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夏至の会

一年の中で昼間の時間が一番長いとされる夏至。東京は朝から雨で少し肌寒いくらい。重く湿気の多い中、今夜は何を作ろうかと思いを巡らす。

先週、とても素敵な女性にお会いしてきた。彼女は高枝鋏を片手にドレス姿で庭に入り、梅の収穫の仕方を教えてくれた。ちょうど旬の蕗もたっぷりと収穫させてもらう。まだ少し早かったのか茗荷は少しだけ。立派な赤松に、月桂樹、よもぎ、柿、竹、ドクダミ、庭を案内してくれる横顔にこの土地での暮らしを心から楽しんでいる様子が伺える。料理家でエッセイストの寿木けいさんが営む遠矢山房で開催された夏至の会は、大菩薩峠の湧水に始まり桃畑でいただく野点まで。心尽くしのお料理としつらえに私の心と体が喜んでいるのがよくわかる。

今年はじめての蕗を自分で採る。なんて贅沢。

蚊取り線香の香り、美しい大谷石と淡竹の笹、ピアノの音色と犬の相槌、蕗と蕗染、茗荷の葉で包まれたおやき、甲州小梅。目に見えるものと見えないもの、たくさんのお土産を頂いた私は1週間経ってもまだ余韻の中にいる。なんとお礼をお伝えすれば良いのやら。同じ時代に生きていてくれてありがとう、気前良くシェアしてくれてありがとう、そんな気持ちで彼女の本を読んでいる。

結局、大雨の中買い出しには行けず家にあるもので夕食に。トマトとしらすの素麺、蒸した薩摩芋と胡瓜とエノキの和え物。最後にお土産の甲州小梅で作ったシロップ漬を炭酸割で。(J)

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