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【 #ティアマトの11の怪物 】ウガルルム:巨大な獅子【7】
1-4番目までは蛇・竜、5番目は男、ときて6番目以降なのですが、1つ(ギルタブルル)を除いて9番目まで似たようなモチーフが続きます。
それは獅子ないし犬といった哺乳類の肉食動物です。
もともと古代シュメール語では獅子と犬が同一言語:ウルで表されることもあるということから、そこまで大きな区別はされないようです。
どちらにせよ、王権・偉大なるものとしての象徴となる動物なので、ティアマトの格を上げるために追加されていったと考えられています。
そのまず1番目となるこのウガルルムなのですが、英語転写表記ではウガル(Ugallu)となっているのですが、日本語書籍で通っているウガルルム表記でとりあえず行きたいと思います。
この怪物は「天候の怪物」としても知られていて、学者によっては「嵐の怪物」とするものもありますが、ルム(lumu)が「日」や「気象全般」を表すことから、翻訳としては特定の天候だけに縛る必要はなさそうだということです。
ここで古代オリエントの人々の天候に関する考え方を知る必要があるのですが、基本的に神々と人々の努力によって「安定した日々」というものがなされるのでありまして、「通常/普通の天候」というのが古代人にとって"あるべき天候"でありました。
なので、我々が一般的に使う「良い日」だとか「良い天気」というのは、あくまで悪い天候の対比として使われるのですが、"良い日=普通ではない日=例外の天候"ということで、古代人からすると悪い天候同様に望ましくないものと考えられていました。
この良い日というのは彼らにとって望ましくないもの、例えば戦争、の引き金になり、破壊を齎すと考えられていたそうです。
この戦争を呼ぶ日は"悪魔の日"もしくは"死にゆく日"と呼ばれ恐れられていたのでした。
もう一つの「悪い日」と「悪い天気」については、私達も想像するような嵐や洪水を齎すものなのですが……これはまた別の怪物"ウームー・ダブルトゥ"の項目で解説しようと思います。
さて、そんな天候を操る怪物ウガルルムの姿なのですが、一応壁画として残っています。
頭は獣、体は人間のようで手には武器を持ち、腰には布のようなものを巻いて肩ひもをつけています。足は鳥の足のようです。
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