魔女になりたい成人女性
魔女になりたい。
保育園生の時におジャ魔女どれみをみてから強くそう思うようになった。
ドジで勉強が苦手で好きな人にはいつも気持ちを伝えられないまま。
そんな春風どれみちゃんはMAHO堂のオーナーを魔女だと見破って魔女ガエルにしてしまう。
魔女ガエルになったMAHO堂のオーナー、マジョリカを元の姿に戻すために魔女見習いとなり、仲間たちと切磋琢磨しながら成長を遂げていくストーリー。
魔女、めっちゃカッコイイ。
ほうきに乗って空を飛ぶのもおジャ魔女たちみたいな可愛いステッキは無理としても
呪文を唱えて魔法をちょちょいのちょいで使っちゃうのもかっこいい。
とにかくわたしは【今】に絶望している。
バイトをしても一ヶ月も続かない、友人はいない、家族には金銭面諸々迷惑をかけっぱなし。
自分が嫌になる。いっそわたしなんかいなくなっちゃえばいい。
はて、【わたし】という人間は本当に人間なんだろうか。
アンドロイドなのではないか、妖怪なのではないか、そもそも存在さえしていないのではないだろうか。
からだを分解してみれば、お腹の中心に真っ黒い穴があって宇宙に繋がっているのではないか、そんな考えが幼少期からずっとあった。
ただの厨二病ではないか。わたしだってそう思う。
だけど己を【人成らざるもの】だと思わなければこんな人生やってられない。
何をやっても失敗ばかり、物覚えも悪く新しい環境への適応能力も最低、
人間関係では問題を起こしまくりでその上どんくさいときた。最悪だ。
もしわたしが尼子騒兵衛先生の作品の住人だったら保健委員会行き待ったナシだ。
だったらいっそなりたいと願ってやまない魔女になりたい。
マジョミミチを名乗って魔女界で平穏に過したい。
友達を恵んでくれなんて言わない、自然に囲まれてのんびりと読書をしながらのんびりと生きたいのだ。そんなこと言ってると
「おやおや、魔女界の世界だってのんな甘いもんじゃないよ、
魔女界でだって仕事はしなければならないし大変なことは沢山あるんだ。」
なんてマジョリカの声が聞こえてきちゃいそうですが。
それだって己が魔女である、という事実があるだけで救われる気がするのだ。
成人女性が真夜中にほうきに股がってピョンピョン跳ねているのを
見たことがあるだろうか。もし見られたら近所中の笑いものになると
頭では理解しているものの魔女になりたいという希望と
己の人生への絶望が捨てられない。
あーあ、やんなっちゃうね。
神様はどうしてわたしをこんな欠点まみれの姿で地上に送り出しちゃったんだろうね。
せめて魔法が使えたらよかったのにな。
ピリカピリララポポリナペペルト、わたしを消してちょうだい。