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言い負かす
認知症の義母は、状況が理解できないときや、混乱したとき、「アホ」と言う。
今朝も、‘朝だから着替える’ という行為にピンとこず、軽く混乱していた。
「あんたはアホや。何にもわかってないやないの!」と繰り返し、「仏さんがあんたのことを笑てはるわ!」と言った。
「えっ~!? 仏さん笑かしたん?私、アホでよかったわぁー。」と私はアホの舞を舞ってみた。
私が喜ぶので不安になった義母が、
「ほんなら私はどーなるのー?」と言った。
「大丈夫やで。おかあさんは、こんなアホな人と一緒に暮らしてるから、仏さんが余計に心配して目をかけてくれるわ。そうやろう?」
と言うと、
義母は「うん」と頷いて黙った。
もう、簡単に言い負かせられる。
もともとの義母はお喋りだった。
嫌味や悪口はないので、楽しいお喋りさんなのだが、それはもう、感心するほど喋る。
私が話題を見つけて話し出そうとしてもすぐに、「それはそうと、」と言って、自分の話に持っていく。
いつも義母の独演会だった。
だが、最近は言葉がなかなか出てこなくて話が続かない。
義母の弾丸トークが懐かしく、叶うならもう一度聞きたいなあ、と思う。