7. タバコのリスク:頭頸部がん
近くのスーパーの喫煙所。
人々が群がってタバコを吹かす光景をよく見かけます。
近くを通るたびに、煙たさで顔が引きつります。
私の父も喫煙者でした。
いつも母と妹とともに、煙たがっていました。
それでもベランダに出てタバコを吹かしていた父の後ろ姿を、今でもよく覚えています。
私が子どもだった30年前、男性の喫煙率は50%を超えていました。
しかし、近年では喫煙率は減少の一途で、男性では25%を下回ってきました。喫煙率が減ってきた原因の一つに、健康被害の周知があるでしょう。
かつては小さく箱の隅に書かれていた注意書きが、今では表面に大きく書かれるようになりました。
それでも喫煙者がゼロになることはなく、喫煙が関連した肺がんや胃がん、食道がんなどで苦しむ患者さんを多く診てきました。
私が特に恐ろしいと思うのは、舌がんや咽頭がんなど、頭頸部がんと呼ばれる口周りのがんです。
学生時代、大学病院で口腔がんの手術を見学しました。その手術は壮絶でした。
顎を真ん中から真二つに割るのです。
ぱかっと割った状態は、まるで映画『トータル・リコール』のようでした(少し古い例えですが…)。
このように口の中を大きく開いた上で、がんに侵された舌や口の中の粘膜を、場合によっては顎までも切除していきます。
もちろん、これで治癒する人もいるので、それは素晴らしい治療法です。
しかし、やはり外見的に壮絶な手術であり、身が震えました。
さらに、これらの癌が進行すると、ご飯が食べられなくなったり、呼吸困難に陥ったりする場合が多いです。
生命維持のためには、胃ろう(お腹に穴を開けて直接胃に栄養を送る管)や気管切開(首に穴を開けて呼吸を確保する管)が必要になることもあります。
どちらにしても辛い治療であり、生活の質も著しく低下し、自宅生活において様々なトラブルも避けられません。
以前私が診ていた気管切開されていた患者さんは、どうしても痰がうまく排出できませんでした。
そのため頻回に自分で機械を使って痰を吸う必要があり、それにより睡眠障害がでたり、抑うつ傾向にもなってしまいました
肺がんや胃がん、食道がんなども確かに辛い病気ですが、口周りのがんは、その辛さや見た目のインパクトが大きいため、特に周知すべきリスクだと私は考えています。
ミャンマーでは、タバコのリスクを周知するために、口周りのがんの画像をタバコの箱に載せているそうです。
私の父は、幸いなことに50歳頃に原因不明の咳が続き、それがきっかけで喫煙をやめました。
しかし、それまでのヘビースモーカーだったため、今後のリスクがゼロとは言えません。
喫煙者の皆さん、タバコのリスクをよく理解した上で、それでもタバコを吸い続けられますか。
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