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男性偏差値25 プロローグ2
医「胎盤まで流れてるね…」
医師のその言葉で反射的に溢れ出る涙。
そして色々な想いが脳内を駆け巡る…間もなく放たれた医師の言葉。
医「膣の中に錠剤があったのですがこれは何?」
・・・・・えっ???
頭の中が真っ白になった。
はっ?錠剤?えっ?なにそれ?
何を言ってんのこの医者は??
全く意味がわからない。
どんな症状だったら膣内に錠剤を入れるのよ?
普通に考えてあるわけない。
少なくとも私には全く覚えがない。
膣内から錠剤が出てくるなんて…
誰かが入れたのならまだしも…
そんなことして得のある人なんてどこにもいないしそんな第三者との関わりなんてない。
必然的にどんどん有り得ない可能性を模索し始めていた。
[ナプキンに錠剤が混入されていた?!]
[胎児を医者が錠剤と見間違えてる?!]
結局、考えるほどに何が起こっているのか全くわからなくなってしまっていた。
病院を出てすぐに姉に電話した。
赤ちゃんがダメになったこと。
そして錠剤のことを。
姉「今すぐに警察に電話して!」
????
なぜ警察に電話するの???
何か必要あるかな?
あ!薬の成分を調べるためかな?
それなら…と思い言われるままに警察に電話した。
この時点では全く事の重大さに気づいてない私はそのまま帰宅。
すると自宅に刑事が2名でやってきた。
刑「彼に飲まされたものや食べさせられたものは何がありますか?」
いや、アナタ、彼にって…
彼は私の最高のパートナーだし最高の理解者なんだからそれはそれは身体にいいモノばかりですよ?
だからね?
直前に彼が買ってきてくれたビタミン剤とあと母子手帳を出しましたよ。
刑「ではそちらを持っていただいて詳しくは署の方でよろしいでしょうか?」
私はなんでそんなオオゴトな感じなんだろう?
薬の成分を調べるだけでいいんだけど…
などと思っていたのだが、よくよく考えてみると薬の成分を調べるということは何かがハッキリしてくるということ。
その何かの正体もきっと分かっていたんだろうけど、それよりも認めたくない気持ちが強かったのだろう。
ともあれ、自分で何かの判断が全くできなかった私は言われるままに警察署に連れられていった。
警察署に向かう道中、姉と親友に連絡。
2人とも車で小一時間くらいかかるのだけど、すぐに来ると言う。
「そんなわざわざ来なくていいよ、大丈夫。」
警察署に行くくらい大したことないし、赤ちゃんはショックだけど今はまだ何が何かわかってないし、思いのほか私は大丈夫だから。
しかし、2人とも来てくれた。
流産だけでも大変なことだし心配しかないのに、明らかな異常事態であることは私以外のみんながわかっていた。
そう考えると「わざわざ」なんて話でもないよね。
それでも、やはり来てくれたこと…あとからじわじわとありがたみが増してきた。
宗像署に到着したのはお昼…12:00を少し回った辺りだった。
女性警官に案内されて取調べ室へ…
エレベーターかと思いきや、階段の方に案内された時には「アナタ女性だよね?フラフラしてるのわからないかな?」なんて少しイライラしてたんだけど、自分でも気づいてなかったんだけど大量の血がナプキンに収まりきれなくてスカートまで染める勢いで滴っていた。
気づいた刑事が休憩を的なことを言ってきたのだが一刻も早く終わらせたかったのでそのまま続行した。
事情聴取や尿検査。さらには警察の手配した婦人科へ向かい膣の中の成分の検査等等。
突然のことだったので朝から全く飲まず食わずだった私は飲み物を買いたくても財布にお金がないことに気づいた。
待機してくれてる姉を刑事に呼んでもらい水を買ってもらってこの日初めてモノを口にしたのが13:00過ぎだった。
そしてこの時、水を買ってくれた姉の目に浮かんだ涙に気づいた時、胎盤まで流れてる通告を受けてから初めて声を上げて泣いた。
姉もしっかりと私を抱き寄せてくれてて2人で泣いた。
さらに事情聴取は進んでいき、その中で多分そうであることはわかっていながら直視できずに気づかないフリをしていた現実を突き付けられることになる。