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ちいさなちいさな玩具メーカーをつくりました

背景

「半径1メートルにいる身近な人が喜んでくれるもの」をコンセプトに、小さな玩具メーカー「ワメラトイズ(One meter radius Toys)」https://x.com/1mrtoys を立ち上げました。自分自身が「おもしろい」と思うものを作りつつ、すぐそばにいる人たち、特に自分の子どもが笑顔になってくれるようなものを制作していくイメージです。

なぜ「手仕事」にこだわったのか

この1年はAIを使いつつ仕事をすることが多くなったように感じ、いかに効率よく正解にたどり着くことやAIがなかった頃には戻れないくらいなほど便利な一方、その進化のスピードが速すぎるが故に少し個、自分と向き合いたくなる瞬間がありました。そんなとき、「自分の時間の流れのなかで、リアルに手を動かして何かを作りたい」という思いがふと湧き上がりました。

「自分の手で現実のものを作る」行為そのものへの熱意が増してきました。デジタルから離れたアナログなものづくりに、改めて魅力を感じるようになりました。
実際にはデジタルな部分もありましたが、自分の手を動かすことにはかなりフォーカスができたように感じます。

 手書きのスケッチや、デジタル造形、金型や成形後のソフビが映っている。
 手書きのスケッチや、デジタル造形、金型や成形後のソフビ

ソフビに決めた理由

じゃあ何を作るんだ。ということでぼんやり考えていましたが、「子どもが楽しめるもの」「自分も子どもの頃から好きなもの」、そして「人の手が関わらないと完成しないもの」。これらの条件を考えていくうちに、ソフビがしっくりきました。

玩具メーカーという体裁ではありますが、ソフビを中心にしつつ、アイデア次第でいろいろな玩具やアイテムを作ってみたいと思っています。ライフワークこれまで培ってきた経験や知識を活かしながら、「手仕事」を楽しみ、形にしていく。それがワメラトイズの根底にある姿です。

現在地

来年2月に開催されるワンフェス2025冬で、第一作目を出品することが決まりました。構想を含めると約1年半もの時間をかけ、ようやく形にできた作品です。

ここに至るまでには、普段の仕事では考えられないほどアナログな工程がたくさんありました。とはいえ、その分「本当に手を動かして作っている」という実感を得られたのが大きな収穫です。大量に生産し、売ることに比重を置くのではなく、自分が「いいな」と思うものを、自分のペースで作りたい。共感してくれる人がいたら手に取ってもらいたい。そんなスタイルがプライベートで没頭するうえで自分には合っていると感じています。

金型の制作を依頼した後に、送ってもらったテストショット

金型ができ、自分の考えたものがソフビになった瞬間、本当に感動しました。

第一弾:メモリーマン

第一弾として制作したのは、「メモリーマン」というヒーローをモチーフにしたソフビです。どこか昭和の香りがありながら、少し違和感のあるような不思議な雰囲気をまとわせています。これまで自分が積み重ねてきた記憶や経験を「ヒーローのパーツ」としてサンプリングし、形に落とし込んだようなイメージです。
造形としては本当に昭和にあったヒーローのソフビなんじゃないか。みたいな世界観を目指しています。

メモリーマンを塗装後物撮りした画像。黒背景の中心にメモリーマンが置かれている
メモリーマンを塗装後物撮り
メモリーマンの昭和風チラシの画像
メモリーマンの昭和風チラシ

原型は3Dモデリングで作りましたが、あえてアナログ感が出るように工夫しました。そこからの工程は想像以上に手作業が多く、ソフビ用に転換する原型師に依頼したり金型依頼したりと「ああ、本当にソフビを作っているんだな」というわくわく感があふれました。(このあたりの制作の詳細は、また別の機会にお話しできればと思います。)

AIと手仕事の“ゆるい”共存

実は今回のソフビ制作でも、音楽生成AIの「SUNO」や「ChatGPT」など、いくつかのAIツールを活用しています。作品のイメージに合う曲を作ったり、アイデア出しの補助として使ったりしました。「結局AIを使うのか」という感じですが、あくまでもコアになるのはアナログな部分。そして、その周辺を支えてくれるのがAIというのはぶらさず、活用していきました。
世界観を伝えるうえで、AIを活用することで、より作品の輪郭をはっきりさせる使い方もあるのではと感じ活用しています。

また、イラストレーター( https://x.com/ROBUJAPAN )の方に依頼し、ソフビの世界観、雰囲気をしっかり伝えられるようにしています。言葉だけでなく、イラストや音楽を使ってイメージを伝えていくことを色々トライしてみようと考えています。
結局のところここまでできたのは1人ではここまで作り上げることはできず、原型師や金型屋さん、AIやイラストレーターの方に手伝ってもらいながら作り上げた形となりました。

SUZURIではグッズを展開しています。
SUZURI

ソフビのデザインをベースにイラストレーターの方に依頼したイラスト。SUZURIで展開しているグッズの写真が横に並んでいる
ソフビのデザインをベースにイラストレーターの方に依頼。SUZURIでグッズも展開しています。

AI時代における「手を動かす」こと

AIが進化すればするほど、「人の手で作られたもの」の魅力が増している気がします。効率を優先しないからこそ生まれる味わいや個性、いびつさこうした部分に、今後さらに注目が集まることもあるのではと勝手に感じています。
あと単純になにか自分で作り上げていく作業は楽しいというのが大きいです。

おわりに

ソフビを作ってみた結果、やはりAIとの縁を完全に切ることは難しいと実感しました。ただし、「AIを一切使わない」と極端に決めつけるのではなく、「アナログな手仕事が中心にあって、その周りをAIがサポートする」というバランスが、今の自分にはちょうどいいと感じています。

これからもアナログの良さを大事にしながら、AIを上手に取り入れつつ、自分の作品を広げていきたいと思います。
もし「メモリーマン」や「ワメラトイズ」に興味を持ってもらえたらぜひお気軽に声をかけてください。


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