Lesson 10 お部屋で姿勢づくり  Story 早くうまくなろうと思ったら。

💧 Lesson 9では壁を蹴って前に進む練習をしてみました。                            ムリのない滑らかな泳ぎを身につけるためには壁を蹴ってから少しでも速く・長く進めることが肝心です。                   今回はそのための練習です。水には入りません。たいせつなポイントは、「感じること」です。これが水中で出来ると上手な蹴伸び(ストリームライン)になると思います。

Lesson 10 お部屋で姿勢づくり

姿勢づくりの要点

☆  水の中とはいえ、地球の引力(重力)があります。それを利用します。
                                  ☆  走るときは地球の引力を利用し、倒れる力を加速に生かします。   水泳は、沈む力を利用して推進に生かします。
                                  ☆  たいせつなのは、水中での姿勢です。
                                 ☆ いろいろなテキストなどで、姿勢の作り方が紹介されていますが、意識するポイントが多すぎてうまくできないという声をときどき聞きます。ここでは、ただ1か所だけに力を入れて、カラダに起こる変化を「感じて」いただきます。
                                 ☆  骨盤を前傾とか後傾させる方がいいとかっていわれますが、骨盤は関節生理学的にニュートラル(中立)な状態に保って「動かしちゃダメ!」です。医療従事者であり、研究に裏付けられた運動を普及させるという認定資格者でもある以上、ここは強調します。
                                 ☆ 骨盤前傾や後傾という方法や腹圧を入れるエクササイズなどは、そもそも骨盤をニュートラルに保つことができないから行われていると思うのです。(テーマがわからなくなるので、これ以上ここでは骨盤に触れません。)

やり方

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① リラックスして硬い床の上にうつ伏せになります。両手を挙げて手のひらを床につけます。薄いタオルなら、おでこに当ててもいいですが、何もない方が実際に近いです。
                                 ② 両腕は、なるべく肘を伸ばし耳につけます。
                                  ③ 胸・腹・下腹部・大腿前面・膝蓋骨(ヒザの皿)の外側・足指などはすべて床についていると思います。
                                 ④ 下肢(脚)は、ちょうど内またになるように太ももの付け根から軽く捻り(内旋)ます。                          理由は、この方が解剖学的に足部(足首から先)を伸ばしやすく(底屈) いわゆる親指同士が触れ合うカタチが自然にできるからです。
                                  反対に、いわゆるガニ股のように下肢を外側に開く(外旋)と、つま先を上げ(背屈)やすくなります。これは平泳ぎの練習のときに行いますから、今回は使いません。
                                  ⑤ (この練習で唯一、力を入れるところです!)ヒザを伸ばし(絶対曲げちゃダメ!)床についている膝蓋骨(ヒザの皿)の外側面を床から離すように両方の下肢(脚全体)を同時に持ち上げますが、腰を反らせる力がすこしでも働いたら持ち上げ過ぎです。                   そうです。骨盤は「動いちゃいけない。」んです。
                                  もちろんお腹も胸も床から離しません。足指だけは辛うじて床から離れるくらいです。左右の膝蓋骨(ヒザの皿)外側面の皮膚が何となく床に触っているくらいがたぶんちょうどいいと思います。
                                  そこで「感じる」のは、手のひらです。下肢を持ち上げたと同時に手のひらが、「勝手に!」床を押していたら正解です。自分の意志で押したらダメですよ。
チョビっと下肢(脚)を持ち上げたら、手のひらがチョビっと床を押してた! そんな程度です。
 水泳の教本などでいわれている、おなかに力を入れてお尻を締めてなどが「そういえば自然にできているわ。」状態になっていれば、尚、スバラシイです。
                                  姿勢(ストリームライン)づくりは、これだけでイイです。
                                  左右の肩甲骨を寄せ、一方の手の平をもう一方の手の甲に重ねるポジション(※)でも同様です。
※ 手の平と手の甲を重ねて耳の後ろから頭を挟むようにするポジションは、スタートやターンのあとで泳速が速いときに有効なフォームです。泳速が遅くなったら腕のポジションを耳の後ろから耳の前などに変えてみましょう。(グライドキックというのを行うときに、また説明します。)
                                 ⑥ 以上で完成です。下肢を少しだけ持ち上げたら手のひらが床を押す=前に体重がかかる。が水の中でもできるように、おウチでひたすら練習です。
                                  映像を見る機会があれば、トップスイマーがスタートやターンの後に見せる水中姿勢を観察してください。手の平や頭が脚(足)よりも下(深い方)にポジショニングされているはずです。(図)

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★ 最後に、くれぐれも、骨盤は動かさないように! 腰が反る!は下肢(脚)上げすぎですからね。

Story 早くうまくなろうと思ったら。

 カナヅチ以下だったわたしでしたが、3か月後には100m個人メドレーが泳げるようにまでになりました。スイミングスクールで生徒さんにこんなに早く上達されたら商売になりません。
でも、どうしてこんなことができたのでしょう? 
たぶんこうです。
                                  部活を思い出してください。                     4月にズブの初心者で入部しても秋の試合や発表会などには出てたりするじゃないですか。それといっしょです。
 日々、ガチで専門的な練習をさせられ、先輩たちのゲームレベルの技術を毎日目の前で見ていたら上手くなるでしょう。             

だから、本気で早くうまくなろうと思ったら、専門的なトレーニングや練習に積極的に取り組むこと。同時に高いレベルの技術を常に間近で見ていること。そしてそれをしっかり実践すること。さらに科学的な視点からの研究を怠らないこと。だと思っています。
                                   当時のわたしは、業務のあとで毎日必ず最低500m泳ぎ、先輩コーチや選手たちの泳ぎを毎日しっかり見て、その上で、どうしてそうするのか、果たしてそれがベストなのかなど、書籍や映像に触れながら検討を重ね、実際に泳いでみるといった毎日を送っていました。
                                   ですから、決して、いわゆる運動能力などから短期で上達したのでははないと思っています。

☆彡 Lessonが本格的になり始めましたので、次回からLessonとStoryを別けることにしました。

次回は、 Story  みんな同じではないから。    です。

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