
メロスは激怒してオゾンを噴霧した
「あの人は怒るとなにをするかわからない」
という言い回しがあるけど、「わからない」と言っても大抵の場合、実際にすることは殴るか怒鳴るかの二択であると思う。
私の父はどちらでもなかった。
父は怒ってオゾンを噴霧した。
この状況を太宰治『走れメロス』で置き換えるのならば、以下のようになるだろう。
メロスは激怒した。
必ず、かの 邪智暴虐 ( じゃちぼうぎゃく ) の王にオゾンを噴霧しなければならぬと決意した。
「怒るとなにをするかわからない」という日本語があるのに、この文章は自然な文章としては成立していないと思う。言葉は不自由だ。
ここから先は
2,343字
¥ 300
よろこびます