなかなか譲れない人と「ほんとは一切譲りたくないし、ひとりで乗ってたら絶対譲らないけど、デート中の彼女にいいとこ見せたいぜ」と下心100%でサッと席を譲る人。
まわりから見たら「席を譲った人と、譲れなかった人」なので。悲しいかな、やっぱりこっちも現実です。
きびしいけど、針の山を歩いてくしかない現世で生き残るためには理解しておくといいマインドです。だから「演出」が必要なんです。
自分のことも、相手のことも、社会のこともわからないままでいい。
ただ、そういう演出を理解して実践することの尊さをこの本はきれいごとに包まず書いてくれています。血の匂いがするのは、いい書籍の条件だ。
===
以上で、ザっとした本の紹介を終わります。
いかがだったでしょうか。
この本がいかに泥臭い「具体」の話をしてくれているか、わかってもらえたと思います。
もちろん、紹介したのは本のほんの一部分。
なに?足りない?
わかってるよ、おかわりが欲しいんだろ?
せっかくなのであとちょっとだけ「具体」の話をしておくね。
たとえば、「小型冷温庫を買え」「甘酒を飲め」なんてのも自分じゃとてもじゃないけど思いつかないライフハックでした。
目から鱗と、ど迫力の付けまつ毛がこぼれ落ちました。甘酒買お〜
というわけで
こんなテクニックや知識がバーレルから溢れるクリスマスチキンくらいふんだんに詰め込まれている書籍です。ぜひ、年末年始にゆっくり読んでみてちょーだい。今日、ケンタッキーにしない?
著者の中村さんはもちろん、平熱に感想送ってくれてもうれしいです。読んで良かったら、みんなも宣伝よろしくね!
それじゃあ、みんなも良い子にしてお腹を隠してあったかくして寝るんだぞ。最後まで読んでくれてありがとー。
良い子のみんなのところに、すてきなプレゼントが届きますように。
来年もよろしくね。愛してまーす!!
2024年12月平熱
いいなと思ったら応援しよう!
