書評:『第四の消費 つながりを生み出す社会へ』(三浦 展)

会社の監査役にのみに連れてっていただき、「君は三浦展などは読まないのか?」とご助言いただいたので、読んでみた。

三浦展さんは一橋大学出身で、パルコのマーケッターを勤めていらした方。消費者の消費行動について、色々研究調査をされている方である。

曰く、

第一の消費は、明治時代で工芸品的な消費だった。

第二の消費は、大量生産品の消費で、みんなで同じものを買っていた。これが戦後ぐらいのカラーテレビ、クーラー、車みたいな世代。一家に一個を買おうという時代だった。みんな一緒のものを買う。

第三の消費はウォークマン。家族の中でも一人一個になっていく。家族の人数の分だけ売れる。それで、ブランドモノが流行って、有名ブランドを買う。そろそろ、自分らしさを求めて、こだわりのモノを買う世代。これが、20世紀末と2005年ぐらいまでという。

人は、第三の消費に飽きてしまって、ブランド品を買うのに虚しさを感じ出す。一言で言うと、「ブランド品身につけていたところで、幸せと関係ないよね」と言うことに気づいてしまったわけだ。

そこで第四の消費が始まったと言うこと。第四の消費は、モノでは満足せず、人とのつながりで楽しむものらしい。もう、その時代なので、言われてみると納得という気がする。

例えば音楽でいうと、1:ラジオ、2:ステレオ・ラジカセ、3:ウォークマンと来たが、今はすっかりCDも売れないで、アーティスト活動の中心はコンサートとファンクラブである。CDのようなモノで満足するのではなく、アーティストと同じ時間を過ごす、または、友達とファン同士同じ時間を過ごすというのが楽しみである。三浦氏は、それを、「友達と喋って楽しかった」と「友達と喋って嬉しかった」の違いだととく。楽しかったのは「喋った」ことだが、嬉しかったのは「友達と」が主なポイントなのだという。

また、参加型というのもポイントで、作ること自体を一緒にやっていく楽しみということ。


感想。

この本は、123の消費の説明が半分ぐらいあってそれは結構退屈である。第四の消費の部分は面白い。

個人的にこの本を読んで思ったのは、メルカリである。メルカリというのはやってみると、物販のサービスではなくて、コミュニケーションサービスであることに気づく。買う方ではなく、売る方をやってみると体験の違いがわかる。

考えて、品を出して、販売文を考えて、価格を考えて、品を出す。
すると、お客さんが連絡をくれて、何度かコミュニケーションが続く。品物についての質問、どう使っていたのか、価格の交渉などの意思疎通が続くのである。それで、うまくいくと「ありがとう」と言われて、お互い感謝して終わる。

この体験に中毒性があり(特に出品側)、品がどんどん出されるので、買う側も買うという選択肢が出てくる。この、参加しつつモノを売る、フリマ体験が、メルカリの第四の消費であると思う。

まちづくりの例が出ているが、結局、第三の消費は人の作ったものを消費するに過ぎないが、第四の消費は、参加して一緒に作る。または、作り手のストーリーに共感して、一緒に何かをやっていく。手間を一緒にかけることで、買ったものに愛着が枠というのが、第四の消費と言われて、なるほどなと思った次第である。

良いものモノをいくら作っても売れる時代ではない。むしろ、不完全なもので良いから、自分の好きな人と一緒に作ったものであれば良いだろう。手を出さなくても、自分の意見が入っているでも、なんでも良いから、参加していると、モノの価値がでる。顧客自らの手間を入れていることで、サンクコストを突っ込ませることで、顧客が価値を感じるのが第四の消費であると私は理解した。

そう理解すると、確かに、そういう時代である気がする。

こだわりのモノなどすでに作る必要がない。こだわりの体験を通じて、モノを売るなら、そのものに思い出を作ってあげ、思い入れを作ってあげることが大事なのだと思う。

もう少し、これは、自分の中で深掘りしてみようと思う。

おっさん、おばさんでビジネスやっている人は、必読の書であると思う。
我々は、きっと、どこかで勘違いをしていると思う。

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