初めての待ち合わせ #方言note
ずっと前から見てた。
入学式の時、キミだけ、髪に桜の花びらがのってて。
あの日から、薄ピンクの目印が脳内では再生されて。
目で追ってしまう。
キミに初めて話しかけられた日は、一日中、口元のニヤつきを止めるのに必死だった。
今日の小テストの内容はみやすかったね。
キミが僕を経由して授業中に回した手紙は、少し透けて読めたからガン見。
チョッパーが、ぶちかわいい!!
ふむふむ。
ワンピース読むんだな。
チョッパー好きなのか。
手に触れるチャンス到来。
すいばりがたったけぇ。
指を差し出すキミ。
指先には小さな小さな棘。
隣の席になってしまい、
嬉しすぎて、休み時間に寝たふりを決め込む。
あーっ、また寝ちょる。
なんだか無性に意地悪したくなって、
トイレから帰ってきてびしょびしょの手を、
机にあったチョッパーハンカチで拭く。
これは使っちゃだめなほ!
自分のハンカチ、どうせももぐってポケットに入れちょるんやろ。
怒っていても優しいキミは、
なぜかぷっちょを僕に差し出す。
かつえるわ…。
よーけあるけ、あげる♡
そんなこんなで
放課後に
駐輪場でキミを待ち伏せした。
僕は、渾身の、緊張の、告白。
うちも、ずっと前から好きやったほ。
ふたりで小さくガッツポーズをしあう。
次の日、朝、コンビニで待ち合わせて学校へ行くことにした。
でも、ワクワクしすぎて寝れなくて遅刻。
5分遅刻。
息をきらして走っていくと、
キミは雑誌コーナーに。
ガラス越しに、僕は立つ。
ちょっと不安そうなむすっとした顔が、
僕を見て、
目に光が宿って、
ぱぁぁっと頬に赤みがさす。
声を出さずに、口の動きだけで言う。
ちゃんと早く来ちゃってくれん?
(了)
⭐︎⭐︎⭐︎
学校が再開して、しばらく経ったころ、実際にコンビニで目撃したのです。
最後のシーンだけ。
それで、
そこへ至るまでのあれやこれやが、
勝手に浮かんできて頭から離れなかったので記事に。
そして、猫野サラさんの#方言noteという企画を知って、山口弁で書いてみました。
学生の時、山口県の同じ高校から二人で進学してきた子たちがいまして、掛け合いを毎日聞かされていたのです。
女子の会話、とっても可愛いなぁ、と思っていたのを文字化しました。山口弁女子、最強説。
念のために、翻訳をのせておきます。
今日の小テストの内容は簡単だったね。
チョッパーがすごいかわいい。
木のささくれが刺さったの。
あーっ、また寝てる!
これは使っちゃだめだよ!
どうせ自分のハンカチ、くしゃくしゃにしてポケットに入れてるんでしょ。
お腹がすいて辛い…。
いっぱいあるから、あげる♡
私も前から好きだったよ。
ちゃんと早く来てちょうだい。
標準語でもキュンと来るなぁ。
ハトちゃん(娘)と一緒にアイス食べます🍨 それがまた書く原動力に繋がると思います。