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どこにもない場所・どこでもない場所
ゴールデンウィーク中、皆さんはどう過ごしておられたのだろうか?感染に気をつけつつどこかへ行かれた方も、自粛してどこにも行かなかった方も、どちらもおられることだろう。私は・・・、私は、そのどちらにも当てはまった。
旅はどこから始まるのだろう。
家を一歩出た時から。
飛行場に足を踏み入れた瞬間から。
かの地にタラップを降りて第一歩を踏み出した時から。
人によって定義は異なると思う。
⭐︎⭐︎
私は、どこにもない所に行きたい。
私の脳内地図に載ってない所へ。
地図は駅から放射状に形成されている。通ったことがある道は濃く太く表示される。入ったことのある商業施設や公共の美術館などは大きく表示される。入ったことのない路地や建物は白地図のままだ。電車で行ったことのある街は大体、駅から展開していく。みせる表情は玄関から入った家家のようにおなじ顔をしている。私の中にはそういう街の地図がたくさんある。そして今日も、駅と駅の間に白いままの空間が残る。
いつも歩くその道の、ある角を曲がった瞬間から旅は始まっているのかもしれない。知らない街かどに立つ自分。そこは主要な道から一本入っただけの街かどなのだが。
繁華街の店と店との間の狭い横丁を入っていき、そこ通れるの?というくぐり戸を抜けて、誰かの家の庭先を横目で見ながら塀と塀に挟まれた小道を進み、行き止まりまでたどり着く。
知らない場所で見上げる空はどんな色だろうか。
⭐︎⭐︎
ゴールデンウィークの後半、私たちは家に帰らないことにした。ずっとテントにいた。家から食材を持ち出し、外で食べ、寝袋で寝た。
ただし、自宅の敷地内からは一歩も出ていなかった。
ガレージでずっと過ごしたのだ。
大きなテーブルを組み立て、火をおこし、肉を焼いてご飯を炊く。いつものガレージだけど、ガレージじゃなかった。ちゃんとアウトドアだった。昼は少し暑くて、夜は寒かった。テントの中で、娘とくすぐりごっこしてゲラゲラ笑った。
朝、目が覚めると、テントの斜めの生地が朝日に照らされて黄色く光っていた。外では、夫が早起きしてパチパチと火を起こしている。すぐ近くで土鳩がホウホウホホーと鳴いている。自分がどこにいるのか分からなかった。
知らない場所にいるみたいだった。
⭐︎⭐︎
概念上の旅に出たい。
どこかへ行きたくてたまらないけれど、それが叶わないのなら。
どこにもない場所・どこでもない場所に行こう。
とおくのではなく、
しらないところへ。
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