なぜ「つっぱり」は「ななめ上向き」なのか?〜相撲の物理〜
銭湯に行くと、サウナのテレビで、よく相撲がやっています。僕の行く時間帯のせいかもしれません。ぼーっと見ていたらある法則に気づきました。
それは
力士のつっぱりが「ななめ上方向」
ということです。
水平でもなく。
下でもなく。
全員、もれなく、そうでした。
帰り道を歩きながら、「なんでだろうなぁ〜」と考えていたら、気づきました。
どうやら物理が関係していると。
そもそも、相撲というスポーツは
相手を押し出すスポーツです。
ものは押されると動きます。
誰かに押されると動きます。
僕たち人間も、形のある「もの」です。
僕たちが歩いて動けるのも、誰かに押されているからです。
その誰かとは、、、
地面のことです。
あまり意識したことがないと思いますが、僕たちが地面を後ろに押すことで、僕たちは地面から前に押し返されます。(作用反作用の法則といいます)
この、地面が僕たちを前に押してくれる力を「摩擦力」といいます。
さらにいうと、僕たちが普通に立っていられるのも地面のおかげです。地面がなかったら・・・
重力で落下してしまいます。
支えてくれる地面があるから、立ってられるんです。
100kgの人がいたら、100kgの力で支えてもらっています。
この上向きの支える力を「垂直抗力」といいます。
実はこの「垂直抗力」が大きければ「摩擦力」も大きくなります。
比例の関係です。
つまり、上向きの「垂直抗力」が大きければ、
力士を前に押し出す「摩擦力」も大きくなるということです!
相撲というスポーツは自分が前にすすむ力「摩擦力」が大きいと、相手を押し出し、勝てるスポーツです。
それでは、つっぱりの方向で、「垂直抗力」がどのように変わるのか、考えていきましょう。押す力は全て大きさ50だとします。
以下では、力士Bが受ける力(赤色)に注目してください。
1.「つっぱり」が横方向のとき
力士Bが力士Aを左向きに押す(青50)と、力士Aは右向きに力(赤50)を受けます。(作用反作用の法則より)
力士Bが地球から受ける力(重力)は100
力士Bが受ける垂直抗力は100になります。
2.「つっぱり」がななめ下方向のとき
ななめ下に押す(青50)と、力士Bは右上向きに力(赤点線50)を受けます。その力を上と右に分解すると上に30、右に40となります。これにより、力士Bはすこし浮きあがるかたちになり、地面から受ける垂直抗力が小さくなってしまします。
3.「つっぱり」がななめ上方向のとき
ななめ左上に押す(青50)と、力士Bは右下に力(赤点線50)を受けます。その力を下と右に分解すると、下に30、右に40となります。これにより、力士B力士は地面に押しつけられます。押しつけられた分、地面からの垂直抗力(赤130)が大きくなります。
以上のように、もっとも垂直抗力が大きくなるためには
ななめ上方向につっぱることが大切ということがわかりました。
地面に塩をまくのは、地面に対する感謝のあらわれなのか。なんなのか。
なにか物理的な意味があるのかもしれません(笑)
実際はどうなのかは調査してみたいと思います。
相撲好きなかた、教えてください。。。
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