トランスミッションて、何?
車の運転が苦手だ。駐車場に停めるのに最低でも5回の前進、後退を繰り返す。それでも斜になって、白線ギリギリ、挙句の果てにストッパーにぶち当たって止まる。かれこれ20年も使っている駐車場である。
縁石に乗り上げるのもしょっちゅうで、先日も駐車場から道路に出ようとハンドルを左に切ったら、ゴリッと嫌な音がした。後戻りもできず、エイヤッとそのまま前進した。もっと嫌な音がした。少し走ったところで車を停め、車体の前後を確認したら、ちょっとした擦り傷。ノー・プロブレム。
♪~僕は~元気な~昭和の子~♪ 擦り傷なんか~ヘーッチャラだーい~♪
と、思ったのが大きな間違い。その後ひと月余り経ってから、発進がスムーズにできない症状が現れ、日ごとに悪化し、さらにひと月経った頃には交差点の真ん中で、ヤバ、と言う状態に立ち至った。その間、なじみの修理屋さんにも見てもらっていたのだが、さしたる外傷もなく、縁石に乗り上げたことはすっかり忘れていたから、報告もしていなかった。エンジンを長めに空ぶかししてから運転するようアドバイスされただけで終了した。
二度目に持ち込んだ翌日、修理屋さんから電話があった。
「トランスミッションがへこんじゃってるよ。こりゃあ、取り換えないとだめだね。」「トランスミッションって何ですか。」「車のね、エンジンの次に大事なところ。何か固いものに乗り上げたでしょう」「うーん、思い当たることがないではない」「また、縁石?」「多分」「お金かかるよー」「いかほど?」「30万から50万」
頭痛と、腹部不快感が同時に押し寄せた。