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音楽関係者大注目のSpotifyバイラルチャート

音楽のランキングやチャートといえば、昔はCDランキングでオリコン(oricon)チャートが主流だったが、令和の今は何を思い浮かべるだろうか?


ランキングやチャートの価値観が激変

昔はCDが主流だったが、今ではストリーミングサービスでの視聴がほとんどを占めるため、ランキングやチャートも大きく変わった。その中でも一番の変化は、「最新曲が必ずしも上位に来るわけではない」ということだ。CDランキングの場合、CDは一度購入すれば普通はそれで終わりなので、初週売り上げがピークで、その後は下降していく。しかし、ストリーミングの場合は視聴回数が重要なため、以前リリースされた曲でも上位に入ることがある。最近では、Vaundyの「怪獣の花唄」Mrs. GREEN APPLEの「点描の唄(feat.井上苑子)」Back numberの「高嶺の花子さん」などが常にランキングに顔を出しているのではないだろうか。

数多くの音楽ランキングの登場

Spotifyなどの音楽ストリーミングサービスには、それぞれ独自のランキングが存在している。また、TikTokやYouTubeでのランキングや音楽番組のオリジナルランキング、さらにはBillboardのヒットチャートなど、音楽ランキングは数えきれないほど増えている。以前のようなオリコンチャートのような「不動のランキング」はなくなり、ランキングで一位を取ったときのファンの喜びも少し薄れてしまったように感じる。

Spotifyバイラルチャートの魅力

そんな中で、個人的に注目しているのがSpotifyの「バイラルチャート」だ。このチャートは、「SpotifyからSNSやメッセージアプリでシェア・再生された回数などをベースに、Spotifyが独自に指標化したランキングで、今SNSで最も話題になっている曲を表している。グローバル、国・地域別のチャートもある」と公式サイトに書かれている。簡単に言うと、例えば漫画家・鳥山明先生が亡くなった後に、代表作『ドラゴンボール』に関連する曲「DAN DAN 心魅かれてく」がランキングに入ることがある。以前のランキングにはタイムラグがあったが、このチャートでは、だいたい次の日には新しい情報が反映される。そのため、最新曲だけでなく、その日に話題になった出来事に関連する曲もランクインするのだ。X(旧Twitter)のトレンドのようなものだと言える。「バイラルチャート」をチェックしていれば、流行に乗り遅れることもなく、逆にバズる前の、まだあまり知られていない曲に出会うこともできる。僕が特に印象に残っているのは、井上絃くんのデビュー曲「幸せについて、僕が考えたこと」。その曲に初めて出会って聴いたとき、心が揺さぶられ、聴き終わった後すぐに色々調べて「優里ちゃんねる」の動画を見漁ったことを覚えている。

藤井風が23の国と地域でバイラルチャート1位を獲得

「バイラルチャート」は世界規模で展開されており、過去に藤井風が2020年5月発表の1stアルバム『HELP EVER HURT NEVER』に収録されている“死ぬのがいいわ”が2022年に世界中でバイラルヒットを記録し、アジアとヨーロッパをはじめとした23の国と地域でバイラルチャート1位を獲得したことが話題となった。

世界を意識した音楽活動

実際、僕の教え子が「バイラルトップ50-日本」で一位を獲得した際、多くの音楽関係者からDMを受け取り、このチャートの注目度の高さを実感した。現在、CDの売れ行きが落ち込んでいる時代、アーティストが成功を収めるには、世界をターゲットにしたファンの拡大が不可欠だ。YouTubeやTikTokで「●億回再生」といった数字が話題になることがあるが、これは日本だけでは達成できない数字だろう。これから音楽を目指すシンガーソングライターやクリエイターには、世界を意識した音楽制作に取り組んでほしいと思う。

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