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KZ PRX 低価格平面駆動の完成形(n回目)【PRレビュー】
私が(私たちが)愛してやまないKZからついに提供レビューの機会をいただくことができました。
再三レビューを面倒くさがっている私ですが、KZの提供をお断りすることはできません。それくらいに思い入れのあるメーカーの新作を紹介させていただきます。
概要
今回のPRXはPR1~PR3まで続いたシリーズの最終章的な位置づけです。
現在KZオフィシャルストアでのみ購入でき、価格は$53.99~$58.99
なんと今回TypeCのケーブルバージョンを選択できます。
(提供品は3.5mmマイク無し)
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約8000円前後の価格ながら、1~2万円台の平面駆動機と十分に渡り合える実力があると感じました。詳細は後述します。
パッケージ、付属品
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外観
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中央のY字スリットの奥に青の差し色が入っていて、スマートなカッコよさがあります
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ノズルもシェル一体のプラ成型:個人的には強度の不安があり金属ノズルがよかった…
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装着感
KZ ZSシリーズと同形状のシェルで大きすぎず装着感は良好です。
後述で比較しているSymphonyやAs16Proはシェルが大きすぎて人を選ぶ形状でしたが、PRXは装着感の心配はしなくて大丈夫です。
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音質
私の主観評価です
サブベース◎
ミッドベース△~〇
男性ボーカル〇
女性ボーカル◎
高音◎
音色は寒色傾向音で、
平面駆動らしい切れの良さ、歪みの少なさ、粒立ちが滑らさが魅力。
高域はシャープな印象があるものの刺さりは感じません。金物のシャキシャキとした質感が非常に気持ち良い。
サブベースはさすがKZといったところで、かなり深いところまで表現できます。しかし暴れまわるような低音ではなく全体の調和がとれた理想的なバランス。
ミッドベースは少し控えめに感じました。楽器でいうとベースよりもドラムのキックのほうに意識が向く感覚。ビート感を感じやすい反面、ベース主体のファンキーな楽曲では勢いが削がれるかも…
女性ボーカルはベースに埋もれず滑らかで綺麗に伸びます。
逆にミッドベース帯まで下がるような男性ボーカルは主張が弱く感じます。
いつもリファレンスにしている楽曲のひとつ、ビリーアイリッシュ「Bud guy」では脳汁があふれ出すほどトリップ感がありました。
他にはKZとしては意外なことにクラシックとの相性が良いと思いました。
ヒップホップやEDM系のビート感重視の楽曲も得意。
他機種との比較
前作からの変化
前作PR3が出た時には「PR1、PR2はPR3を作るための有料ベータ版だったんだ」と言われたりもしていましたが、まさかPR3までもが有料ベータ版だったとは…
具体的な変化点としては、PRXはPR3の刺さりを緩和したそうです。
人によって刺さる帯域は違うと思いますが、GoogleAIくんの回答によれば「8khz~10khz前後が刺さりを感じる帯域」とのことです。
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PR3以前のPRシリーズを未視聴なので、↓の波形を参照すると10khz前後のピークが削られていることが分かります。(測定サンプルが少ないのであくまで参考程度に)
実際、私は高音の刺さりに敏感な方だと思っていますが、PRXで刺さりは感じませんでした。
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前作のほうが好みの音だという方もいると思うので、PR3以前を知りたい方は他の方のレビューを探してみてください。
HzSound Luna との比較
PRXは良い意味でのKZ臭さ(誇張感のあるちょっとしたうさん臭さ)を感じ、Lunaはより自然でDDに近いように感じました。
Lunaをレビューした際は「他の平面機と比べて一番平面っぽい音」と評価しましたが、PRXの方がより平面らしさを感じます。
Tangzu ZetianWu(武則天)との比較
武則天が暖色、PRXが寒色に振り切っているという違いがあるものの、かなり近い雰囲気を感じました。おそらくサブベースの量感から感じる印象だと思います。
価格差は3倍近く違いますが、PRXが武則天に劣っているとは全く感じませんでした。(Tangzuマニアの私としてはかなりの誉め言葉です)
KZ Symphonyとの比較
私が所持するKZで平面駆動ドライバーを積んでいる唯一の機種Symphonyですが、Symphonyの低音ゴリラには遠く及ばない、というかSymphonyの低音が突き抜けすぎていて比較になる機種はほとんどないかも…
Symphonyは真横でゴリラが怒り狂って吠えながらドラミングしているかのような低音。まさに暴力の嵐。
対してPRXはしっかりサブベースが出ているものの、非常に理性的で全体のバランスを保っています。
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KZ AS16Proとの比較
AS16Proの全音域が一斉に主張してくるお祭り騒ぎのような感覚に比べて、PRXは各音域の繋がりがとても滑らかで纏まりを感じます。
チューニングや質感は似た方向性を目指しているように思いました。
上流(出力について)
低出力のDACだと実力を出し切れない場合があるので、バランス接続か高出力のDAC/アンプが推奨です。
Tanchjim LUNA(ローゲイン)
ボーカルと高音が印象的で寒色味が増します。
付属ケーブル シングルエンドだと若干の出力不足(低音量感不足)を感じました。
適当なバランスケーブルにリケーブルすると十分な低音量感を得られたので、バランス接続推奨です。
KAEI TAP2(TUBE-ハイゲイン)
寒色に変わりはないが、中低音に若干有機的な表現が加わり、リスニングライクに。
付属のシングルエンドケーブルでも十分な迫力を感じることができます。
まとめ
KZくん、またやってくれましたね(良い意味で)
変なことやりながらも新しい技術、高額な技術を低価格帯に引き落としてくれるKZは中華イヤホンの最重要ブランドだと思っています(ちょっとしたうさん臭さも含めて)
先日思い付きでXで「KZ触ったことない中華イヤホンマニアおりゅ?」という旨のポストをしたところ思わぬ反響があり、狼狽えていたのも記憶に新しいところですが、おそらくそのポストがKZさんの目に留まってお話をいただけたのだと思います。
レビューの機会をくださったKZ様、ありがとうございました。
購入は以下のリンクから。
とても良いですよ🥴