アクリル絵具でミニチュアペインティング②希釈系メディウムいろいろ! 塗料系ゆるふわソムリエもあるよ #Warhammer
導入(省略可)
メディウムとは、絵具や塗料に加えることで様々な効果を与えることができる補助剤…媒材(ばいざい)とも呼ばれる画材です。
アクリル絵具でペイントすること自体は可能ですが、そのままではゲームに耐えられるほどの強度は得られません。メディウムを用いることで、塗膜を強化したり、質感をコントロールしたり、作業性をUPさせることができます。また(同じメーカーのライン使いが最善であることは自明ですが)、アクリル絵具用のメディウムを、水性アクリル塗料に添加することも可能です。
この記事は、ミニチュアモデルの筆塗りを目的とした「アクリル絵具用メディウム」の効果について、水性塗料の類を模索する諸姉諸兄に向けて簡便にまとめ、ご紹介するものです。
通りすがりの方々にも、何らかの助けとなりますように。
希釈系メディウム
展色剤…アクリル絵具の顔料以外の液体成分を指します。溶媒(=水)と溶質(=アクリル樹脂等の展色剤)の配合比によって、何種類か品名の揺れが見られますが、実際そこまで厳密に区別する必要はありません。しかしながら、メーカーによっては、どちらも完備しているケースもあったりなどして………もし「選択肢があり過ぎて迷う」ことがあれば、次の2つの大別から絞り込んでみてはいかがでしょうか。
①ペンチング・メディウム(Painting Medium)
溶質(展色剤)優位の配合が採られるメディウムです。乳白色の液状のものが多く、その液色から、目視での調色には少し慣れを要するでしょう。質感はやや重め、顔料の定着が良くなります。細い筆で小さな模様を描き込む時、ウォッシュ、フィルタリング、シェーディング等の表現、混ぜ系のグラデ、塗膜強化におすすめです。
②ペンチング・ソルベント(Painting Solvent)
溶媒(水ほか溶剤)優位の配合が採られるメディウムです。「ソルベント」とは、物質を溶かす力を持つ液体を指します。絵具の溶け方や筆の運びが良くなります。流動性が向上し、詰まり防止にも繋がることから、エアブラシ技法にも用いられます。広範囲塗り、重ね系のグラデ、エアブラシ使いにおすすめです。
大手塗料系メディウムとのゆるふわソムリエ対照
ファレホ(Vallejo): #70524 シンナー・メディウム
溶質(展色剤)優位、乳液状の重い質感があり、丈夫な塗膜が形成できます。水溶きに比べ二割程度、乾燥時間が長くなります。この遅さは混ぜ系のグラデ表現に活きてきます。アクリル絵具用メディウムで近い効果を持つものは、リキテックス(Liquitex)のペインティング・メディウム(700円台/120cc)です。よく似ています。
シタデルカラー(Citadel Colour): ラーミアン・メディウム
溶媒・溶質の比率は拮抗。サラサラとした液状で軽い質感、乾きは早く、薄く安定した塗膜で塗り広げることができます。アクリル絵具用メディウムで近い効果を持つものは、ホルベインのペンチング・ソルベント(700円台/200cc)を挙げられますが、完全再現とまでは言えません。
シタデルカラー(Citadel Colour): コントラスト・メディウム
溶媒(水ほか溶剤)優位。サラサラとした液状で軽い質感、乾きは早く、半透明、ややマットで比較的丈夫な塗膜形成が見られました。アクリル絵具用メディウムで近い効果を持つものは、ホルベインのマット・メディウム(700円台/200cc)ですが、コントラスト系はユニークな性質を持つこと、乾燥時間が大きく異なることから、再現は難しいでしょう。
私見(省略可)
各社メディウムを観察していると、塗料の使用感の適不適は、顔料よりも展色剤にあり…と実感します。塗料の「液体としてのテクスチャー」を知ることは、自分により合うアクリル絵具(Gouache or Color)を選び取ることにも通じます。
自分に合うメディウムが見つかった時、ついでに広範囲塗り用の絵具を同じメーカーで買ってみる……そんなお迎え方法が失敗回避になるかも知れません。
〆(省略可)
お疲れ様です! お付き合い頂きありがとうございました。
今回の記事は「希釈系のメディウム」のご紹介だけで相当長くなってしまいました。ゴメンナサイ!
次回の記事では「質感(マチエール)系のメディウムほか」をご紹介します。ここからがますます多彩です。めちゃくちゃ種類があるんです…媒材は沼。
べデコにも役立つ情報がちょっぴり含まれるかも知れません。お楽しみに!