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defspiral /「千の花束」【interview】

今年5月26日にバンド結成10周年を迎えるdefspiral
10th Anniversary song「千の花束」が4月10日、配信リリースされた。
その当日、333musicではゲストにヴォーカルのTAKAを迎え“333musicツイキャス”生配信を行い、
番組にFreaks(=defspiralファンの呼称、以下同様)から
たくさんの曲を聴いた感想が届けられたことは記憶に新しい。
放送でも触れたように、その配信後、
作曲を手がけたRYOも交えて
TAKA&RYOにリモート・インタビューを敢行。
楽曲へ込めた想い、制作エピソードなど、
配信では語りきれなかった想いをここでお伝えしよう。

        

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“defspiral10周年を、みんなでどう祝うか? 
どう盛り上げていくか?”が制作のテーマ。

ーー4月10日に配信リリースされた「千の花束」。明るくて華やかで正に10周年を記念するのにふさわしいテイストに仕上がってますね。
RYO:ありがとうございます。制作のとっかかりとして“10周年に向けた曲”というテーマがあったし。どういう曲調がいいかな?とTAKAと話している中で“カラッと明るい感じ”っていうイメージを聞いていたので、そのキーワードを元に、僕はいつものようにメロディーとコードで曲を作っていって。
ーーとはいえ、defspiral結成10周年のタイミングで、ドラムのMASAKIさんが脱退することを、まったく意識せず制作するわけにはいかなかったのでは?
RYO:実際、それはあるんですけど、10周年のための曲っていう意識で作り始めていて。MASAKIの脱退どうこうは最初、まったく考えてなかったというか。
TAKA:“333musicツイキャス”に届いた曲を聴いての感想にも多くあったように、「千の花束」にMASAKI脱退のイメージを強く重ねてる方も少なくないと思うんです。実際、それは事実としてありつつも、僕らとすれば“defspiral10周年をどう盛り上げていくか? 10周年をどう祝っていくか?”が制作の主軸にあったんですね。いわば、10周年ライヴに向けてのテーマ曲を作ろう、と。defspiralとFreaksが気持ちを1つにできる曲みたいな。新型コロナの件で延期になってしまいましたが、“defspiral CARNAVAL to 10th ANNIV. ONEMAN TOUR 2020 『DEAR FREAKS』”は感謝を伝えるようなツアーにしたいよね、それを象徴する曲だよねって話はしてたし。
ーーだとすると、曲中の鐘の音、あれはお祝いの鐘の音のイメージ?
RYO:ですね。鐘はアレンジ上、いちばん最後に入れたんですけど。リズム・パターンも、カラッといけたらいいなというのがあったから、前へ前へと力強く進んでいく感じのマーチング・ドラムでいこうと思っていたし、鐘の音もありじゃないか?と。
TAKA:行進曲のようなイメージの曲なら鐘の音を入れたら合うんじゃない? 華々しくていいじゃないか、という。デモ制作を進める上で、そういう話がスタジオで出たんです。とはいえ、MASAKIの脱退もあるし、いろんなことが重なってるから、どういう形に落とし込むのがいちばんいいのかな?というのは、やはり考えましたよね。
ーーそれをスルーするわけにはいかないですもんね。
TAKA:いろんな想いが交叉する中、どうやってファンのみんなとdefspiral10周年を祝おうか? 彼を送り出そうか?と。もちろん、涙涙の感じにはしたくないですし。気持ちよく、みんなで10周年ライヴ・ツアーを作っていくにはどうしたらいいかな?ってことはメンバーで何度も話しました。その辺の気持ちの揺れにどう決着をつけるか?はメンバーそれぞれあると思うし、ツアーが始まってからも、メンバーといろいろ話していくと思うんですよね。
ーーメンバーそれぞれに想いや考え、受け止め方があるとは思いますが、特にRYOさんは高校時代から20数年、MASAKIさんとずーっと一緒にバンド活動してきたわけですから、思うところもあるんじゃないですか?
RYO:そうですね、少年院にいた頃からですからね…あの少年院で出逢ってから20数年ーー(←フィクション)。
TAKA:“お前、いいパンチしとるなぁ”“お前こそ、いいパンチもってんじゃねぇか!”って(笑)。
ーーこらこら、2人して小芝居はじめないでください(笑)。
RYO:(笑)真面目な話をすると、オフィシャル・サイトでコメントを発表してるように、MASAKIの脱退に関しては、寂しいとか悲しいとかいう感情より、感謝の気持ちのほうが本当に大きくて。なんかね…今はそういう感じなんですよね。よくもまあ、ここまでこんな僕と付き合ってくれたな、と。
ーー高校の1コ上の先輩だったんですもんね。
RYO:先輩ですね。ここまで一緒にバンドをやってくると、阿吽の呼吸みたいなのもありますしね。
ーーまた、ドラムとベースという楽器における関係性もあるでしょうし。
TAKA:いわゆるリズム隊の関係性が。
RYO:それもあるんでしょうけど。どう思うんでしょう…これはツアーが全部終わった時じゃないとわからない。今の心境はそういう感じかな。
ーーそういった想いもあって、最後、マーチング・ドラムで終わるというアレンジになったんですか?
RYO:あの曲の構成はTAKAさんと話をしつつですね。
TAKA:マーチング・ドラムで終わっていくのは行進が続いていくようなイメージにも繋がるし、曲の奥行きが出ていいんじゃないか?って。あと、間奏のベース・ソロを入れよう、とか提案したり。
ーー間奏のベース・ソロ、ギター・ソロはMASAKIさんへの贈る言葉?とも思えたんですよね。
RYO:そう感じる人も多いのかな?
TAKA:自分たちは、それを意図してやったわけではないんですけど、いろんな受け取り方があっていいと思うし。そこは聴き手に委ねます。
ーーというとベース・ソロを入れたのは?
TAKA:単純に、メンバー全員の見せ場を作りたいなっていう。ソロがあることでライヴでも素敵な場面が作れますし。また、ソロではメンバーそれぞれの想いが乗せられますし。
RYO:TAKAが仮歌入れるたびに“こういうライヴの画が見える”とか、“こういうのを入れたらどう?”とか結構、言ってくれるんですね。そうやって毎度毎度、話ながら楽曲を構築していくんですけど、今回は特にそういう機会が多かったというか。
TAKA:今回はいつもより仮歌を入れる回数が多かったのもあって、スタジオでいろいろ話してイメージを摺り合わせていく作業もたくさんできたから。
RYO:そうそう。TAKAが曲を聴いて“こういうライヴの画が見える”と言うことは、イコール、曲が呼んでることだと思うんです。
TAKA:正にそうだね、曲が呼んでるよね。
RYO:そのTAKAの言葉を踏まえて、曲が呼んでいるアレンジにしていく。いつもの僕たちのやり方ですね。
ーーほぼ完成形に近いデモを元にレコーディングしていくのではなくて。
RYO:作りながら、仮歌を入れながらTAKAやメンバーと話し合って、アレンジ、曲のイメージを膨らませていきますね、毎回。それだけに「千の花束」を聴いてくれてる人、ライヴで観てくれる人がどう感じてくれるか?は僕らの楽しみなんです。

一緒に唄うことで、ファンの想いも曲に乗せられるし、
みんなの記憶により深く刻まれるはず。

ーーこの曲、きっとライヴで盛り上がると思うんですよ。“333musicツイキャス”でTAKAさんがおっしゃってたように、♪弾む心に手を叩こう♪でFreaksが手を叩いて楽しめるようなポイントもある、オーディエンス参加型の曲だから。
TAKA:輪唱の部分や、曲のエンディングで♪La la la〜が続く部分も、みんなで唄えたらなっていう。一緒に唄うことで、Freaksの想いも楽曲に乗せられるし、また記憶に深く刻まれたりもするんでしょうし。
ーーうんうん。
TAKA:ライヴでは、みんなで祝福しよう、みたいな景色も作れるかなって。そういう意味でも「千の花束」は、いろんなアイディアを盛り込みつつ、10周年を祝福し合う、お互いの想いを伝え合うにはふさわしい曲になったなと“333musicツイキャス”で話ながら、より強く思えたというか。
RYO:それはありますよね。
TAKA:それに一役買っているのがドラムのマーチであることは間違いない。あれを思い付いた人、凄いね。
RYO:凄いね。
ーーって、RYOさん、まるで他人事のよう(笑)。
RYO:あ、俺か(笑)。そんなことあらためてゆーてくれるとは、ありがとうございます(照)。なんか、マーチング・ドラムって心が躍るじゃないですか?
TAKA:そうだね。
RYO:それだけに、曲を作る上でリズムはスゴく重要で。リズムが曲を印象づけるといっても過言ではないと思うんですよ。だから、リズムを考える作業がスゴく好きなんです、僕は。このマーチング・ドラムが閃いた時は、“お、見つけた!”と心の中でガッツポーズしましたもん。
TAKA:曲の途中で、ちょっとだけマーチング・ドラムが入ってるのは過去の曲にもあったけど、1曲貫いて行進のイメージでいくのは初めてじゃない?
RYO:ありそうでなかったね。
ーーどちらかというと、ダーク・テイストな楽曲や、曲中にドラマがあるような繊細の心の機微を描いたエモーショナルな作品の割合が多いですもんね。そんなdefspiralにおいて、ストレートかつ明るさを全面に打ち出した曲を10周年のタイミングで発表することはスゴく意味があるような気がしていて。
TAKA:「CARNAVAL」とか「BRILLIANT」とか、お客さんとの距離が近い曲、明るくてすぅっと入っていくような曲も節目節目で発表してますよ、実は。
ーーもちろん。ただ「千の花束」に関していえば、難しいこと抜きにストレートに想いを伝えようとしてる気がするんです。
RYO:今回はそうです。思えば、年明けすぐの撮影から、この作品のイメージは膨らんだかもしれない。
TAKA:アーティスト写真、ジャケット写真の撮影から?
RYO:そう。その頃はまだ楽曲自体は影も形もなかったんですけど、ちゃんと撮影現場に薔薇の花束が用意されていたり。
TAKA:“千の花束”ってキーワードは年明け前から俺の中にはあったから、撮影もそのイメージに寄せていきたい、と薔薇の花束を用意してもらって。10周年へ向けてのヴィジュアル・イメージでもあるし、華やかに真っ赤な幕の前で撮りたい、とMASATOとは話していたんです。それで、真っ赤な薔薇の花束を用意して、深紅の幕を垂らしてお祝いムードを演出したりとか。
RYO:俺は、あの撮影の時のイメージ、印象が結構強くて。自分では、そこまで意識はしたつもりはなかったんですけど、結果的に仕上がった楽曲を聴くと、あの撮影の印象が反映されてるなって。
TAKA:ヴィジュアルのイメージも含めて、みんなで祝い合える、みんなに感謝を伝える、心より添える、優しい唄になったかなって。

10周年の晴れやかな想いと、MASAKI脱退という寂しさ。
複雑に入り混じるすべての感情を包み込み
昇華させるような歌詞にしたかった。

ーーそのヴィジュアル・イメージとリングするような♪真っ赤な花束を♪という言葉が歌詞にありますけど、薔薇の花1輪1輪が、これまでの活動の1つ1つの出来事、想い出だとして、それを握りしめてるようにも思えるんですね。というのは、この10年間の活動を振り返っているような表現が、歌詞のそこここから感じられるから。

TAKA:10周年に向けての曲であり、10周年ツアーのテーマ曲となるこの曲の歌詞で、どこまで伝えるか? その着地点をどこにするか?は結構、悩んだんです。10周年というめでたい節目をみんなでお祝いしようっていう想いがありつつも、ファンのみんなの心には、いちばんMASAKIの脱退があるのは間違いないわけだし。10周年が終わるとdefspiralは今までの形ではなくなる、ということへの寂しさとか哀しみとかも間違いなくあるわけですから。
ーーですよね。
TAKA:その寂しさと10周年を祝いたいという晴れやかな想い、複雑に入り混じるすべての感情を包み込んで昇華させていくような歌詞にしたかった。それで<今まで重ねてきた時間はすべて素晴らしく、また一緒に時を重ねられたことは奇跡だ。何が起ころうとも、そのかけがえのない時間は永遠なんだ>と。これまでににも1st Mini Album『『TO THE GALAXY -RECONNECT- 』収録の「IRIS」とかで唄っているような<時は永遠ではないけれど、自分たちの中に永遠はあるんだよ>というテーマとも通じるんですね。<時計の針はいたずらに進み形ある物は変わっていってしまうけど、想いは変わらずそこにあるよ>っていう。だから悲しいことだけに目を向けずに今、この瞬間に重ね合えた喜びを祝い合おう、と。
ーー同じメンバーで20何年もバンドを続けてきた中には、綺麗事で片付けられないこともあるとは思うんですよね。でも、それも全部ひっくるめて、素晴らしくキラキラと輝く宝物なんだろうな、と。「千の花束」はすべてを肯定してくれるっていうか。
TAKA:すべて嘆き悲しみさえもすべてを受け入れて、晴れやかな気持ちで一歩踏み出すってことですね。それを一言に集約するなら、RYOがインタビューの冒頭で言った“感謝”ってことなんだと思います。
ーーRYOさんの、今はMASAKIさんに感謝の気持ちしかない、という言葉に通じるわけですね。
RYO:ありがたいですね、TAKAさん、僕の気持ちも汲み取ってくれて。
TAKA:(笑)
ーー“333musicツイキャス”で今後、発売されるベスト盤に「千の花束」が収録されるとか、他にも録ってます、とかおっしゃってたんですが、実質「千の花束」がこのメンバー4人での最後の作品になるんですか?
RYO:そうですね。
TAKA:それが美しいと思いますしね。“333musicツイキャス”でベスト盤に関する質問に対して“他にも録ってます”と言ったのは新曲じゃなくて。
RYO:再録とかってことですね。、アコースティック・ヴァージョンで録ろうか?ってことなんです。
TAKA:まだ告知してない部分だったので、どこまで話そうかと迷ったのですが。ベスト盤については決まり次第、オフィシャル・サイトで発表しますので、そちらをチェックしていただければ、と思います。

ライヴで演奏すること、ファンと感じ合うことで
楽曲は本当の意味での完成を見る。
「千の花束」を感じ合える日が待ち遠しい。

ーーでは最後に、あらためて「千の花束」の聴きどころを教えていただけますか?
RYO:はい。「千の花束」はdefspiralを10年間、応援してくれた人に向けた曲というか。そのことを考えて作った曲ですし、自分でも納得できるような、この10年間を集約する作品になったと思うんです。ファンの人に対するありがとうの気持ち、メンバー全員に対する感謝の気持ちも込められたと思いますし。また、スゴく明るくてポップな曲だからdefspiralを知らない人にも聴いてほしいですよね。こんな状況ですけど制作期間は充実できた、というのもあって、「千の花束」の仕上がりにはスゴく満足してますよ。
TAKA:この半年くらい、ずっと考えていたこと、その想いを歌詞や唄に乗せることはできたかなと思いますね。今までのどの作品にも言えることですけど、ライヴで演奏すること、ファンのみんなと感じ合うことで楽曲は本当の意味で完成を見ると思うんですよ。一緒に唄ってもらったり、手を叩いてもらったりとかも含めて。それだけに、「千の花束」をライヴで感じ合えるのがとても楽しみというか。その日が待ち遠しいですね。
RYO:とりあえず、早くライヴで音を出してみたいよね?
TAKA:そうだね。こういう状況なのでライヴしたいという願いは叶ってないですけど、それだけに、ステージでまた逢えた時、一緒に感じ合える喜びがこれまで以上に大きくなるんだろうなって。音楽で一緒に楽しむこと、唄ったり声をあげて笑ったりすることが当たり前じゃないんだと身に染みて感じている今があるからこそ、再会できた時には喜びもひとしおなんじゃないかって思います。
RYO:絶対そうだよ。
ーー何の不安もなく、ライヴ会場で「千の花束」が聴けること、そしてdefspiralの皆さんにお目にかかれる日が一刻も早く訪れることを祈ってます。
TAKA:そうですね。また笑顔で逢える日を俺らも楽しみにしてます。■

                   【取材&文 / 増渕公子(333music)】


10th Anniversary song
「千の花束」

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2020年4月10日 配信リリース


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▼10th Anniversary song「千の花束」
リリックムービー


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▼2020.04.10 配信“333musicツイキャス”
ゲスト:TAKA [defspiral]


昭和生まれでバブル時代に青春を謳歌した世代。音楽の世界で仕事(インタビューとか編集とか)をして30年ちょい。いつまでも好奇心を失いたくないと必至で藻掻いてます。基本せっかち、そしておっちょこちょい。白猫(保護猫出身、12歳、♂)と仲良くやってます。