「渦」とコロナ禍
第161回直木賞受賞作 「渦」読了。大島真寿美氏と初お目もじ。
「妹背山婦女庭訓」を生んだ人形浄瑠璃作家・近松半二の生涯を通じ、江戸時代の人形浄瑠璃の盛衰、大阪道頓堀の賑わい、そして舞台と物語に取り憑かれた人々の業を描く。
文体がまさしく浄瑠璃や歌舞伎や上方落語のようなテンポと抑揚で、するすると身体に染み込んで来る。まるで浄瑠璃の中にいるような気分になった。
新たな物語を生むエネルギーを「渦」と呼ぶ半二。
私が書いているのか。書かされているのか。書いている私は現実世界のものなのか。書かれているのは夢か現か。
舞台の世界の片隅に身を置いたことのある私。「渦」は、リアルに、濃厚に、ぐるぐると迫ってきた。
歴史の長い伝統芸能ほど、先人の想いや智慧の蓄積によって、「渦」は力を増すのかもしれない。
僅かながら自分にもある業を自覚すると共に、無くしてはいけない文化の存在を、改めて、強く感じた。
コロナ禍で、エンタメ業界は厳しい時代を迎えたが。
人数制限緩和など、希望の光もちらりと見えて来たような。
心を折らず、現代の舞台の世界にも「渦」が息づいていることを信じて、できる形で支えて行けたらと思う。
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