憧れのストロー
文章は死体のようなものだと書いた評論をどこかで読んで、それがどこだったかは忘れたし、それ以外にどんなことを言ってたのかも忘れたし
それを言ったら、もうそれ以上先のことについては私たちのような生きている人間が何か囀るようなことは極めて厚かましい、高慢ちきな耐えられないうざったい感じがしたからだったけど、
確かにそうで、本は肉体の血の流れから切り離されているし、今に流れた血しぶきが溶鉱炉のようにのたくりまわって焼き殺しそうな血反吐を放っていてもいずれは粘土のような塊になってどかっと地面に落ちる。そうしたら血しぶきをあげたばかりの人間の傷口にも絶対に、何が何でもくっつかないでいてくれるのであって、それは柔らかい層が折り重なって優しく降り注いで入るのにとても無機質であって読む人を音もない領域に連れて行くしもう二度と死なない。
そういうものへの愛は、霧のようでうれしい。そして人間離れしすぎているので、私はもっと人間チックな命と空洞が同時にあるものにだってずっとそばにいて欲しい。
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