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ふくしま浜街道トレイル ダイジェスト 4/8 浪江町/双葉町 道の駅なみえ~双葉駅
こんにちは。岩手県宮古市あたりを中心に、みちのく潮風トレイルや三陸ジオパークのガイドをしている人です。みちのく潮風トレイルは南下と北行それぞれの向きで全線を2回踏破しています。
ゲストハウス3710というゲストハウスもやっています。宿泊に限らず宮古市に来たらぜひお立ち寄りください。
この記事は、みちのく潮風トレイルの兄弟分ともいえる「ふくしま浜街道トレイル」の紹介記事です。
基本的にはセクションハイクを想定した情報を提供しています。ふくしま浜街道トレイルの沿線には宿泊施設が多いので、地域振興のためにも、それらの利用を前提としています(公式にテントを張っていいと認められている場所は紹介を入れることがあります)。
登山路なども含まれるみちのく潮風トレイルでは、かなり細かいルートガイドの記事を用意していますが、ふくしま浜街道トレイルは、ほとんどの区間が舗装路の街歩きとなっているため、細かいルートガイドは省きます。
主な見どころや注意点、公共交通とのアクセスポイントなどを南下でダイジェスト紹介していく無料記事です。
この記事では、浪江町の道の駅なみえから、双葉町の双葉駅までをダイジェストで紹介します。
(この記事は2025年1月時点での情報で書いています。あくまで記載の情報は目安として、各自の自己責任にて充分な調査や計画のうえで行動に臨んでください。記載内容の正確性や、記載内容を参考にしたことにより生じたトラブルや事故等について、当方は一切責任を負いかねますのでご了承ください)
■道の駅なみえ~旧請戸小学校
今回のルートは、浪江町から双葉町にかけて、原発災害の影響が大きな沿岸を歩きます。常磐線の駅で区切って歩けますので、歩行難易度そのものは低いです。ほぼ高低差もない舗装路です。
原発災害の影響で居住不可になっていた時期が長いエリアのため、商店等は場所が極端に限られますので、行動食や、特に夏場は水分はしっかり備えておくほうがいいでしょうね。
双葉駅から南の大野駅の間は、2024年4月時点ではまだ歩行ルートになっていません。常磐線の電車での移動になりますので、南に続けて歩きたい場合は、常磐線の時刻表ともにらめっこになります。
このルートは、東日本大震災を知る道という位置付けとしては、みちのく潮風トレイル、ふくしま浜街道トレイルの両方をあわせてのハイライトの一つになります。震災遺構請戸小学校と、東日本大震災・原子力災害伝承館、浅野撚糸スーパーゼロミルの三か所が大きな見どころになりますので、開館日に合わせることと、見学時間を考慮してプランニングすることをお勧めします。
また、現在は整備中ですがいずれは伝承館とつながるように福島県の復興祈念公園ができる予定です。
道の駅なみえをスタートします。浪江町の拠点は、周辺に宿泊施設がいくつかあることを考えると道の駅のほうが利便性が高いかと思います。
道の駅なみえからJRの浪江駅までは20分ほどルートを離れることになります。
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なみえ焼そばかなみえ焼そばパンがやはりオススメですが、それ以外にも、地域の拠点施設としてもとても充実していて、ゆっくり見学したい施設です。
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ルート自体は、道の駅なみえを直接は通らずに、請戸川の対岸から川沿いの堤防ルートになります。
堤防沿いに、津波被害で枯れた木だと思いますが、そのままになっているのが印象的でした。すでに復興工事や新しい植林が進んでいる地域では、こういう風景はもう残っていませんものね。
避難期間が長かったり、除染の影響が長かったためなのでしょうか。原発災害の影響が大きかった地域では、まだ何も終わっていないのだなあということを、この辺りからしみじみ感じるようになります。
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請戸川を渡って、さらに河口に向かって堤防を歩きます。
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堤防の下には請戸漁港の魚市場かな?の施設もあります。たまに販売イベントをやるようです。
その辺りの堤防の上には、福島県最東端の地の標柱。
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請戸漁港の紹介看板があります。また、近くにお手洗いがありますね。
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そこから植林工事中の区画を歩きます。2024年4月時点、まだまだ工事が始まったばかりという感じです。岩手県や宮城県の沿岸と比べるととても遅れていて、原発災害の影響が色濃く残っています。
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荒れた区画に、ぽつんとお地蔵様が。ぼうぼうの植物が印象的です。
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震災遺構の旧請戸小学校です。
受付から校内をほぼ一周するように順路が出来ていて、とてもよく整備されている震災遺構の一つです。
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ここの横から入ります。営業していない日や時間でも、外から眺めることはできますね。
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震災当時の現状をそのまま保存しているタイプの遺構ですね。また、当時に生徒達がどのように逃げたかといった情報が実際の場所ごとに分かりやすく表示されていて、逃げた山も見えるので、イメージがしやすいです。とてもよく考えられている展示だと思います。
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当時のままです。
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電源立地促進対策交付金施設のプレートがなんともいえませんね。
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他の学校の震災遺構では見られないと思いましたが、津波で破壊された体育館も印象的です。
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屋外にもプールのはしごや外階段など見どころがありますね。ゆっくり回ると30分以上はかかると思いますが、やはりじっくり見たい施設です。
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■旧請戸小学校~東日本大震災・原子力災害伝承館
請戸小学校を離れます。
まだまだ工事車両がたくさん走っています。数年前まで宮城県や岩手県でもよく見ていた光景。この辺りではまだ終わっていないというより始まったばかりですね。
ぽつんと慰霊碑があります。
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工事が進む辺りを歩くと、簡易的な展望台。この辺り一帯が福島県の復興祈念公園として整備中で、その中心になる予定の場所ということのようです。
現在はこの仮設っぽい展望所があるのみ。
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川を渡ると、浪江町から双葉町に入ります。
土地改良の記念碑がぽつんと立っています。先人達が苦労して農業に適した土地に改良した場所の跡をいまやこの碑が示すだけと、なんとも複雑な気持ちになります。
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土地改良の碑から、東日本大震災・原子力災害伝承館の外側を回って入口のほうに向かえます。
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土地改良の碑のほうからでもアクセスできます。その場合は、最初に「原子力 豊かな社会とまちづくり」の看板に出会いますね。
これは現物ではなくてレプリカです。
当時使われていた標語は他にも何種類かあり、このレプリカは定期的にそれぞれのものに差し替えていくようです。有名どころは「原子力 明るい未来のエネルギー」だと思います。
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伝承館の周辺は、まだ何もない空き地です。これから、復興祈念公園の南端の辺りがここになるのだと思います。
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伝承館は、一階と二階の一部が自由見学エリアになっています。
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有料エリアは、一定時間ごとに、映像シアターの上映からまとまって入場する流れになっています。展示内容はかなり充実していると感じましたので、有料見学をおすすめします。ゆっくり見るなら1時間ぐらいは優にかかりますね。語り部も申し込めます。
ただ、浪江町で運営している請戸小学校の遺構を見た後にこちらを見ると、ずいぶんお金かかっているなあ、といういびつさも同時に感じましたが…。
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展示内容は名前のとおり、原子力災害に関する内容が中心になっています。
時系列や、あのとき何が起きていたのか、総合的に知ることが出来るようになっていて、内容はしっかりしています。
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こちらの写真が、原子力標語の看板。現物は撤去されてこの伝承館の屋外にレプリカ展示されています。トレイルのルートで、双葉駅前の商店街の、この看板があった場所を歩くことになります。
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東日本大震災のなかでも、原発災害の資料が充実しています。
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実際に使われていた資料を見ると生々しいです。
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伝承館の向かい側には、双葉町の産業交流センターがあります。休憩施設やレストラン、コンビニなど、産業の復興拠点ということかと思います。
2024年時点では双葉町には他にほぼ商業施設がありませんので、ハイカー的にも双葉町での拠点はここになります。
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東電の復興本社が入っていて、作業員らしき人達もたくさんいました。いまもまさに復興に取り組んでいる現在進行形の場所、と感じられて、ここもとても印象的な施設でした。
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■東日本大震災・原子力災害伝承館~双葉駅
伝承館周辺を出たら、まだ建物もまばらな地域を歩きます。
使えなくなった建物に、アートが描かれている風景が、双葉駅方面に向けて増えていきます。
産業再生のための工場誘致区域になっているようで、これからまた風景が変わっていくのでしょう。
また、この一帯からほんの少し南に行ったら、中間貯蔵施設がもうすぐそこにあると考えると、色々なことを考えさせられます。
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きれいな建物が見えてきます。
浅野撚糸株式会社の工場、フタバスーパーゼロミルです。自由に入ることが出来ますので、せひ立ち寄りましょう。
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浅野撚糸の「エアーかおる」シリーズの工場と、直売店と、カフェが一体化しています。
双葉町の観光交流や産業再生のシンボルとして2023年にオープンしたばかりです。
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建物のデザインも見どころですし、双葉町に工場を作った漢気には何かを感じずにはいられません。
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工場を見学しながら館内を歩ける作りになっています。
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キーコーヒーのカフェも併設されています。こちらは地元シラスのパスタ。
双葉町は震災以来、何年も時間が止まっていて、ようやく人が戻り始めたところ。町内でのあらゆる体験が考えさせられることばかりです。
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スーパーゼロミルを離れると、古い町並みが残ったままの双葉駅前方面に向かうことになります。
駅までの道のりは、古い建物が残ったままです。人は住んでいません。草がぼうぼうで、本当に時間が止まっています。
ところで、南相馬あたりから、防犯のパトロールの車をよく見かけます。私も何回かスピードを落とされてじろじろ見られましたが、まあ、荷物背負って人がいない街をわざわざ歩いているのは、疑われてもしょうがないですが、それもこの辺りのルートで印象深かったことです。
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手入れがほとんどない草の生え具合によるものなのでしょうか。人間が何年か暮らしていないというだけで、こんなに寂しいのですね。このあたりの風景はなんともいえないものがあります。
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国道6号線の地下道をくぐって、川を渡ります。
この橋を渡ってアパートの前を抜けたあたりが、例の標語の看板があった、駅前商店街の入り口になります。
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東邦銀行の跡。こちらにも壁画。
津波で被災した遺構や街を見るのももちろん心に刺さりますが、原発災害の地域は、建物自体は何もなく残っているにもかかわらず生活臭がなくなっているという不自然な光景が、なんともいえません。
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こちらは、国の文化財指定を受けた建物のようでオシャレです。周りは変わっていくと思いますが、これはこのまま残されるでしょう。
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時間が止まった、を感じるドアとシャッター。
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こちらにも、アート。町に人が戻ってくると、これからいずれこの建物も変わっていくのでしょうか。
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新しい双葉駅で、東西自由通路を兼ねています。左側の茶色いほうが以前の駅舎。
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跨線橋で東西が結ばれています。
改札口にも線量計。
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駅の東側に、新しい双葉町役場が出来ています。
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双葉駅の旧駅舎は、待合室とコミュニティ施設として使われています。
時計は2時46分のままです。
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駅の西側は、これから帰還する住民のために新しい街が作られようとしています。
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しかし現実的には、これから帰還する・帰還できる住民がどれほどいるのか、困難が予想されます。双葉町では、現在も震災は終わっていませんね。帰還可能になってからまだ一年ほどの頃に歩いてみて、なんともいえない独特の空気を味わいました。
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今回の区間はここまでです。
次の記事では、双葉駅から富岡駅までの区間を紹介します(2025年時点では、大野駅までは常磐線を利用です)。
一つ北側の記事(無料記事)↓
ふくしま浜街道トレイル ダイジェスト(無料記事)↓
みちのく潮風トレイル全線コースガイド(有料記事)↓