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【 ティアマトの11の怪物 】ティアマト:真の姿を葬られた女神【14】
さて、とうとうティアマトの怪物達の解説も終わったので、ティアマト本人に関する解説です。
冒頭でも書いたように、ファンタジー創作物では大人気のモチーフで、名前を見ない方が珍しいというぐらいではあります。
ただ、そうはいってもティアマトそのものにフォーカスを充てた作品というのも未だに少ないので、せっかくなのでここで詳しく見てみましょう。
ティアマト自体はエヌマ・エリシュ以外ではほとんど登場せず、実は絵として残っているものは一つもありません。なので、ティアマトは完全にエヌマ・エリシュ内での記述をはじめとする考古学的文書証拠に頼って想像するしかないわけです。
まずティアマトという名前ですが、これは古代オリエント世界で使われている主要言語であるアッカド語とシュメール語のどちらでもなく、別の東方セム語が元になっているということです。
彼女の名前が"海"を意味し、アッカド語でも彼女を指して海としていることからも海・塩水の女神という事は確かそうです。
ティアマトは原文においても記載ゆれもそこそこにあり、ティワワト、母なるフブルという呼ばれ方もしています。
彼女の姿は戦う時に巨大な体躯として描かれ、大きな口で英雄神マルドゥクを飲み込もうとします。しかし、マルドゥクに体内に入られ、内臓を切り裂かれ心臓を突かれて死亡します。
死後、彼女の頭蓋骨は砕かれ、血管は切られ、死骸は2つに割かれました。そのうえで、頭の上には山を築き川を流し、両目のところがティグリス川とユーフラテス川の源泉となり、乳房のところにも山を築き、尻尾は天の結び目に繋ぎ、太ももは天に固定され、体と内臓は天と地を作るのにつかわれたとあります。
ここで素直に原文を読むと、必ずしも蛇としては描かれていないことに気がつきます。
これはムシュマッヘの項でも書いたのですが、ムシュマッヘは1番目の怪物として別格な扱いの記載がされていることと、そのあとも蛇・竜の怪物の記載が続くので彼女と同一視されたものと思われますが、正確にはエヌマ・エリシュで明言されたものではありません。
更に蛇・竜は水とはそもそも関係性が薄く、ムシュマッヘも明らかに神話へ後付けされた存在なので、ティアマトとは別に切り離すべきと考えられます。
そうすると尻尾があるのは確かなので、何らかの動物系の姿を取ってはいそうですが、古代オリエントでの信仰動物として水に関係してくるのは魚等が考えられそうです。しかし、これも確実に結びつける証拠はないので、一番無難なのは何らかの尻尾を持った女性として描くことになりそうです。
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