地域の名物おじさんと名物おばさん
昔から、どの地域にも名物となる人物がいる。
子どもの頃は、地域にトタンでできた小さな小さな小屋のような家に住む一家がいた。両親と子どもが10人ぐらい住んでいて、さらに犬や猫も飼っていた。全体的に不衛生な雰囲気があり、何をするわけでもないのに地域で敬遠されていた。私は子どもながらに敬遠されている一家と認識はしていたが、その一家にとても興味があった。今思うと、名物一家だった。
今住んでいる地域には通称「杖じぃ」「ギャルばぁ」「ラッキーボーイ」「交差点おじさん」「怒号おじさん」など、男性率高めだが名物となっている変わった人がいる。みんな不快な動きはするが法には触れていない絶妙なラインを攻めるため、地域ではどうすることもできず、ただの名物となっている。
「杖じぃ」は推定年齢70代。高齢なのにとても背が高く、180㎝超えと思われる。姿勢がよく杖を手にしているものの、全く頼っておらずブンブン振り回して歩く。家に置いてこいよ。
朝、小学生の登校時間にウォーキングをしており、小学生が「おはようございます」と挨拶しても無視。ニコリともしない。目が合うと、上から下までなめまわすようにジロジロと見る。小学生の波をよけず、先を歩く列にはピッタリとくっついて歩くため怖がる子どもがおり、お父さんが付き添って登校している子もいる。ウォーキングの時間のチョイスがわざとらしい。何より私が杖じぃに対して一番気になっていること。それは短パンの短さ。OLが家で過ごす夏の休日にはくホットパンツぐらい短い。どこで買ってんの?そして美脚。背が高いため足が長く、真っすぐに伸びた足、無駄に美脚。ホットパンツという名の服は着ているが、ほぼ裸。やめてよ。
無視、無表情、杖ブンブン、朝のウォーキング、短か過ぎる短パン。どれも法には触れておらずモラルの問題のため、何もできず。
続きまして「ギャルばぁ」。小太りのお婆さんで推定60代~70代前半。いつも背中を丸めてバス停まで歩き、バスに乗る。金に近い茶髪(髪はパサパサ)でギャルのような服を着る。よく見ると毛玉だらけだが、見かけるたびに違う派手めな服を着ているため、ファッションが好きだと思われる。持っているカバンには昔のギャルのようにキーホルダーがじゃらじゃら。その中にうなぎパイのミニチュアキーホルダーを発見したことがある。誰かにもらったのかしら?ちょっとだけかわゆい。
ギャルばぁは、若い女の子に対して敵対心をもっているようで心がすごく女子な様子。自転車に乗った女子高生とすれ違う時は、睨みつける。おしゃれした女子とすれ違おうもんなら、見えなくなるまで立ち止まって睨んでいる。
数年前、小学生だった娘とバス停でバスを待っていると、ギャルばぁが同じバス停にやってきた。さすがに子どもだし大丈夫かと思ったが、少しオシャレをしていたからか娘を睨んでいた。バスが来るまでずっと睨まれていた。
小学生もライバルの対象なのね。ちなみに横にいた私とは目すら合わず。こっちも見てよ。
こちらも、若い女子を睨んではいけないという法律はないので何もできず。
続きまして「ラッキーボーイ」。私はこの人に一番不快感を感じている。
背が低く細身。黒いブカブカのズボンにグレーのTシャツを黒いロンTと重ね着している。白いタオルを首に巻き、前で結んでいる。おばさん並みにつば広の黒帽子、タクシー運転手のような白手袋、サングラス、マスク。必ずこの格好でものすごく足を挙げ、ふざけているかのように横で大きく手を振ってジョギングをしている。小柄なため少年にも見えるし、ファッションからおばさんにも見える。でも絶対に成人男性。帽子とサングラスとマスクで全く顔が見えず年齢不詳。不快に感じる理由が、わざと大きな通りをキョロキョロと明らかに周りの反応を見ながらふざけたフォームで走る。ジロジロ見られたり笑われることが快感なのか、すれ違う人や車に「どう?」といった感じで見てくるのが気持ちが悪い。ラッキーボーイを見かけた時は、虫でも飛んでるかのように絶対に見ないようにしている。なぜ通称ラッキーボーイなのか。それはたまにしか現れないため、見かけるとラッキーと言われるように。
これもまた、ふざけたフォームで走りながら人の反応を見てはいけないという法律はないため、何もできず。
続きまして「交差点おじさん」。このおじさんは、何の害もなく、むしろ私は見かけるとちょっぴり癒される。しばらく見ないと心配になり、久々に見て生存確認ができると勝手に安心している。缶チューハイ片手に、赤い顔をして、ニコニコして大きな交差点に立っている。青信号になると大きく片手を挙げ「はい渡って~」というように腕をぐるんぐるん回している。その間もずっと笑顔。ニッコニコ。赤になるとおじさんも歩道に戻り、独り言をニコニコしながらブツブツ言い(何を言ってるのかはさっぱり不明)青になるとまた片手挙げからの腕ぐるんぐるん。これをずっっっと、真夏も真冬もやっている。立つ交差点は変動するため、見かけない時期もある。車で出かけている時におじさんが交差点に立っていると、夫は手を振ったりする。するとおじさんは「よっ」って感じで格好よく手を挙げる。「よっ」じゃないのよ。帰りなさいよ。
この前は夫が車の中から警官同士の挨拶のように敬礼したところ、おじさんも敬礼し返してきた。敬礼!じゃないのよ。帰りなさいよ。
酔っぱらいなどに「うるせー」とかいって絡まれないか心配。そっとしといてあげて。
これもまた、交差点に立ってはいけない、誘導をしてはいけないという法律はないので何もできず。っていうか、何もする必要なし。
最後は「怒号おじさん」。毎晩22時頃、家の前の道を「おい!!」「ハゲこのやろう!!」「あぁん?!」「〇*◇☆△$□・・・」等々、何を言ってるのか分からないが叫びながら自転車を押して歩いて通るおじさん。我が家の前を通り過ぎても歩きながら叫び続けているが、だんだんと声が小さくなっていくのでおじさんとの距離感が分かるほど。真っ暗な時間帯のため、年齢不詳。どこから叫び続けているの?どこまで叫び続けるの?どうしたの?酔ってるの?まさか酔ってないの?家では黙るの?家でも叫んでいるなら隣りの家の人大丈夫なの?自転車には乗らないの?飲酒になるから引いてるの?だとしたら叫んでるけどルールは守る系なの?など色々と謎おじさん。
これもまた、叫んではいけないルールはなくモラルの問題。よって何もできず。
今気づいたけど、多くないか?
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