![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/41079685/rectangle_large_type_2_7e78e0a9d063233bf4f36fbd076d136c.jpg?width=1200)
派遣のお仕事
夜間、スーパーに並ぶ食品の仕分けをしている。
派遣会社は両手の指の数以上登録したが、経理はもとより、一般事務、受付、PC入力、電話アポインター、クリーニング店の受け渡しなど、片っ端から応募したが、音沙汰なし。
60歳以上は人としてカウントしない、と言う不文律が、絶対あるな。それも、いったん俎上に上げてから落とすのではない。生年月日入力時点でゴミ箱に振り分けられているとしか思えない。
「誰でもできる、簡単手作業」なる、仕分けやピッキングのお仕事も、昼間の時間帯だと全くお呼びがかからない。電車で1時間、さらにバス20分の場所とか、朝5時から作業開始とか。ハードル高すぎでしょう。時給1200円、交通費支給無し、うーん。
これってわがままでしょうか。だって、当方還暦すぎですよ!と、こんなところで年を持ち出す自分。が、これが現実。60歳以上の人が働ける場は、本当に限られている。すなわち、皆がやりたくない仕事。早朝、深夜、清掃、介護、洗い場、草取り、片づけ、夜間の見回り、工事現場の誘導・警備、などなど。
60歳以上で働いている人の割合は、結構高い。60~64歳で77%、65~70歳で53%。その実態はどうなんでしょう。まず、64歳までだと、定年延長で継続勤務している人が30%位、自営業でそのまま仕事している人が5%位、気になるのは残りの40%くらいの人だ。週一回ビラを配っているとか、月に2~3回植木の剪定をしている、なんていうのもお仕事の内にカウントされているのでしょうね。
こうした境遇になってから、働いているご年配者が視界に入ると、目が吸い寄せられる。この人は、週何回ここで働いているのか、時給はいくらか、いつからこの仕事をやっているのか、どうやってこの仕事を得たのか、頭の中を想像が駆け巡る。
観察を続けた結果、ご高齢の労働者は4つの種類に分けられる。A:よさげな仕事をシャキシャキこなしている人、B:よさげな仕事をトロトロやっている人。C:しんどそうな仕事をシャキシャキこなしている人、D:しんどそうな仕事をトロトロやっている人。AとDは納得がいく。高齢でもシャキシャキ仕事ができるから、良い仕事に恵まれている。または、トロトロしか働けないから、しんどい仕事でもえり好みせずにやるしかない。
納得がいかないのはBとCのパターンだ。こんなにトロトロした人が採用されるのに、なんでみみずには仕事がない?また、こんなにシャキシャキした人なら、いくらでも働き口があるだろうに、何ゆえ、しんどい仕事を選んだのだろう?
いろいろ見聞きする内、腑に落ちた。60歳の手前、またはずっと手前からその仕事をしていた人は、会社が順調で、本人によほどのことがない限り、たとえトロトロでも仕事を続けられる。または、順調な会社(民間とは限らない)にコネがある場合も同様だ。
しかし会社が順調でなかったりした場合、素っ裸でジャングルに放り出される。生き伸びるには、蛙でもゴキブリでも食わねばならない。お口に合わないなんて言ってられない。能力の優劣など取るに足らず。運、不運の問題だ。そこまで考えたら腹立ちが少し収まった。
戦争に巻き込まれることもなく、災害に見舞われたわけでもない。奴隷に生まれたのでもないし、交通事故にも会わず、今まで無事に生きてきた。老後の準備は怠ったが、まだ、何とか生きている。上等。
と言うことで、ようやく拾ってもらったのが今の仕事だ。立ち上げたばかりの作業所で、猫の手でもよいからかき集めたい、というところに、幸運にも潜り込めた。