書評:『China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』(マイケル ピルズベリー)
森本敏さんの解説を借りれば「本書は米国における中国専門家として著名であるばかりでなく、米国政府の対中政策に最も深く関わってきたマイケル・プルズベリー博士の中国論である」。日米安保が騒がれる世の中なので、米中関係の理解を深めようと読んでみました。
内容は、「ソ連に対抗するために、米国は30年間ほど中国に対して、マヌケな外交政策をとってしまいました。結果、中国が米国の金銭援助や技術を盗み放題で、超大国米国より強くなりそうです。中華思想で、世界に独裁国家を広げそうでヤバいので、そろそろ米国内の意識を変えていきましょう」という内容。その米国の中国外交の歴史に愕然としました。
中国の専門家の中には、漢字は読めないし、中国の歴史も知らないのが多い。「知ってる」と言っても『三国志演義』の与太話を正史と混同して信じちゃうぐらい”迂闊な理解度”しかない。米国人が中国人を理解するのが大変難しいことが良く分かった(『孫子』を読んで、横山光輝の漫画を読んで育った日本人はこの点で中国理解に優位性があるというのは逆に発見)。
また、中国国家は、お金も絡めた諜報戦や世論操作に長けていて、米国がいかに”やられちゃった”のかが分かる。日本国民もかなり世論操作されてるんだろうなと思いました。
軍事面でも、宇宙ミサイルでGPS衛星壊されて、空母打撃群がミサイル飽和攻撃で破壊されるのが分かったタイミングで、米国は軍隊を日本列島から引き上げると私は思うので(第二列島線まで下がる)、これまでの30年とは違うレベルで国防を日本は考えていかないと、日本はもはや安全な国ではないと思いました。(註:その後に、日高さんの本を読んで、これの見方は間違っているという事が分かりました。2015年現在、中国で気をつけるべきは核兵器であって、通常戦略ではないそうです)
さすがに米国が間抜けすぎるので、本の内容が全てが正しいかは割り引いて読む必要があると思います(米国の立場の本なので)が、中国が関わる経営戦略を考えたり、我が子の安全を考えるのに、役に立つ本だと思いました(私の中国観を大きく変えた本ですが、この1冊だと少し偏り過ぎかもしれません)。