書評『カスタマーサクセスとは何か』(弘子ラザヴィ)
最近、カスタマーサクセスという言葉をよく聞く。CRMなどの延長だろうと思って、放っておいたわけだが、まあ、そういうのを作る必要が出てきたので、適当な本でも読んで、やってみるかとなってみて、買ってみました。
結論は、顧客セグメンテーションとも、CRM(Customer Relationship Management)とも異なるものではありますね。ただ、やってんだよなー、普通にと思いました。
SaaSのようなサブスクライバーモデルの商売をやる場合、継続が前提になります。課金も、月々の料金がメインになりますからね。そうなると、売り切りを前提としたマーケティングや営業体制とは異なるわけです。それを語っていて、フレームワークになっているのが、カスタマーサクセスです。
そして、この本はよくできている。まさに、入門書としては最適だと思います。
まあ、ただ、それが昔の日本企業にないかというと、それは勘違いで、あるんですね、こういう組織と商売は。それは、ちょっと前までのコピー機業界。富士ゼロックスさんであり、リコーさんであり、それをパクった、キャノンさんであり、京セラ三田さんであるわけです。
コピー機というのは、枚数比例のカウンターがメインで、法人契約の契約がすべてなんですね。まあ、サブスクライバーだし、リテンションモデルなんですよね。営業から何から、リテンションを前提にKPIを配置しているし、カウンターが止まっていたら、遠隔から監視して、すぐサポートに駆けつけるわけです。
これの導入を助けるのがカスタマーサクセスで、まあ、BtoBの歴史は古いんだけどなあー、なんてことを考えながら、読んでおりました。
本書の中身は、カスタマーサクセスの中身を学ぶには十分だと思います。そしてよく書けています。
が、これって、一度真っ当なウェブ業界に身を置いた人なら、みんなやっていることだよなあと思うわけです。一言で言うなら、定例でKPI見ろと。サポートのメッセージは全部読もうね、でしかないわけです。
ただ一つ学んだのは、西海岸の企業は、一見さんでダメそうな人は断るのね、と言うところで、これには感心した。カスタマーをサクセスに導けなそうであれば、その顧客との取引は断る清さというのが重要と。それは、確かにそうなのかもしれない。
と、理解するのは容易だが、実施するのはまあまあ大変だと思うので(やるけど)、こういう教科書を1冊読んで、ちゃんと実装するのが大切だなと思いました。
ま、実装してなんぼだね。