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ビジネス書評

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2024年11月の記事一覧

書評:『祖母姫、ロンドンへ行く!』(椹野道流)

書評:『祖母姫、ロンドンへ行く!』(椹野道流)

私は江藤淳さんに評論というものを習った。江藤淳さんが言うには、評論というものは、何かを否定したり文句を言ったりすることではなく、良いものを世の中の表舞台にあげるためのものだと言っていたのを思い出す。

そう言った意味で、私は、この本がもっと世の中に出回ってくれれば良いと思うのです。

この本は小説というか回顧録というか、作者の椹野さんの物語である。

英国に留学していた主人公が、おばあちゃん(=祖

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書評『新世界より 全3冊合本版』(貴志祐介)

書評『新世界より 全3冊合本版』(貴志祐介)

珍しく小説なんです。

普段、あまり小説を読まないので、人に聞いた本でも読んでみようかということで、読んだのがこの本でした。最初の方は、久々の小説だったせいか、なかなかに苦痛で進みも悪かったのですが、後半になるにつれ、読むスピードが上がったのは面白いもので、「新世界」に入り込んでいけたのかなと思いました。いまいち感情移入はしきれませんでしたが、まあ、お値段分ぐらいは楽しめたかなと思います。

流石

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タコからAIの意識を考えるシリーズ3本の書評:『タコの心身問題』『メタゾアの心身問題』『植物は<知性>をもっている』

タコからAIの意識を考えるシリーズ3本の書評:『タコの心身問題』『メタゾアの心身問題』『植物は<知性>をもっている』

私、AIと接する中で、「意識」というものに興味があります。そもそも、コンピューターサイエンスというのは計算をすることもありつつ、コンピューターというのを科学することを通じて人間を知るという分野もあります。最近の生成AIなどで使われている深層学習(Deep Learning)は、脳みその視覚野を模倣して作ったものですから、その権化たるAIに「意識」が宿ってもおかしくありません。

じゃあ、私に意識が

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書評:『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ビル・パーキンス, 児島 修)

書評:『DIE WITH ZERO 人生が豊かになりすぎる究極のルール』(ビル・パーキンス, 児島 修)

「ゼロで死ね!」と言われると、「いやいや、老後にもお金かかるっしょ」とか「いやいや、子供にも遺産残すでしょ」みたいなことを思ってしまいますが、さすがのベストセラー。なんでそういうことにならないのか、も載っているんでよね。この本。良い本だと思いました。

楽しいことは若いうちにやろうよ

この本の趣旨は、「人生短いんだから、思い出作りになるような楽しいことは後に回さないで前倒してやろうよ」ということ

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