失敗して落ち込んだ時には、もうひとりの自分に登場してもらおう
綿密に計画を練って目標をたてたはずなのに、おなじことで幾度も失敗を重ねてしまうと、そのことだけで「自分は根気のないダメ人間だ」と決めつけ、
仕事やプライベートにおいても自信を持てなくなってしまう方が時々いらっしゃいます。
「最近なんだか忙しくて歩くのやめちゃったし、疲れて料理作るのめんどくさいから冷凍パスタとかコンビニ飯とかで済ませちゃってるし、食べたらすぐ寝ちゃうしなぁ。でも疲れてダイエットのこと考えるのもめんどくさいんだよねぇ。あ~まずいなぁ。まずいけど気力もないんだよねぇ。また服を捨てなきゃならないかなぁ。捨てることすらめんどくさいわぁ…」
などとぶつぶつつぶやきながら、何日かぶりに恐る恐る体重計に乗ってみると…
ダイエットどころか先月よりかなり増えていて、その瞬間から服に着替えることを忘れるほどの強い脱力感がからだじゅうを襲い、しばし裸のままその場に立ちつくしてしまいます。
当の本人にとっては、一大事です。
「ダイエットに失敗し体重が3Kg増えた」というたったひとつのできごとが
⇒ 「もうだめ、人間失格。自分は何をやってもまともにできない」という極端な認知(頭の中のイメージ・考え)を引き起こし
⇒ その時におこった感情は「落ち込み」や「自責の念」や「不安」や「悲しみ」などネガティブなものばかりで
⇒ 同時に「強い脱力感」や「疲労感」や「動悸」といった身体症状をも引き起こし
⇒ そのあとは着替えもままならず、予定していた明日の会議の準備もせず、片付けも洗濯物もせず、猫のトイレ掃除もせず、
ビールをあおってふて寝してしまうという行動に至ります。
そして、そのネガティブな気分を引きずったまま次の日をむかえます。
この流れを要約してみると、
本人にとって望ましくない「できごと」がきっかけとなって
⇒この世の終わりのような考え「認知」になり
⇒負の「気分・感情」と病的な「身体症状」が引き起こされ
⇒すべてを投げ出す「行動」をとるという結果になってしまった。
ということになります。
時には、ぐるぐると悪循環を形成してしまうことがあります。
この「できごと」⇒「認知」⇒「気分・感情」および「身体症状」⇒「行動」という流れを外在化(意識化・言語化)して相互作用をとらえ、
それらのうち「認知」と「行動」に関して意図的に対処(コーピング)することによって悪循環を改善しようと試みるのが「認知行動療法」です。
認知行動療法を用いるには、「もうひとりの自分(メタ認知)」を登場させ、自分を客観視してもらう必要があります。
この世の終わりのような考え「認知」が現れたとき、「もうひとりの自分」を登場させ、
「できごと」⇒「認知」⇒「気分・感情」および「身体症状」⇒「行動」という流れを外在化(意識化・言語化)してもらうことにより、不思議なほど心が落ち着き、冷静に客観視して対処できるようになることが期待できます。
しかし「もうひとりの自分」を登場させるのは、簡単なようで難しく、ショックに打ちのめされている時はたいてい、
頭の中は真っ白になり、前後不覚にテンパって、「できごと」から「行動」までの流れはほぼ無意識下にマッハ1の速度で進んでしまいます。
猫に餌をあげることすら忘れて布団に入り、午前四時に猫にたたき起こされてはじめて、なにもせずに寝たことを知ります。
なので、もう一人の自分が登場しやすいように、リハーサルをしておきましょう。
「できごと」⇒「認知」⇒「気分・感情」および「身体症状」⇒「行動」までを文章に書きだして、次に備えるのです。
すると自然と、「この世の終わりだ」という認知は、
「疲れてたらダイエットもできるわけない。まずは少し体を休めよう」とか
「ちょっとおおげざじゃない?いくらでも取り返せるんだし。実際に挽回できたことあるじゃない」とかに変化し、
次回また失敗したときには、建設的な行動が起こせるようになることが期待できます。
関心をお持ちになった方は、試してみてくださいね。
最後まで読んでくださって、ありがとうございました。
ではでは また。みなさんの健康を願って。