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嫌いな自分を選んでいる

小さい頃から夢を持っていなかった。

幼稚園のときからこじらせてたというか、ひねくれてた。将来の夢に、花屋さんとかパン屋さんとかありきたりなのを書くのが嫌だった。だから可愛くなりたいって書いた。

お遊戯会でみんなが主役に立候補する中、宝石役に真っ先に手をあげた。満足感に溢れていた記憶がある。

未来に期待をしていなかった。未来のことを楽しみにすると、うまく行かないことばかりだった。だから、楽しみなこともむりやりネガティブな未来に変換してた。

高校3年生のときは、バリバリのキャリアウーマンになりたかった。そのときからすでに、結婚しなくても生きていけるような女性になる、というのが軸だった。その具体的なイメージがパンツスーツが似合う女性だったから、体型の維持には人一倍気を使った。社会人一年目銀座で働き毎日ヒールを履いて歩いていたら、満足した。2年目に転職をしたら、毎日スニーカーになった。

今も夢はない。小さなやりたいことはずっと持ってたけど、気づいたら叶ってたってことが増えてきた。地域に関わる、人をつなげる、陽だまりのある部屋で暮らす、近所の居酒屋でおじちゃんと仲よくなる、お母さんを助ける。

最近はやりたいことよりも、見たい景色という表現の方がしっくりくる。それがありありと描けるものは、勝手にがんばれる。将来なりたい私を描くと、やはり家族の存在感が濃い人ではない。少なくとも子どもがいる人ではない。

私が結婚や恋愛から避けてしまう理由のひとつは、家族にあると思う。私の家庭環境は、複雑ではないけど普通ではない。湘南の戸建てに住み、お母さんはパートで働き家事もちゃんとやる、父は大手企業に勤めている。まわりの親戚との関係も良好。

普通ではないというのは、父は割と割と重い病に2回かかっている。その度に母は、自分の多くの時間を割いて看病してた。いまでも自分の意志よりも父のために使う時間が多いのではと思う。母の時代はそれくらい家庭に貢献するのは当たり前だったかもしれないけれど、今は違う。少なくとも私は。

こういうリスクは「もしかしたら」くらいに思って結婚していいと思うけれど、私に一番近い夫婦にはそれが2回も起きた。だから、シンプルに結婚したら幸せになれるという方程式が、他の人よりも成り立ちにくいんだと思う。ちょっといい人がいたとしても、この人と付き合って結婚して得られる喜びを考える前に、その「もしかしたら」が起きたときのシーンとそのときの感情になってみてしまう。大抵そこで終わる。

たぶんいま私がひねくれている理由は、家庭環境の要素もあるし、狭い公立の小中学校で過ごしたことも大きいと思う。なんだか世の中にはよくわからない理論がある。それが私と重なったり並行的なものであれば何も困らなかったと思うけれど、残念ながら私はそうではなかった。私の意思なんてない方がいいって何回も思った。

ひねくれの反対をなんと呼べばいいかわからないけれど、ちょっと違う捉え方をするなら一面体の中で生きている人たち。以前の私は、それに対するうらやましさにまみれていた。今でもあるけど、前より感情を無にして事実だけを見られるようになった気がする。それよりもそれを見ている自分の感情に嫌気がさす。人と違う特別な存在でいるために、斜に構えてしまうんだと思う。

一面体であることを信じ続けた方が幸せだとも思う。だけど、私は一面体の中で苦しかったし、その危うさも知っている。だけど、選択肢を知ってからつらいこともたくさんあった。だから、私はその人たちを目の前にしたときに、選択肢を見せるべきかどうかをずっと考えてきた。就活生とアラサーとアラフォーでそのクライシスが起きるらしく、そのときの解決策はどの年代でも同じらしい。だから、これから救いたいその人たちがいたら、ちょっと手を差し伸べてみようと思う。ひっぱりはしないけど。

言葉も人も多面体。言葉で伝えきれないことも、伝えたと思っても伝わってないことも、ある。だから、私はこれからも精一杯伝えていきたいし、多面である自分を生きたいと思っている。

なんて思っている私は、人前で色々な感情や自分を出すのが嫌い。なんで嫌いなのかはわからない。

みんなが楽しくできることを私はできない。シンプルにかわいい、楽しい、つらい、感情が動いた時を、人に見せられない。具体的に言うと、インスタのストーリーに投稿できない。ドライフラワーとか、スタバの新作とか、アフタヌーンティーとか、体調悪いとか。いままで投稿したくなったことはあったけれど、何回も途中でやめたり、投稿したとしてもあえて綺麗に見えないようにした。

日々それらを選択しているのは私だし、自分の感情が動く選択をしているけれど、それらが積み重なってできた自分を私は好きではない。そんな私を受け入れてくれる人には本当に感謝しかない。

何でも思い通りになったら楽しくないし、人生はもっとシンプルなんだけど。なんだかうまくいかないことばかりだ。

ちょっとでも、あなたの心にひっかかったら。