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【地域活性企てLabo】#5 “企画の考え方”を考える。

第1~4回目のイベントレポはこちら 
 ♯1 観光コンテンツの企画を考える。
 ♯2 DXの視点から企画を考える。
 ♯3 ものづくりの視点から企画を考える。
 ♯4 広域の視点から企画を考える。

2024年12月6日(金)
開催場所:サザンガク
主催者:(株)信州未来づくりカンパニー、サザンガク
参加者:19名

地域を盛り上げる“企て(くわだて)”を考える。

7月からシリーズでお送りしてきた「地域活性企てLabo」。今回がとうとう最終回となりました。
このシリーズでは、毎回、地域の様々な分野で活躍されているゲストをお招きし、それぞれの「企て」の事例から、
地域の未来を思考するための「企画」や、地域と関わりながら働くことについて、参加者の皆様とともに深堀りしてきました。

今回もプレゼンターをお務めいただいたのは、信州未来づくりカンパニー代表取締役/地域DMO(一社)松本市アルプス山岳郷 DMO戦略室長の松嶋豪さん。松嶋さんは、信州の様々な地域の皆様との協働を前提に、観光コンテンツの実行や地域の戦略づくり・プロモーション・マーケティングなど多岐に渡り活動していらっしゃいます。

プレゼンター:松嶋さん

今回のテーマは「"企画の考え方"を考える。」
最終回の締めくくりにふさわしいテーマで語っていただいたのは、アウトドアメディア「ランドネ」の元編集長で、現在は株式会社ほぼ日にご所属の佐藤泰那さんです!

“人の話”と“自分の好き”に向き合い続ける

前半は、佐藤さんから最近の活動についてご紹介いただきながら、「企て」に関する考え方について語っていただきました。

ゲスト:佐藤泰那さん

ご自身が起業された(株)KUKKAではアウトドアや山登り愛好家のコミュニティ運営を。そして(株)ほぼ日では地域や防災に関するプロジェクトの立ち上げと幅広くご活躍されている佐藤さん。しかし、ご自身のベースはあくまで「編集者」とのことです。

現在関わっている奥能登地域と接点が生まれたきっかけは、1月の能登半島地震。
現地に足を運びながら復興支援の在り方を考えるなかで、「能登に来てね」と言いづらい現地の声と、東京での能登に対する予想以上の関心の高さに気づかれたそうです。そこで、能登の産品を知って味わってもらうトーク会などの小さな企画から、現地事業者を巻き込み、来春に向けて能登の現地を訪問するイベントの企画へと発展していく予定とのことでした。

もう一つ事例として教えていただいたのは、北海道の西興部(にしおこっぺ)村での取り組みでした。
佐藤さんが全国各地の山で目の当たりにしてきた「シカの食害」。増えすぎたシカによる森の下草や高山植物の食害は、各地で深刻化しており、山の景色を急激に変えてしまっています。松本や北アルプスでも例外ではありません。
この問題について考える中で、村全体が「猟区」に設定されている西興部に注目されたそうです。

現地に滞在し気付いたのは、西興部の生活の自然との距離感。食卓や生活の中に当たり前に自然の循環が感じられたとのことでした。
「増えすぎたシカを捕って食べる」というプロセスは、一部の人には抵抗感があるかもしれません。しかし、「この体験をすれば、東京の人たちにもシカ食害の問題を理解してもらえるのでは」と考え、遠く離れた西興部まで来てもらうという高いハードルを下げるために、まずはエゾジカの加工食品の開発からスタートしました。

どのような見せ方、伝え方をすればそれが東京の人にも伝わるのか。その試行錯誤に佐藤さんのこだわりを感じました。

二つの事例で共通していたのは、地域の人との対話で得た気づきを、まずは小さな企画で試してみて、その反応を見ながら継続的なビジネスに落とし込んでいくというもの。地域との対話やお客様からの反応から読み解くところに、佐藤さんの「編集者」としてのお力が発揮されているのだなと感じました。

「企画の考え方」を考える

後半は、松嶋さんと佐藤さんによるトークセッション。
冒頭では、松嶋さんからこれまでの地域活性企てLabo#1~#4についての振り返りがありました。

これまでのゲストのお話からの共通点として、
①企画の起点は、地域の声や社会課題といった外的要因であること
➁企画の進行において、地域との合意形成やプレーヤーの巻き込みを重視してきたこと
③とにかくやり続けること、やりとおすこと。企画を実行することで、見えることがたくさんある。
これらの3点が挙げられるとまとめていただきました。

松嶋さんの、「編集者として、人の声の聴き方のコツは?」という問いから、話題はコミュニケーション術のことに。
もともと人見知りだという佐藤さんは、取材の際に自信をもって相手と対峙できるように、普段から後ろめたいことのないよう自分を整え、下調べを十分して臨むよう心掛けているそうです。
また、相手の本音を引き出すために、自分も本音を話して相手と同じ土俵に立ちコミュニケーションをされているとのことでした。

企画初期における、誰かの「声」をカタチにしていく段階での思考についての話題では、「誰かの声を、事実ベースのものと感情によるものとで整理し、そこに時代背景や周りの環境を掛け合わせて発想している」と松嶋さん。
佐藤さんもそれに同意しつつ、「一消費者として、それがどういう伝わり方をしたら自分の心が動くか」というところに注目し、10個ほど書き出したアイデアを、あえてそのトピックに関心がなさそうな人に当てて反応を見てみる、ということをされているそうです。
自分のアイデアを客観視し、前半紹介いただいた2つの事例のように、「スモールスタートから反応を見て拡大させていく」という考え方は、ジャンルを問わず共通する大切なヒントをいただいた気がしました。

終了後も参加者の皆様を交えて会話が弾みました。

地域活性企てLabo

今回で「地域活性企てLabo」は最終回を迎えました。
毎回、様々なジャンルの「企て」とその背景にある思考について語っていただき、本当に刺激的なイベントでした。シリーズをとおして、参加いただいた皆様のお仕事や日常での「企て」に対し、何かヒントをお持ち帰りいただけていたら、嬉しく思います。
そして、これから松本で新たな「企て」をお考えの皆さん、ぜひサザンガクでその企てについてお聞かせください。もしかしたら、ヒントや仲間が見つかるかもしれませんよ。

最後に、このシリーズにご来場いただいた皆様、ゲストの皆様、そして一緒にこのシリーズを企てていただいた信州未来づくりカンパニーの松嶋さん、どうもありがとうございました!

サザンガクでも新たな「企て」をしていきたいと思います。どうぞお楽しみに!

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