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テックタッチカスタマーサクセスとして2年半でやったこと
久々に仕事の記事を書きます!テックタッチ カスタマーサクセスはまだ取り組んでいる組織やナレッジもなかったりするので、2年半でどのようなことをしてきたかを簡単にまとめてみようと思います。
KPIは課金→解約・クロスセル
最初は、課金率、オンボーディング率、途中から解約率・オンボーディング率、従量課金MRR(クロスセル)として施策を実施してきました。課金率を追っていたときは、ユーザーは事業者登録→トライアルを経由するため、登録までをマーケ、トライアルから課金をサクセスが担当していました。そもそもなぜサクセスとして課金率なのか?という疑問を持っており&課金までの体験が部署で分断されることで不便もあり、一年半後に組織が変わったタイミングで解約率とクロスセルに変えました。ちなみに、それまで契約後のユーザーを見ているチームはなかったので、そのあたりの課題抽出もデータ収集もゼロから始めました。
私が入社した当時はテックタッチチームが立ち上がって半年くらいで、リーダーとメンバーは2.5名くらい、インサイドセールスと同じ部でした。単価は高くないため、なるべくテックタッチで課金を促したいと活動していたものの、やはり人が必要となりISが立ち上がったそうです。その後も人の入れ替わりはあるものの常時チームは2〜3人で活動してきました。
従業員規模50名以下の企業を対象に、課題の特定・解決策の比較・施策の実行までをしてきました。
・定量(アンケートやデータ)や定性(セールスへのヒアリングやインタビュー、商談同席)リサーチ
・KARTEを用いてプロダクト上でのポップアップでの訴求、コーチマークなどユーザービリティ改善
・Marketoを用いたナーチャリングメール
・プロダクトの改善
・インサイドセールスとの連携
・データを用いたユーザーの傾向分析
・効果計測用のダッシュボードの作成
取り組んできたこと
オンボーディングプロセスやサポートコンテンツの表示
成果があった施策の一つがhome画面のオンボーディングステップの表示。入社半年後に関わったプロジェクトで、開発やデザイナーを巻き込みながら実装することができました。実際に数値の向上も見られ、カンパニーMVPをいただきました🎉
その後はKARTEで完了・未完了項目やサポートコンテンツの表示などの施策を実施して、より完了率を上げることができました。
オンボーディングの課題(なぜ設定しないのか)を解明するのはずっと難しかったので、課題特定にフォーカスしすぎず他社の事例を読み漁り、何を(What)どこから(Where)どのように(How)&よくある質問 の施策を実施したのが良かったなと思います。
属性に分けた体験設計
従業員数や機能利用有無、最初に利用開始したプロダクトのデータなどは、施策や分析で活用していまして、このデータの持ち方(真偽なのか日次などかなど)や持っているデータの把握は施策でも分析でもかなり重要だなと思いました。加えて、私たちの場合現状の業務状況(税理士に依頼している・エクセルや紙・他ソフト・これから始めるのか)でおおよそ経理リテラシーがわかる=体験設計がしやすくなるため、KARTEのアンケートでとって→BQに格納していました。回答率が30%程度なのでできたらプロダクト上でとれたらいいのいな〜と幾度となく思いましたw
どのように活用するかというと、最もサポートが必要かつ人が接触しづらい「これから始めるユーザー(=会社設立したてかつ経理初心者の可能性が高い)」をテックタッチが最も注力する属性として、その方たちに合わせた初心者向けコンテンツ、税理士紹介などを表示させていました。「他ソフト利用中」はピンポイントで質問がある場合が多いので、オンライン相談をその方に合わせた訴求にして表示していました。
加えて、サポートの必要有無もKARTEのアンケートでとって、BQ→SFにつなぎ、ISの架電優先度の参考にしていました。これで課金率が上がり、カンパニーMVPをいただけました🎉
金融機関データ連携機能利用の促進
クラウド会計の大きな価値の一つは金融機関のデータ連携、金融機関のIDとパスワードを入れるだけで自動でデータを取得→ボタンひとつで仕訳完了!という機能です。トライアル時にこの機能を試してほしいと、利用しない理由のアンケートをとったり様々な施策を試したりしていました。操作がわからないのか?とコーチマークで操作を案内したり、自社のデータを使いたくないのか?とサンプルデータを提供したり、使い道がわからないのか?とどのようなときに使うべきかを案内したり。
特にサンプルデータは、アンケートからも自社のアカウントがない・使いたくないという回答が多かったので、これだ!!!と思っていたのですが、全然効果が出ませんでした。最終的に効果があったのは、メリット訴求とStorylaneを用いた操作デモでした。
これが課金トリガーになるのではという仮説もあったのですが、施策やセールスからのヒアリングで、そうではないこともわかりました。導入理由は「クラウド化したい」という理由が大きいため、そもそも機能を知らないという方も多かったです。
KARTEでのバナーの差し替え運用
開発を通さずビジネス側で自由に差し替えられるバナーはかなり便利でした。メールを開いてくれるのはリテラシーや熱量が高いユーザーで、KARTEはポップアップで閉じられると表示されないという欠点がありました。そのため、プロダクト上の常設でいつでもアクセスできる何かが必要になることが何回もあり、とはいえプロダクトを改善するにはなかなかハードルが高く。。もともとプロダクト上のバナーを差し替えるには開発に依頼する必要がありましたが、KARTEで差し替える運用に変えるようにし、施策の幅が広がりました。工数だけでなく、KARTEにしたことでクリックなどのデータと他のデータを紐付けられるので効果計測もしやすくなったのもよかったです。
課金トリガーの発見とオンボーディングとの因果関係
定性情報と定量情報を行き来したり施策で仮説検証をしたりして課金トリガーやオンボとの相関を解明しようとしたのですが、明確には見つからなかったです。当時は課金とオンボーディングの時系列を見ても実施したから課金しているとは結論づけられず、最終的には「体験をよくしたら課金してくれるし、他サービスの利用にもつながる」という意思で進めることにしました。後々このあたりを解明することができたのですが、このような分析はわからなくても時間をおいて何度もトライすることが重要だという学びを得ました。
併用(他サービス利用)の課題抽出〜施策を実施
「なぜ他サービスを利用しないのか」に対して商談やアンケートで多かったのは「11サービスを使えることを知らない」「従量課金がわからない」「課題に感じない」「どのようなサービスがわからないから」が次に多かったです。11サービスがあり、サービスによって従量課金の仕組みが異なります。
ということで、ありとあらゆる導線に11サービスの紹介や従量課金をわかりやすく説明した資料を設置しましたが、利用も従量課金も伸びませんでした。まだ模索中ですが、サービスと従量課金の理解を促進するLP、詳細に効果計測をするためのダッシュボードを作成し、流入ごとの行動の数値を見れるようにし、プロダクトの様々な訴求を試すことにしました。
一般的にはマーケティングだとLPやセミナー、WPといった施策を行いますし、私たちもセミナーも実際にやってみたのですが、ユーザーのボリュームゾーン(「課題がないと思っている」方たち)に対しては時期尚早で、効果があまりなかったです。そのような方には、まず理想があること(クラウドの利便性)を知ってもらう、その前に最初に知ってもらうきっかけづくりからやる必要があるのですが、課題がないので振り向いてもらうことすら難しい。最も効いたのは、法制度対応(昨年の電子帳簿保存法とインボイス制度)だったので、そういった外的変化を最大限に活用する必要性をめちゃめちゃ感じました。
仮説の段階ですが、給与や勤怠は初期設定、経費や年末調整は従業員の操作がハードルになっているのではないかと思っており、給与は初期設定実践会を始めました。
ユーザー向けのポータルサイトの制作と導線設置
これは隣の部署が制作しているのですが、確実に必要だなと思いました。簡単なサービス紹介の動画・設定用セミナー・サポートコンテンツがまとまっているサイトで、困ったらここを見るという存在になると強いと思います。
というのも、プロダクト上だと業務をしにきているので他の情報はノイズになってしまうことが多いので、情報を得るために来る場所が一つあるだけで伝えられる機会や可能性が広がります。
解約傾向の分析やダッシュボード
解約傾向のあるユーザーの分析は、いくつかのセグメントに分けて比較したり解約タイミング、機能利用の差異を見たり、という分析を広くしました。当たり前といえば当たり前ですが、月額プランの解約率が高かったため、基本的には月額を対象としてオンボーディングとの因果関係が見れるようなダッシュボード、課金から◯ヶ月後毎のダッシュボード(全体の解約率だと変化が見えづらいため)を作成しました。
解約分析の一番壁になったのは解約アンケートがいけてなかったことw回答がMECEになっていないためほとんど使い物にならず、改修を依頼したもののまだ着手されていないため、理由の分析ができていません涙 解約アンケートは最初からちゃんと設計するのは本当に大切! 他にも当てはまることですが、この回答が多かったら・少なかったら何がわかるのか・できるのか、までを考えてアンケートをつくる大切さを学びました。
とはいえ、今の解約理由からわかることとして「税理士に依頼するから」という回答が一定数あったため、弊社の税理士紹介サービスの訴求を強めました。まだ解約率への貢献は見られていませんが、流入は他経路よりも多く、必要性があることがわかり始めています。
KPI設定・効果計測・ダッシュボードの作成
前の段落でさらっと組織が変わり…と書きましたが、当時のチームや私の状態はかなりよくありませんでした。個々が自由に企画を立て施策を実施しており、効果計測基盤も整ってない、よくわからないKPIを追っていて、達成感もチーム感もない。という状況だったため部長が変わり、そのタイミングでリーダーになりました。
施策のことを多く書いていましたが、リーダーになって最も力を入れたのはKPIの設定・ダッシュボードの作成・KPIやKGIの相関分析でした。
効果計測は、各ツールKARTE・マルケト・メール送信ツールの3つから、開封・クリックしたあとの行動を追えるようにしました。KARTE Datahubを入れていたおかげでBQにKARTEのデータがあり、KARTEが最も速く進めることができました。チームとしてもPDCAを回せるようになり、うまくいってもいかなくても達成感を感じられるようになり、状況がよくなりました。
マルケトは効果計測が難しいので、PDCAの中心に置く指標をクリックや開封率に振り切りました。このあたりは理想を持ちつつも割り切りも大切だなと思いました。
セールス業務の平準化
セールスの方とは毎週定例をして情報をいただいており、セールスの方がよく伝えていることを施策化するのは筋が良い確率が高かったと思います。実際にセールスの方からいただいた意見でトライアルの方向けの資料をつくってバナーに設置した所、経由したユーザーは機能利用・課金転換率が比較的高くなりました。
難しいこと
・表にでてくる顧客の声に惑わされない
前述した機能利用や併用施策で記載した内容ですが、アンケートやセールスと接触しているようなユーザーは、熱量が高いユーザーなので、私たちが救うべき低いユーザーの声ではありません。実際にその方が言う課題を解いても効果がでないことが多く、見えないユーザーの課題特定には勘も必要ですが、仮説を立て施策を実施しながら解明していくことがかなり重要だなと思いました。
・前例がない
マーケティングのように課金やリード獲得がゴールでないので効果計測が複雑で、弊社内や他社の例があったとしてもプロダクトによって解約理由や併用の課題は異なるので、ゼロから考える必要がありました。
・プロダクト改善が不可欠
いつでもアクセスできるコンテンツの設置・邪魔にならない体験・ユーザビリティの改善のためには、CRM・MAツールでは限界があるため、プロダクト改善ができたら…と思ったことがたくさんありました。オンボーディングの重要性を証明できず、経理初心者向けの体験設計にリソースが割かれにくく、なかなか取り組めていないのが辛いところです。
・見えない所に意思決定者
バックオフィス系のプロダクトならではなのかもしれないですが、税理士や社労士が業務担当者だったり意思決定者だったりするものの、社内にいるわけではない・企業のロジックでは動かない場合もあります。
・私たちだけで全体の体験設計が完結しない
弊社ならではの課題ですが、いちプロダクトにも複数の部署が関わっていたり、契約後の事業者に複数部署からメールが送られていたりするので、私たちの考えている理想の体験が成り立ちません。
・セグメントを細かく分ける必要がある
私たちのサービスは税理士の方、税理士経由で契約している方、経理の方、弊社の担当が付いている税理士と様々な属性があり、それぞれに伝えていいこと・よくないことがあったりするので、最初はどこまで施策を対象にしていいのかの想像をするのが難しいことがあり、実施するとしても細かい設定が必要になります。その際にKARTEが大活躍してくれました。
最後に
2年半やってきて、導入ハードルが高いものの人が介さずサクセスするのはなかなか難易度が高いと思っています。テックタッチはハイタッチがある場合に、ハイタッチの業務を効率化・平準化すること、特にオンボーディングやヘルススコアをもとにした解約阻止など(機能を利用していないなどでアラートを出すなど)に向いていると思いました。とはいえ、弊社のような様々なユーザーが利用するサービスはそれぞれに合わせた体験設計が必要であり、プロダクト内では完結できないので、もどかしさを持ちながらも頑張ろうと思います。
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