【夏の句】髪洗う 頭蓋を人の手に預け
髪洗う 頭蓋を人の手に預け 〈未芙美〉
初出= 『みふみのトーキョー 彩・時・記』@『ココログ』(2010/7/10)
永らくお世話になっているヘアサロンが、コロナを機に閉店することになりました。
正確には二度目の移転、ということになるのですが。コロナ以外にも、経営母体の変化・統合その他もろもろ事情満載で…気持ち的には、閉店。
店舗最終営業日に、最近ではめったなことでは寄りつかなくなってしまった華やかな街へ、髪を切ってもらいに行きました。
このサロンとはもう15年以上のおつきあい。
イベントホールの仕事がきっかけで通い始めた初代の店舗から、歴代4人の店長さんに髪を切ってもらってきました。
お店の盛衰も、スタイリストさんが階段を駆け上がっていく様子も、傍で見たてきた気がします。
今の店長さんは、初代店長さんに切ってもらっていた頃に、アシスタントとしてシャンプーを担当してくれていた男性。
今回、アシスタントさんではなく、彼がシャンプーまで担当してくれました。
シャンプー台で頭を預けた時に、
「あぁ、この手のひらの感触を、覚えているなぁ」
と。
私はプロの方にシャンプーしていただくのが好きで。
なんだか頭が軽くなって、重力から解き放たれたようで。自分の手では得られない爽快感があって。
「そんなに頑張らなくてもいいよ~」と甘やかされているような気分になって。
その感覚が好きで通い続けていたのですが。もしかしたらこの感覚は、この人の手の記憶をベースに作られていたのかも。。。
きっと、この感触を忘れないために、移転先となる次の店舗にも、行ってしまうんだろうな。
大切な記憶や感触を守るため、大切な場所には通って支えていきたいな、なんて改めて思ったのでした。
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