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2018年6月の記事一覧
書評:『最後の努力──ローマ人の物語[電子版]XIII』(塩野 七生)
紀元300年頃のローマ帝国。蛮族にやられまくるのは、皇帝ディオクレティアヌスによってひと段落つく。
東と西に二人の皇帝を持たせて、それぞれが騎兵を持ち、蛮族が出れば、それを騎兵で討ち果たすことでローマ帝国は蛮族の略奪からひとまず落ち着くことができた。
ローマ帝国は東西に分かれたのではなく、一人の軍指揮官ではやっていけないので、皇帝を二人作って、東と西で分業した。これが、「二頭制」。二人の皇
書評:『迷走する帝国──ローマ人の物語[電子版]XII』(塩野 七生)
さて、いよいよ傾くローマ帝国である。
終わりを直接的に作ったのは、カラカラ帝であろう。
カラカラさん、理想主義者で、今まで属州民とローマ市民に分かれていたのを属州民を含めて、全員ローマ市民にしてしまった。みんな平等。人権という面ではなんと素晴らしい!だけど、うまくいかない。
まず、税制。属州民には10%の直接税をかけていた。ローマ市民は直接税がない代わりに兵役などを課していた。全員ローマ
書評:『終わりの始まり──ローマ人の物語[電子版]XI』(塩野 七生)
終わりの始まりは、哲人皇帝マルクス・アウレリス。賢帝の最後と言われている人だけれども、実は、ローマ帝国の終わりを作った人の一人として描かれている。
もっというと、その前の平和おじさん、皇帝アントニウス・ピウスが、平和な世の中を続けたことが、ローマ帝国の人材、特に軍人面の人材育成に悪影響を与え、ローマ帝国衰退の原因を作ったという仮説が興味深い(逆に、ローマ帝国自体、ハンニバルにイタリアを蹂躙さ