水野うたさんへの手紙
1.まず、ありがとう
朝夕に寒さの気配を感じ始めた10月の中頃に、ワクワクする企画を見かけました。企画の名前は #あなたへの手紙コンテスト 。
うたさんの主催。
ああ、絶対参加したい。
企画のコンセプトやそこへ込められた思いにもとても共感しました。
なぜ、「手紙」を選んだのか。
それはね、「思い」に触れたいからです。
なにか伝えたいことがないと、手紙って書かないでしょう? 手紙というと「書けないよ」って思うかもしれないけれど、はがきや便箋じゃなくたっていいんです。メッセージだと思っていただけたら。
私はちょうどその頃、常に気にかけている人がいて、言えずにいた言葉たちが心の奥で結晶みたいになっていたところでした。
note界の方々もきっと、普段生活していく中で誰かに感じたこと伝えたいことが知らず知らず体内に降り積もっていることでしょう。そのメッセージは、きっかけがあれば外に紡ぎ出されてくるはず。手紙として。
私は、本当にワクワクしました。
皆さんが誰に宛てて、何を書かれるのか。手紙を一通一通開封していく楽しみに震えました。
うたさん、この企画を発案してくださってありがとう。
2.そして、ありがとう
企画が始まると、毎日を楽しく過ごせました。
次々にマガジンにピックされる手紙たち。
そしてTwitterでは、心躍る帯で紹介がなされました。
さらにnoteでは、まとめ記事を20本も。
公開される度に、美味しいお料理をさっとテーブルにサーブして、
bon-appetit!
と微笑むうたさんの姿が見えるようでした。
よくお見かけするあの方だけではなく、初めましての方も、お久しぶりの方もおられて、本当にバラエティに富んでいたなあ。内容も、振り幅が広かった。推しの芸能人に宛てた熱ーい手紙や、お父さんに宛てた泣ける手紙、過去の自分へのエール。皆さんすごいなあ、懐が深いなあ…。
結果発表の日、私はおせんべいにキャラメル持参で、完全に他人事として受賞作品を見ようと思っていました。そしたら、Twitterなどで親切な方々から続々とお祝いの言葉をいただきまして、びっくり。
『いくつもの夜をこえて』白雪賞受賞。
何という美しいタイトルをいただいてしまったのかしら。この賞、私に?思わず後ろを振り返ってしまいました。誰もいませんでした。
この賞をいただいたお手紙は、なんというか降りてきたというか、スルスルふぅーっと出てきて書きつけたものでした。これまで私はいくつかのコンテストに応募させてもらっていますが、いつも肩に力が入ってしまって、よそ行きの文章になっていたと思うのです。
こんな風に書けたのは初めてでした。
それが賞を!
うたさん、ありがとうございました。
おわりに
エピローグ的なお話をひとつ紹介します。
小梅ちゃんに宛てたお手紙で白雪賞をいただいた夜が明けて、次の朝。
小梅ちゃんは復職して初めて、朝のスピーチをしてくれた。うちの事務所では、業務前に日替わりで一人が何かを話すという謎の風習がある。小梅ちゃんは本人の体調を慮って免除されていたけれど、
「あ、私、話します」
の一言で、スピーチしてくれることになった。
私は、一人で熱いエールをおくった。
でも視線が熱を帯びないように、目元はふんわりと、えびす顔を保った。
「復職してずっと仕事に慣れるのに一生懸命すぎて、音を聴くことが辛かったのですが、やっと耳に音楽が聞こえてくるようになりました」
「今聴いているのは、ブラスバンド時代にチューバで吹いていた“アルヴァマー序曲“です」
「久しぶりに聴くと、これまで聴こえなかった新しい音に気がついたりして新鮮です。皆さんも思い出の曲を聴くとリフレッシュになるかもしれません」
私は、話し終わった小梅ちゃんについつい、パチパチと拍手してしまった。思わず、「ブラボーー!」と言いかねなかった。復職して、毎日出社して、少しづつペースを取り戻して、ついにスピーチをやり遂げた小梅ちゃん。
少しだけ小鼻を膨らましてデスクに帰ってきた彼女の顔は、ピカピカ光っていた。
さいごに
うたさん。
この企画を走って走ってやり遂げたあなたにも、
「ブラボーーーーーーーー!!!!!」
空の虹賞 受賞です。
(森野きのこさん、転載の快諾ありがとうございます)
ハトちゃん(娘)と一緒にアイス食べます🍨 それがまた書く原動力に繋がると思います。