鬱病の正体 2024/10/5の日記

 大体先週ぐらいに心療内科に行って内定決定したことを報告したら、じゃあこっから徐々に薬の量と通院の頻度減らしていきましょうか的な話の流れになった。いや、全然楽になってないんだが。とはいえあの流れに抗うのは無理だった。
 そもそも初診の時に「就活で辛くて……」という発言をしたから、それが解決した今そうなるのは当然と言える。言える、が……。まぁ別の心療内科に行って最初からやり直すという手もあるので、とりあえず今は流されておこう。

 大学のカウンセリングにも通っている。普段特に何とも思ってないくせに、自分の人生を語り出すとボロボロ泣けてくる。あと鼻水も出るので最悪。悲しいと感じていないのに泣くのは意味が分からなくて、なんか不気味で嫌だな。
 そういえば、母親の怒号を思い出せなくなっていることに我ながら驚いた。中高生の頃はよく覚えていて、愚痴る機会があったらこれを言ってあれも言って……という風に、わざわざメモをしたためなくとも頭の中で反復することで(←今考えると絶対しない方が良い)記憶を保っていたのに、今となってはすっかり空っぽになってしまったのは不思議だ。良いか悪いか分からないが、連続した一個の事象であるはずの自分が途切れてしまったかのような一抹の寂寞感があるのは確かだ。

 鬱病の正体が「余裕の無さ」なんじゃないかと推測する。あることには気付いてはいたが、それは鬱病の症状あるいはきっかけの一つといった、パズルの1ピースのような些細なものという認識であって、根幹にあるという可能性は今まで考えてこなかった。
 これまで私は漠然と「幸せになりたい」と考えてきたが、趣味の小説を書いているうちに「安心できる環境に身を置きたい」という、ちょっと具体的な願いに変貌した。自分の内面を委託した主人公の気持ちを、オチをつけるために理解する必要があって考えていたらそうなった。
 そう。安心したいんです。
 将来のこととか何も考えなくていい、今までの失敗を振り返ることもしなくていい、未知の不安も既知の不安も無い世界に生きたいんだ私は。
 就活とか卒業とか、死とか人類の行く末とか考えたくない。穏やかな春の陽光が入り込む部屋で、冷たいバニラアイスを一口含みたい、そういう生活。
 
 思えば私はいつも何かに追い立てられるようにしてばかり生きてきた。
 なにせ「期限内にやり遂げられなければいけないことがある」というだけで気分が落ち込んでしまうから。学校だと宿題が毎日のようにあって、中学高校と段階が上がっていくごとに部活や校内イベントも複雑さを増して並行課題が増え落ち込んで……大学生になったら履修登録して講義出てバイトして……。年を重ねるごとに、できることは大して増えてないのに、「やり遂げなければいけないもの」はどんどんどんどん増えていって、ただ達成するだけで毎日いっぱいいっぱいで、達成できた喜びもあまり無いうちに次の課題がやってきて……。そういう当たり前の人生が自分にとってはハードルが高すぎたのかな、と思った。「思えば私は〜〜」なんて気取って書いてみたけど、全員何かに追い立てられるように生きてるはずで、皆似たような課題をこなしているはずなんだ。でも社会が回っているのを見ると、皆なんだかんだ健康なんだなぁ、と思って劣等感が募る。
 
 そういえばつい先日、ゾンビと悪霊が合体したような筋の通らない存在(しかも複数)に追いかけられる夢を見た。子供の頃からよく見るシチュエーションだ(警察に追い掛けられる指名手配パターンもある)。
 最新の夢では、忍野メメが出てきて(寝る前に漫画版「化物語」を読んでいたからだと思う)、怯える私に「ここで隠れているように」みたいな専門家じみたことを言ってくれて、戦ってもくれたのだが、結構苦戦していた。これもよく見るパターンで、こういう化物を倒してくれる強い存在が出てきてくれはするものの、寺生まれのTさんのようにスカッと倒してくれないどころか、押され気味になるのだ。
 そこらへんで「これは夢だ」となる。いや、そこまでハッキリはしてないか。なんというか、それまではただ眺めてるだけで干渉ができなかったのが操作可能な状態になって、そのせいで不要な理性が顔を出して「本当にこのまま任せてて大丈夫なのか?」「逃げた方が良いんじゃないか?」とか余計なことを考えるようになってしまう。それで私は恐怖に堪えきれなくなって、言いつけを破って逃げ出して、専門家の助力を不意にするところまでが、この類の夢のテンプレートだ。で、ひたすら街中を走り回るけれど、どれだけ頑張っても後ろに怪異の姿や声が迫っていて、どうしようもなく泣いて諦めそうになったところらへんで完全に目が覚める。
 書いてて改めて思ったけど、嫌な夢だな〜〜。なにが嫌かって、作中最強レベルの存在(と自分が認識している)が勝てないレベルの奴らが自分を狙っていて、しかも物理法則を無視してくるっていうのが嫌だ。これを見るだけで朝から精神力を消耗する。
 ちょっとネットで調べてみたら、ゾンビに追いかけられる夢は「悩みを抱えている状態」を表すらしい(ゾンビが悩みの象徴だとか)。別にオカルトを信じているわけじゃないが、そりゃそうだな、と納得できる検索結果ではあった。
 しかも専門家があまり役に立たないレベルなのだから、これはもう私の認識している悩みレベルは相当なもんなんだろうって感じもするし、専門家の助けを自分の行動で無駄にするって辺りも、現実での失敗を反映してるっぽくて……嫌だ〜〜。なんで自分自身に精神を削られなあかんのだ。
 こういう嫌な夢を見た時、私は現実でその夢の続き(ハッピーエンド)を空想することによって対処している。ただあんま上手く行かないんだよな〜〜。
 それこそ寺生まれのTさんを召喚してハッ!してもらえればハッピーなのだが、そういうコメディなご都合展開を考えるのは苦手で、出来る限り納得のいく筋道を辿ろうとしてしまう。でも言った通りそのゾンビ的なものはめちゃくちゃ強いので、最強の存在を空想してもちゃんと作戦会議を執り行う必要がある。それで「良いこと思いついた!」となって見事に倒しても、また強くなって更に絶望的な存在となって復活するので……。
 じゃあどうするかっていうと、もう怪異に媚びるしない。ごめんなさいって謝って相手に奉仕することで許してもらおうとする。自分で書いてて情けなさすぎるが、これは倒すよりも上手くいきやすい。このルートに行くと、なぜだかそれまで命を狙ってきた怪異達が途端に理解可能な存在になって、とりあえず殺される可能性は低くなる(普通にダメな時もある)。でもこれも結局オチまでいけてないんだよな〜〜。朝から必死こいて自分の夢の二次創作考えて……途中で「なにしてんだこれ」と冷めて空想ごと投げ出すのが毎回のオチ。対処できてない。

 もう完全に「自分は悩みを解決できない」という認識が染み付いてしまっている。
 こんな自分が、果たして安らかに生きられる日々は来るんだろうか……。


 

 

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