いじめ防止対策推進法
ある小学校でのお話です。
「『いじめ防止対策推進法』に基づき、今日からあだ名や呼捨てを禁止し、うちの学校ではフルネームにさんを付けて呼ぶことになりました。では、出席を取りますね」
「有川亜香里さん」
「はい」
「加藤洋さん」
「はい」
「小早川さと美さん」
「はい」
「佐山謙太郎さん」
「はい」
「えーと、杉太寿限無寿限無五劫のすりきれ海砂利水魚の水行末雲来末風来末食う寝るところに。ふぅ……住むところやぶらこうじのぶらこうじパイポパイポパイポのシューリンガンシューリンガンのグーリンダイグーリンダイのポンポコピーのポンポコナの長久命の長助さん。はぁ……疲れた」
「へ〜い!俺、杉太」
寿限無君はクラスの人気者でした。
しかし、一週間も経たないうちに、寿限無君を呼ぶのが面倒になった友達は、みんな離れて行きました。
……そして、寿限無君は孤立したとそうです。